神経病理学分野

 当研究室では、神経変性疾患のメカニズムの理解と、これを基盤とした治療法の開発を目標に研究を行っています。教室主任の岡澤は、神経内科医となったのちに、1989年からの基礎研究室(東京大学医学部生化学教室)での転写因子Oct3;Oct-4;Oct-3/4の発見で学位を取り、分子生物学を脳疾患研究に取り入れた草分けの一人です。Oct-4はその後の研究で、ES細胞の分化スイッチであることが解明され、iPS細胞作成の最重要因子として利用されています。ドイツマックスプランク研究所での神経栄養因子の研究ののち、20年以上前(1993年)から、アルツハイマー病、ポリグルタミン病、前頭側頭葉変性症を含む変性疾患・認知症を対象として、プロテオーム解析やトランスクリプトーム解析などの網羅的解析を取り入れた研究を行い、新しい変性機序としてのDNA損傷修復障害の発見や新たな発達障害遺伝子PQBP1の発見などを成しとげてきました。さらに、2000年に発見した「細胞内アミロイド蓄積」は、その後の研究を経て、「アミロイド仮説」に代わる、新たな仮説「細胞内アミロイド仮説」「超早期病態仮説」を提唱することに至りました。これらは、現在難航しているアルツハイマー病治療に対して、新たな方向性を示すものであり、現在、得られた知見の一部はヒト患者さんへの臨床試験に近づきつつあります。今後も、基礎研究の予想外の輝き(serendipity)を大切にしながら、最終的に社会に貢献できる科学研究を目指していきたいと考えています。

ポスドク・スタッフ募集

現在当分野ではポスドクおよびスタッフを募集中です。
興味のある方はこちらよりご連絡ください。

News & Topics

2024.8.8
核小体分子PQBP3により説明される、老化と神経変性疾患の関連性の分子基盤を明らかにしました。この研究成果は、国際科学雑誌The EMBO Journalにおいて2024年8月5日にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。

2024.4.9
新たに開発した時系列分子ネットワーク解析法(iMAD)を用いて、脊髄小脳失調症1型(spinocerebellar ataxia type 1, SCA1)のiPS細胞とモデルマウスのmRNA発現ビッグデータのスパコン解析結果を基に、発生初期から発症に至る分子病態進行を時系列シミュレーションし、SCA1の最初期に生じる新たな病態を明らかにしました。ごの研究成果は、Springer Natureの発行する国際科学雑誌Communications Biologyにおいて2024年4月9日にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。
同時に、岡澤教授による動的分子ネットワーク解析の紹介記事がSPRINGER NATURE Research Communitiesより公開されました(リンク)。

2024.3.24
私たちの発見した新しいネクローシスであるTRIADを含む、ネクローシスの種々のサブタイプと神経変性および神経炎症への関係、についての総説論文を発表しました(リンク)。
 
2023.12.21
シャルコー・マリー・トゥース病のゲノム編集遺伝子治療の開発に関する、今回のCommun Medicineの論文が、 Communications Medicineの"Trending - Altmetric"において全ての掲載論文のトップ3にランクされました(スクリーンショット)。

2023.12.19
シャルコー・マリー・トゥース病のゲノム編集遺伝子治療の開発に関する、今回のCommun Medicineの論文に関して、著者の一人で教室卒業生のJuliana Bosso Taniguchi さんが、現在所属している BrazilのUniversity of Passo Fundo のホームページで取り上げられました(リンク ※ポルトガル語)。

2023.11.28
代表的な末梢神経変性疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子・PMP22のゲノム編集を用いた新たな治療方法を開発しました。この研究成果は、ネイチャー・ポートフォリオが出版する新しい国際科学雑誌 Communications Medicine において2023年11月 28日にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2023.10.26
私たちのαシヌクレインについての研究成果が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が公開する英文Webサイト "Science Japan" (リンク)、および中国語版Webサイト「客観日本」(リンク)で紹介されました。

2023.10.11
カナダ トロント大学のPearson教授との共同研究の成果が、Cellに掲載されました。RpA1は、私たちが脊髄小脳失調症の治療標的として発見して(Barclay et al, Hum Mol Genet 2013)(プレスリリース)、遺伝子治療への応用の可能性を示してきた(Taniguchi et al, Hum Mol Genet 2016)(プレスリリース)DNA損傷修復分子ですが、今回さらに詳細なメカニズムを解明しました(Gall-Duncan et al, Cell 2023)(プレスリリース)。その結果、遺伝子治療の可能性もさらに高まりました。

2023.10.3
エルゼビア・ジャパン株式会社が発行する「エルゼビア ニュースレター」2023年9月号において、私たちのαシヌクレインについての論文が「Cell Press国内研究機関の研究者による注目記事・研究紹介」として紹介されました。(スクリーンショット

2023.9.11
8月に発表したαシヌクレインについての論文が、Nature Reviews Neurology誌の In Brief で紹介されました(リンク)。

2023.8.17
代表的神経変性疾患であるパーキンソン病の原因タンパク質・αシヌクレインの新たな伝播(拡散)様式を明らかにしました。この成果は、国際科学雑誌 Cell Reports において2023年8月16日にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2023.4.13
教室卒業生の精神科・塩飽テニュアトラック准教授との共同研究が、国際科学雑誌 Brain, Behavior, and Immunityに、2023年3月31日にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2023.4.1
教室卒業生の吉村奈津江先生が東京工業大学教授に就任しました。

2023.1.4
細胞にとって必須の細胞内小器官である核小体の構造の形成・維持において、PQBP5が主要な働きをしていることを発見しました。この成果は、細胞の本質的理解に重要であるばかりでなく、がん、老化、神経変性などの様々な生命現象を理解し、コントロールする可能性を開くもので、国際科学雑誌 Nature Communicationsにおいて2023年 1月 4日にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。

2023.1.3
岡澤教授が、Alzforumにおいて、最新のアルツハイマー病の病態研究についてコメントしました(リンク)。
岡澤教授が2006年に発見し(Hoshino et al, JCB 2006)、アルツハイマー病の神経細胞ネクローシスの本態であることを解明したTRIAD(Fujita et al, Sci Rep 2016; Tanaka et al, Nature Commun 2020)と、米国のグループが2022年に報告したPanthos(Nature Neurosci 2022)に加え、最近新たに米国のグループが報告したPAAS(Nature 2022)も含めた三者間の関係について、議論しています。
これらの新規病態は、アミロイドの細胞外沈着に先行する病態として、注目されています。

2022.12.8
岡澤教授が第51回日本免疫学会シンポジウムで、PQBP1のアルツハイマー病などの神経変性疾患における自然免疫機能をテーマに、招待講演を行いました(リンク)。

2022.7.1
岡澤教授が、Alzforumにおいて、最新のアルツハイマー病の病態研究についてコメントしました(リンク)。
岡澤教授が2006年に発見し(Hoshino et al, JCB 2006)、アルツハイマー病の神経細胞ネクローシスの本態であることを解明したTRIAD(Fujita et al, Sci Rep 2016; Tanaka et al, Nature Commun 2020)と、米国のグループが最近報告したPanthos(Nature Neurosci 2022)との関係について、議論しています。
これらの新規病態は、アミロイドの細胞外沈着に先行する病態として、注目されています。

2022.6.2
当研究グループが発見した発達障害遺伝子 PQBP1 についての総説論文が公開されました(リンク)。

2022.4.20
当教室卒業生の塩飽裕紀・精神科助教との共同研究成果が Cell Reports Medicine に掲載されました(プレスリリース)。

2022.3.29
当教室の業績が、nature communications 誌が公開する 2021 Top 25 Health Sciences Articles のひとつとして紹介されました。

2021.11.29
藤田慶大 講師が、第40回日本認知症学会学術集会(2021.11.26-28)において、日本認知症学会奨励賞を受賞しました。

2021.11.16
研究成果がNHKニュースにて紹介されました。
▷ 認知症 脳の炎症の仕組み マウス実験で解明 東京医科歯科大 | 医療 | NHKニュース

2021.11.16
アルツハイマー病をはじめとして、前頭側頭葉変性症、パーキンソン病、ハンチントン病など複数の神経変性疾患の病態に関与するタウ蛋白質が、脳内ミクログリアにおいて、エイズウィルスの細胞内受容体として知られているPQBP1に認識されて、脳炎症を誘発する分子メカニズムを発見しました。この成果は、ウィルス感染症と神経変性疾患が自然免疫において共通性を持つことを示唆するものであり、神経変性を自然免疫の面からコントロールする可能性を開くもので、国際科学雑誌 Nature Communications において、2021年11月15日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2021.10.11
アルツハイマー病態におけるHMGB1を介した神経変性加速の分子メカニズムを解明し、神経変性と老化に共通する細胞死メカニズム、ならびに細胞繊毛のアルツハイマー病態への関与を合わせて発見しました。これによって、神経変性と老化の関係性に重要な知見を加えるとともに、岡澤教授の研究グループが進めてきたHMGB1抗体によるアルツハイマー病等への認知症治療開発の科学的根拠がさらに固まりました。この研究成果は、Springer Natureが発行する国際科学雑誌  Communications  Biology において、2021年10月11日午前10時(英国夏時間)にオンライン版で発表されました。(プレスリリース)

2021.08.12
脳タンパク質の質量分析から得られたビッグデータを対象に、スパコンを駆使した分子ネットワーク解析を行い、これによって、2つの認知症(アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症)の共通病態を解明しました。さらに、4種類の前頭側頭葉変性症のモデルマウスにおいて、得られた2つの認知症の共通分子標的に対して発症後に行った抗体治療が、認知症状と脳組織の病理学的所見を改善することを示しました。この研究成果は、国際科学雑誌Communications Biology において、2021年8月12日午前10時(英国夏時間)にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。

2021.07.28
当グループがハンチントン病の治療シーズとして報告したヘプタ・ヒスチジンが、タウタンパク質の凝集を阻害することを発見し、これによって、この中分子ペプチドがハンチントン病に加えて、アルツハイマー病や前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺(PSP)などのタウオパチーと呼ばれる複数の神経変性疾患の治療に向けて治療薬開発シーズとなりうることを示しました。この研究成果は、アメリカ化学会 (American Chemical Society, 略称 ACS)が発行する国際科学雑誌 ACS Chemical Neuroscience において、 2021 年 7 月 28 日にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。

2021.6.15
前頭側頭葉変性症において、胎児期の脳内の神経幹細胞で起きるDNA損傷が、出生後の早期神経細胞死を誘発し、病態進展の鍵を握ること、また、この細胞死を標的とする治療法の可能性を実験的に示しました。この研究成果は、2018年にEMBO(欧州分子生物学機構)、Rockefeller University、Cold Spring Harbor Laboratoryが共同で創刊した新しい国際科学誌Life Science Allianceに、2021年6月15日にオンライン版で発表されましたプレスリリース)。

2021.3.15-20
岡澤教授が、ADPD2021(第15回国際アルツハイマー・パーキンソン病学会 15th International Conference on Alzheimer's & Parkinson's Diseases)において、アルツハイマー病の超早期病態と治療開発について、招待講演を行いました。
【Meet the Faculty】 【Speaker Lecture Titles】

2020.12.18
岡澤教授のアルツハイマー病に対する遺伝子治療開発が日本経済新聞の電子版および本紙に取り上げられました。
【12.4電子版 「認知症にも遺伝子治療 目指すは根治と発症予防」】  ▷【掲載記事一覧(日本経済新聞)】
【12.7 日本経済新聞朝刊 掲載記事】
 
2020.12.9
田中ひかり 日本学術振興会特別研究員が、第39回日本認知症学会学術集会「学会奨励賞(基礎研究部門)」を受賞しました。

2020.10.02
田中ひかり 日本学術振興会特別研究員が、神経科学学会「時実利彦記念神経科学優秀博士研究賞」を受賞しました。

2020.1.24
アミロイドベータ細胞外凝集の出現前の超早期段階に生じる細胞死が、その後のアルツハイマー病態進展の鍵を握ること、また、この細胞死を標的とする治療法(発症後にも適応可能)の開発が可能であることを実験的に示しました。その研究成果は、国際科学誌Nature Communicationsに、2020年1月24日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。

2019.7.19
大学院生の田中ひかりさんが、NEURO2019において国内Travel Awardを受賞しました。

2019.6.21
公益財団法人 武田科学振興財団 「医学系研究助成」に採択されました(藤田助教)。

2019.5.22
藤田慶大 助教が、第60回日本神経学会学術大会において一般演題 最優秀口演賞(基礎部門)を受賞しました(リンク)。

2018.10.5
アルツハイマー病のモデルマウスを用いて、アルツハイマー病超早期に生じる SRRM2 タンパク質リン酸化の病的意義を明らかにしました。SRRM2 リン酸化は核内部の SRRM2 減少につながり、更にRNA スプライシング関連タンパク質(特に発達障害原因タンパク質 PQBP1)の減少、シナプス関連タンパク質の発現低下、さらにシナプス障害を引き起こし、最終的に認知症状を引き起こしていることを明らかにしました。その研究成果は、国際科学誌 Molecular Psychiatryに、2018年10月3日にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2018.8.16
先行研究で、MARCKSのSer46リン酸化がアルツハイマー病発症前に生じる神経突起変性に対応する病態マーカーであることを報告しましたが、今回さらに、パーキンソン病・レビー小体型認知症においても同様の所見を確認し、Ser46リン酸化 MARCKSが疾患枠を超えた変性疾患の超早期共通病態マーカーであることを示しました。その研究成果は、国際科学誌eNeuroにオンライン版で発表されました(リンク)。

2018.7.26
7月26日より神戸にて開催された第41回神経科学大会において、岡澤教授が大会長を務めました。

2018.1.30
新規に作成した前頭側頭葉変性症のモデルマウスを用いて、アルツハイマー病に次ぐ認知症の原因である前頭側頭葉変性症において病態早期に生じるタウタンパク質リン酸化が、シナプス障害を通じて認知症状を引き起こしていることを明らかにしました。この研究は、平成26年度から始まった文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度から日本医療研究開発機構:AMEDへ移管)のもとで実施されたもので、一部は、脳科学研究戦略推進プログラム課題E、新学術領域研究『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』の支援を受けました。その研究成果は、国際科学誌Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)に、2018年1月30日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2017.11.30
脊髄小脳失調症のモデルマウスを用いて、発症前のYAPdeltaCを介する発達期病態が発症後の予後の決定因子の1つであることを示しました。この研究は新学術領域研究『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』および科学研究費補助金・基盤Aのもとで実施されたもので、一部は、平成26年度から始まった文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度から日本医療研究開発機構:AMEDへ移管)の支援を受けました。研究成果は、国際科学誌Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)に、2017年11月30日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。(プレスリリース

2017.03.27
AMED「難治性疾患実用化研究事業」(希少難治性疾患に対する画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究治験準備(ステップ1))に岡澤教授の提案したプロジェクト「分子病態に基づく小脳失調症の遺伝子治療開発/Gene therapy against SCA1 based on the molecular pathomechanism」が採択されました。

2016.09.29
岡澤教授が、名古屋市立大学22世紀研究所講演会で『脳という名のミニコスモスとその破綻』という演題で講演しました。(リンク

2016.9.22
東京医科歯科大学・難治疾患研究所分子構造情報学分野の伊倉貞吉准教授らとともに、ハンチントン病の治療薬シーズのスクリーニングとそこから得られた化合物の構造情報解析を行い、有望な候補ペプチドを得て、その作用機序を明らかにしました。 平成21年度からの戦略的創造研究推進事業(CREST)『精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出』、平成22年度からの新学術領域研究『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』、平成26年度から始まった文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度から日本医療研究開発機構:AMED へ移管)の支援のもとで実施されたもので、その研究成果は、国際科学誌 ScientificReports(サイエンティフィック レポーツ)に、2016 年9月22日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。(プレスリリース)

2016.9.13
新しい細胞死 TRIAD の細胞内シグナル経路の詳細を明らかにし、神経変性疾患の一つであるハンチントン病の病態下で TRIAD が生じていること、TRIAD を標的とすることでハンチントン病の治療が可能であることを示しました。この研究は、平成26年度から始まった文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度から日本医療研究開発機構:AMED へ移管)の支援のもとで実施されたもので、その研究成果は、国際科学誌HumanMolecular Genetics (ヒューマン モレキュラー ジェネティクス)に、2016 年 9 月 13 日午前0時(英国時間)にオンライン版で発表されました。(プレスリリース)

2016.8.25
アミロイド凝集前にリン酸化の異常変動を示すタンパク質 MARCKS を先行研究で同定しましたが、今回の研究で、MARCKS の上下のシグナル経路と病態意義を明らかにし、さらに MARCKS のリン酸化を誘導する細胞外分子 HMGB1 を標的とする抗体治療法を開発しました。その研究成果は、国際科学誌 Scientific Reports(サイエンティフィック レポーツ)に、2016 年8月 25 日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されます。(プレスリリース

2016.8.12
自治医科大学との共同研究で、脊髄小脳失調症の新しい遺伝子治療法の開発への可能性を開きました。この研究は文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究・シナプスニューロサーキットパソロジーの創成)ならびに日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Human Molecular Genetics (ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス)に、2016 年 8 月 11 日(英国時間)にオンライン版で発表されました。
(プレスリリース

2016.06.16
岡澤教授が第57回日本神経学会学術大会で発表した脊髄小脳失調症1型(SCA1)に対する遺伝子治療法開発に関わる研究成果が、学会レポートとしてMedical Tribune Webで取り上げられました。(詳細を見る

2015.9.28【論文・プレスリリース】
東京医科歯科大学・脳統合機能研究センターの岡澤均教授(センター長)らがScientific Reports誌で発表したアルツハイマー病に関する論文がNature Publishing Groupの「注目の論文」のひとつに選出されました。
(詳細を見る>リンク)

2016.05.26
AMED「脳科学研究戦略推進プログラム; 臨床と基礎研究の連携強化による精神・神経疾患の克服(融合脳)」(リンク) に脳統合機能研究センターから2件採択されました(横田教授グループおよび田川准教授:岩坪教授グループ)。
2015.9.28
Scientific Reports誌で発表したアルツハイマー病に関する論文がNature Publishing Groupの「注目の論文」のひとつに選出されました。(リンク

2015.08.20
岡澤教授の行ったアルツハイマー病モデルマウスの食餌制限に関わる研究成果が、NHK 総合テレビの『おはよう日本』で朝のニュースに取り上げられました。科学文化部HPNHK NEWSWEBで見ることができます。

2015.7.15
生きた脳の中の神経細胞におけるオートファジーを観察する技術を世界で初めて開発し、アルツハイマー病態におけるオートファジーの新たな役割を解明しました。この研究は平成26年度から始まった文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度から日本医療研究開発機構へ移管)および平成22-26年度・文部科学省新学術領域研究『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌 Scientific Reports(サイエンティフィック レポーツ)に、2015 年 7 月 14 日午前 10 時(英国時間)にオンライン版で発表されました(プレスリリース)。
 
2014.12.16
DNAの機能に大きな影響を与えるたんぱく質HMGB1を遺伝子治療的に補充することで脊髄小脳失調症1型(SCA1モデルマウスの寿命と運動能力を顕著に改善することに成功しました。近年、神経変性疾患の発症メカニズムが明らかにされつつありますが、いずれの変性疾患においても、病態進行を抑制する根本的治療(病態修飾療法)には成功していませんでした。
本研究グループは、2007年に網羅的たんぱく質質量解析(プロテオミックス解析)を用いて、SCA1およびハンチントン病の神経細胞モデルで共通して減少するたんぱく質としてHMGB1を発見しました。この成果を基盤として、今回の研究では、HMGB1発現トランスジェニックマウスとの交配、またはHMGB1発現アデノ随伴ウイルスベクターの投与により、SCA1モデルマウスの症状が顕著に改善することが示されました。さらに、HMGB1にはミトコンドリアのDNA損傷を修復するという新たな機能があることも分かり、HMGB1補充により核DNAのみならずミトコンドリアDNAの損傷修復を介することによっても治療効果を発揮することが示されました。この成果は病態修飾治療への壁を破る可能性を示すもので、今後、SCA1などのポリグルタミン病をはじめ神経変性疾患に対するHMGB1の遺伝子治療の開発につながるものと期待されます。本研究成果は、2014年12月15日(現地時間)に欧州分子生物学機構(EMBO)の科学誌「EMBO Molecular Medicine (エンボーモレキュラーメディシン)」のオンライン版で公開されます。(詳細を見る

2014.12.11~13
岡澤教授が包括型脳科学研究推進支援ネットワーク(包括脳)冬のシンポジウムでシンポジウム発表を行ないます。
「シナプス病態」領域の紹介
「網羅的質量分析の示唆するアルツハイマー病のシナプス超早期病態の分子機構」

2014.12.11
『包括型脳科学研究推進支援ネットワーク』冬のシンポジウムの中で『岡澤・門松・喜田・高橋・池中領域「精神神経疾患研究の現状と展望:新学術5領域の相互理解・連携を目指して」』が開催されました(於:東京医科歯科大学M&Dタワー、鈴木章夫記念講堂)。(プログラムを見る

2014.11.24
岡澤教授による小頭症の発症機構を解明した研究成果が、Nature Digestで取り上げられました

2014.11.25
岡澤教授が第37回分子生物学会年会でシンポジウム発表を行ないます。
「DNA損傷修復と神経変性疾患」

2014.09.21
岡澤教授の行ったアルツハイマー病の超早期病態に関わる研究成果が、NHK 総合テレビの『おはよう日本』で朝のニュースに取り上げられました。科学文化部HPで見ることができます。

2014.09.16
アルツハイマー病の治療開発においては、発症前に早期病態を解明することが現在の最重要課題とされています。我々は、最新の質量分析技術とスーパーコンピュータを用いたシステムズバイオロジーを駆使して、アルツハイマー病モデルマウスおよびアルツハイマー病患者脳のタンパク質を網羅的に解析し、発症前さらには老人班と呼ばれる異常タンパク質凝集が開始する前に、タンパク質リン酸化シグナルの異常が超早期病態として存在することを発見しました。この研究は文部科学省の新学術領域研究支援のもと、また脳科学研究戦略推進プログラムの一環として行われたもので、その研究成果は、国際科学誌 Human Molecular Genetics(ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス)に、2014年 9月17日午前9時(英国 夏時間)にオンライン版で発表されます(詳細を見る)。

2014.09.11
岡澤教授が研究代表を務める「変性性認知症による脳機能ネットワーク異常の全容解明」プロジェクトが平成26年度「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」の臨床研究グループテーマに採択されました。

2014.07.29
私たちが進化の上で獲得した大きな脳は、ヒトがヒトたる上での基盤です。我々は、マックスプランク研究所、ハーバード大学などとの国際共同研究で、脳サイズ縮小を来す遺伝性疾患(小頭症)の新規病態メカニズムを解明し、ウィルスベクターによる人為的な脳サイズ調節にも成功しました。この研究は文部科学省の新学術領域研究ならびに科学技術振興機構CRESTの支援のもと、また脳科学研究戦略推進プログラムの一環としておこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Molecular Psychiatry(モレキュラー・サイキアトリー)に、2014年7月29日午前4時(米国東部夏時間)にオンライン版で発表されました (プレスリリース)。現・ミネソタ大学研究員・伊藤日加瑠博士、現・精神科の塩飽裕紀博士、特任助教・吉田千里博士などが主要な役割を果たしました。

2014.04.30
富山大学大学院・医学薬学研究部(薬学)水口峰之教授との共同研究により、知的障害の原因解明につながる研究成果を発表しました。共同研究グループは、知的障害の発症にpolyglutamine-tract binding protein 1 (PQBP1)遺伝子の変異が関与することに着目し、PQBP1タンパク質の機能障害が生じる原因を解明しました。本研究の成果は、英国の電子版科学誌 Nature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)に掲載されました(詳細を見る)。

2014.04.01
岡澤教授が脳統合機能研究センター(Center for Brain Integration Research, CBIR)のセンター長に就任しました。

2012.7
知的障害遺伝子PQBP1の寿命への影響についての論文がNeurobiology of Agingにアクセプトされました。

2012.4
King's College of London (UK)との共同研究論文がCell Pressから発行されているBiophysical Journalに掲載されました。知的障害原因遺伝子PQBP1のタンパク構造解析に関する成果です。

2011.12
新学術領域『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』の冬の班会議を熱海で行いました。

2011.11
MD-PhDコース学生・中村蓉子さんの論文がHuman Molecular Geneticsにアクセプトされon lineで掲載されました。脊髄小脳変性症7型の原因遺伝子の新たな機能を示すもので、病態理解や新しい治療に発展する可能性があります。

2011.11
岡澤教授が北米神経科学学会(SfN)のサテライトシンポジウムでPQBP1遺伝子異常症について講演します。

2011.9
岡澤教授が15th International Workshop on Fragile X and Early-Onset Cognitive Disorders (MR Workshop) においてPQBP1遺伝子異常症について講演しました。

2011.8
新学術領域『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』の夏の班会議が8月21日・22日に神戸・国際会議場で行われました。(http://www.tmd.ac.jp/mri/shingakujutu/)(http://www.hokatsu-nou.nips.ac.jp/

2011.5
岡澤教授が 日本神経学会 楢林賞 を受賞しました。

2010.10
脳科学研究戦略推進プログラム 課題E (http://brainprogram.mext.go.jp/) に岡澤グループとして参加します。

2010.10
ポリグルタミン結合タンパク(PQBP1)の機能低下による認知障害の分子メカニズムに関する研究成果が、Journal of Neuroscienceに発表され、JST及び東京医科歯科大学からプレスリリースされました(プレスリリース)。これは、田村助教らによる国際共同研究による成果です。PQBP1遺伝子異常による精神発達遅滞とハンチントン病などのポリグルタミン病の認知障害の両者の理解に役立つものと考えられます。

2010.7
文部科学省科学研究費補助金・新学術領域に『シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成』(領域代表者・岡澤 均)が採択されました。公募研究募集に向けてホームページを9月までに開設する予定です。

2010.6
小脳失調症の病態にバーグマングリアの増殖と機能の障害が関与していることと、この病態を担う新規分子マクセルを発見したことを報告しました。塩飽らによって行われた、この研究成果はEMBO Journalのon line 版に掲載され、同誌のAOP highlightにも取り上げられました。また、JST及び東京医科歯科大学からプレスリリースされ、朝日新聞、日刊工業新聞、海外メディアなどに取り上げられました。

2010.5
DNAダメージ修復タンパクKu70の機能障害がハンチントン病の主要病態であり、Ku70の補充療法でモデルマウスの寿命が顕著に延長することをJournal of Cell Biologyに報告しました。榎戸、田村、伊藤の3名がco-first authorです。DNA修復障害は老化においても重要な役割を果たしており、本成果は『老化と神経変性の類似性』を示す証拠として生物学的に重要な知見と考えられます。またKu70の補充療法が、最も重篤な症状を示すマウスモデルR6/2で従来の報告を上回る顕著な治療効果を示したことから、主要な神経変性疾患であるハンチントン病の治療につながることが期待されます。これらの成果は5月3日にプレスリリースし、日本経済新聞(記事を見る)、読売新聞(記事を見る)、毎日新聞、産経新聞(記事を見る)、Yahoo Japan ニュース、共同通信(記事を見る)、東京新聞、京都新聞、メディカルトリビューン(記事を見る)などに報道されました。

2009.10
科学技術振興機構CREST『精神神経疾患の分子病態理解に基づく診断治療に向けた新技術の創出』の貫名チームに岡澤教授が主な共同研究者として参加します。

2009.9
9月18日に第32回日本神経科学会Neuro2009にて、『自閉症と関連疾患研究の最前線』と題するシンポジウムを岡澤教授が東北大学・大隅典子教授と共に主催しました。また、このシンポジウムの内容を日本神経科学会からプレス発表しました。

2009.8
PQBP1遺伝子ノックダウンマウスの行動解析と治療に関する論文がHuman Molecular Genetics online版に掲載されました(11月に本掲載)。博士課程大学院生の伊藤君が主に行った仕事です。

2009.8
Oct-3/4 (Oct-4, Oct-3と同じもの)が神経幹細胞に発現していることを再確認した論文を報告しました。大学院生の秦さんと塩飽くんのco-first論文です。

2008.11
岡澤教授がPLoS ONEのeditorial board memberになりました。PLoS Oneは現在最も注目される科学雑誌グループPLoSの主要雑誌です。

2008.8
老化におけるHMGB1タンパクの減少を示す論文がBBRCに掲載されました(Enokido et al.)。老化とDNA高次構造の関連につながるか?

2008.7
修士学生の論文がEuropean Journal of Neuroscienceに掲載されました。Omi/HtrA2がハンチントン病に関連することを示した論文です。Omi変異はマウスで遺伝子変異が運動ニューロン/線条体ニューロン変性につながることが報告され、またパーキンソン病との関連が知られています。

2007.5.
Gordon Research Conference (GRC)(於:オーソア、フランス)でNature Cell Biology論文の内容を中心に発表しました。また、第3回Molecular Mechanism of Neurodegeneration(於:ミラノ)で口演しました。

2007.3.26.
ポリグルタミン病態のプロテオーム解析の成果が Nature Cell Biologyに掲載されました。 掲載号のNews and Views (リンク)に取り上げられるとともに、プレスリリースされました(リンク)。共同通信、日本経済産業新聞、東京新聞、京都新聞、日経バイオテクノロジージャパンなどに取り上げられました。

2007.1.24.
ポリグルタミン病態のトランスクリプトーム解析の成果がJournal of Neuroscienceに掲載されました。

2006.2.14.
神経変性に関する新しい細胞死の形を報告しました。この成果はJournal of Cell Biologyの表紙を飾り、トピックスとして取り上げられました(プレスリリース)。また、読売新聞夕刊、日本経済産業新聞朝刊、日本工業新聞、科学新聞、Yahoo Newsなどにも紹介されました。