第3回『知と癒しの匠の創造者たち』 

第3回『知と癒しの匠の創造者たち』 

M&Dタワー2階「鈴木章夫記念講堂(東側)展示スペース」のご案内です。今回のテーマは「知と癒しの匠の創造者たち」です。

初代校長 島峰徹先生 1928(昭和3)年10月13日~1945(昭和20)年2月9日

1905年東京帝国大学医科大学卒業。東京高等歯科医学校(東京医科歯科大学の前身)の創立者。1907年よりドイツ・ベルリン大学、ブレスラウ大学に8年間留学。歯科医術教育・試験制度ならびに称号認可制度の調査のためヨーロッパ各国を視察。 1914年10月に米国の歯科学状況・教育・試験制度調査のためフィラデルフィア、ボルチモア、ワシントン、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、サンフランシスコ等の歯科学校ならびに歯科大学を見学。
1915年医術開業試験附属病院歯科医長、1928年東京高等歯科医学校校長、1944年東京医学歯学専門学校校長となり医学科を設置。1930年ドイツ・ブレスラウ大学よりDr. Medicina Dentariae Honoris Cause(名誉歯学博士)の学位を授与される。写真は、1937年頃の撮影と思われる。大礼服を着用し、ドイツ国最高表賞ローテルクロイツ勳一等、および日本国勲三等を佩用している。

文部省歯科病院講習会

東京高等歯科医学校の母体となった文部省歯科医術開業試験附属病院(文部省歯科病院)で行われた歯科講習会終了後の記念撮影、1926年3月頃。前列、右より高橋新次郎、檜垣麟三、島峰徹病院長、長尾優、川上政雄の諸先生。後列は受講者と思われる。1923年頃より開業医向けに行われたこの講習会は、当時としては画期的なものでとても人気があった。

東京高等歯科医学校教官の寄せ書き

1943年頃に書かれた東京高等歯科医学校教官の寄せ書き。中央に島峰徹校長の筆による『和』の文字がある。

教官の面々

上段左から、藤田恒太郎教授(系統解剖学、系統組織学、歯牙組織学), 宮崎吉夫教授(病理学、病理組織学), 中村平蔵教授(歯科外科学、口腔病理学、外科的補綴学), 川上政雄教授(歯牙解剖学、補綴学)

下段左から、高橋新次郎教授(歯科矯正学), 金森虎男教授(口腔外科学、のち東京帝国大学医学部口腔外科学講座教授), 檜垣麟三教授(保存学、口腔衛生学)

2代校長・初代学長 長尾優先生 1945(昭和20)年2月10日~1961(昭和36)年6月30日

1913年東京帝国大学医科大学卒業。島峰徹先生のもとで東京高等歯科医学校の設立に貢献。島峰先生に次いで東京医学歯学専門学校校長。戦後、歯科専門学校の大学昇格設立に尽力。1946年東京医科歯科大学の初代学長となる。専門は歯科補綴学。日本歯科医学会初代会長。歯科材料に造詣が深く、我が国初の歯科材料研究所(現・生体材料工学研究所)の設立に寄与した。

2代学長 岡田正弘先生 1961(昭和36)年7月1日~1968(昭和43)年2月29日

1925年東京帝国大学医学部医学科卒業。専門は薬理学。 1959年に「硬組織の生理と薬理の研究」で第49回日本学士院賞受賞。学生にとても人気があり、森鴎外の研究者、エッセイストとしても知られ著書に『忙裡雑筆集』がある。

3代学長 太田敬三先生 1968(昭和43)年3月1日~1969(昭和44)年10月8日

1926年東京帝国大学医学部医学科卒業。専門は小児科。1949年6月より初代東京医学歯学専門学校附属医院国府台分院長。1956年4月より医学部附属病院長。

4代学長 清水文彦先生 1969(昭和44)年10月9日~1974(昭和49)年9月17日

1932年東京帝国大学医学部医学科卒業。専門は細菌学。1961年7月より医学部長。宮本璋、北博正両教授とともに医学部附属衛生検査技師学校の設置を発案し、1962年4月初代学校長を併任。1963年4月医学部附属遺伝病研究施設長を併任。

5代学長 勝木保次先生 1974(昭和49)年9月18日~1977(昭和52)年7月31日

1931年東京帝国大学医学部医学科卒業。当初は耳鼻科を専攻していたが、生理学教室に移る。1949年東京医科歯科大学教授、1974年学長に就任。研究は、聴覚の中枢神経機構を究明したもので、脳内の聴覚経路の電気活動を微小電極で追跡し、内側膝状体に至る中継核で音周波数および音強度の弁別が完成し、大脳聴覚領ではより高次の統合が行われることを明らかにした。その業績に対し、朝日文化賞(1962年)、第53回日本学士院賞(1963年)、文化勲章(1973年)および勲一等瑞宝章(1979年)が授与された。

6代学長 吉田久先生 1977(昭和52)年8月1日~1985(昭和60)年7月31日

1941年東京帝国大学医学部医学科卒業。専門は小児科。信州大学教授を経て、1968年9月太田敬三前教授の後を引き継ぎ、本学小児科学教室教授に就任。1977年8月学長に就任。
1978年6月14日、創立50周年を記念し、シンボルマークを制定。本学の発展の歴史とその将来のあるべき姿を、本学の所在地である湯島にちなんで、湯島天神「学問の神」の象徴である梅の花になぞらえて図案化した。花の芯にあたる中央の輪は、旧東京高等歯科医学校の校章であり、これを基盤として現在の本学があることを示している。
5枚の花弁は、医学部、歯学部、教養部、生体材料工学研究所、難治疾患研究所の5部局を表し、それらが、がっちりとスクラムを組んで花を咲かせているという本学の姿を表現している。

7代学長 加納六郎先生 1985(昭和60)年8月1日~1991(平成3)年7月31日

1945年千葉医科大学医学部医学科卒業。1956年4月初代公衆衛生学教室助教授。1957年1月教授に昇任。1963年4月医動物学教室の設置とともに初代教授となる。1961年頃からは本格的にハエの研究を開始し、1972年までに『Fauna Japonica』(日本動物誌)のニクバエ科、クロバエ科、イエバエ科(Ⅰ)の3冊を刊行した。1977年8月より医学部長。

8代学長 山本肇先生 1991(平成3)年8月1日~1995(平成7)年7月31日

1953年東京医科歯科大学歯学部卒業。初の本学出身学長。東北大学歯学部の設置にあたりその創設に尽力、東北大学教授、東北大学歯学部長を経て、1983年石川梧朗教授の後任として本学歯学部口腔病理学教授に就任。我が国歯科界におけるレーザー研究の草分けでありかつ第一人者。1988年国際歯科レーザー学会初代会長、第1回国際学会大会会長。日本レーザー歯学会初代理事長。「レーザー照射による齲蝕予防その他歯科応用に関する研究」で1993年に第83回日本学士院賞受賞。

9代学長 鈴木章夫先生 1995(平成7)年8月1日~2008(平成20)年3月31日

1956年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。専門は心臓外科学。医学部卒業後に東京米国陸軍でインターンを務めた後、1957年7月米国にわたり、ニューヨーク州アルバニー医科大学、オハイオ州クリーブランド市セントヴィンセントチャリティ病院胸部外科チーフレジデント、ミシシッピ大学医学部外科準教授、同大学附属病院心臓血管外科部長などを経て帰国。1974年9月、順天堂大学に招聘され、同大学医学部胸部外科教授に就任。1983年2月から東京医科歯科大学医学部胸部外科学講座初代教授として教育・研究・診療に従事した。その後、医学部附属病院長、医学部長、評議員を歴任し、1995年3月に停年退官。同年8月1日には学長に就任した。心臓外科分野では、1960年、米国にて自作の人工弁を用いて、重症弁膜症の患者の手術に人類史上初めて成功した。「後天性心疾患の外科治療の開発と確立」により1996年11月に日本医師会医学賞を受賞。1997年11月紫綬褒章を受賞。長年にわたり心臓血管外科学の臨床と研究に努め、新たな術式・治療法を開発。2007年文化功労者に選ばれた。

ハーバード大学との医学教育提携

2002年「世界トップレベルの医師、歯科医師、コ・メディカル・スタッフを育成するとともに世界をリードする医学・歯学研究者の養成」を目的として、ハーバード・メディカル・インターナショナル(HMI)との医学教育提携契約を締結した。この医学教育提携は、ハーバード大学医学部での研修を目的とした教員派遣、ハーバード大学医学部からの教員招聘、ハーバード大学医学部での臨床実習を目的とした学生派遣を3つの大きな柱として、着実に成果を上げている。写真左は2002年12月第1回リーダーシップコースの派遣時に学長室で行われた結団式。写真右は2004年に第1回臨床実習に派遣した学生。

10代学長 大山喬史先生 2008(平成20)年4月1日~2014(平成26)年3月31日

1966年東京医科歯科大学歯学部卒業。専門分野は歯科補綴学、スポーツ歯学。タイ国無歯科医村住民への歯科治療を行う「タイ国王様プロジェクト」に長年にわたり参加している国際医療人。本学のミッションを『知と癒しの匠を創造する』と掲げ、医療人としての知識のみならず豊かな教養と深い洞察力、高い倫理観を兼ね備えた人間性の涵養、そして、自ら学び、自ら問いかける創造的人間の養成を目標とし、臨床面、研究面における国際社会のリーダーとして活躍できる医療人、研究者の養成を目指す。ガーナ、チリ、タイに海外研究拠点を設置し本学職員である医師・研究者を常駐し各々の国で問題となっている感染症、大腸癌等の研究に関する学術交流を行っている。また、本学のリーダーシップのもと、チュラロンコン大学、インドネシア大学およびホーチミン医科薬科大学と連携してコンソーシアムを形成し、我が国が有する先端的な機器や材料、最新の技術を基盤として、東南アジアに医療・歯科医療ネットワークを構築することを目的として世界展開力強化事業を立ち上げた。さらに、高齢者医療において診療に当たる医師・歯科医師は、専門分野のみならず、ともに深い基礎医学・病態生理の理解のもと、双方の診療に精通した上で協調的包括的な医療の提供を求められているため、学科・講座の区分を超えた総合的・統括的教育カリキュラムを学士教育から導入した「医歯学融合教育」によるカリキュラムを2011年度から開始した。

海外派遣制度の整備

若手研究者を育成するため、東京医科歯科大学基金により海外へ研修派遣するための奨励制度を整備し、各学部学科、研究科で成績・修学態度の優秀な者を毎年20名程度、数ヶ月にわたり、イリノイ大学メディカルセンター(米国)、セイナヨキ応用科学大学(フィンランド)、シドニー大学(オーストラリア)、インペリアルカレッジ(英国)等、国際交流協定を締結している海外の大学および機関へ研修派遣している。

(写真左)海外研修奨励制度で2013年度に海外へ派遣される学生たち。(写真右上)フィンランドのプログラムで派遣先の教員と一緒の様子。(写真右下)CLC(チリ)で内視鏡手術を観察する学生。