「 CARD9欠損症の東アジアにおける創始者効果 」【金兼弘和 寄附講座教授】
― 遺伝病の起源に迫る ―
ポイント
- 侵襲性真菌感染症を発症した日本人患者2名をCARD9欠損症と同定しました。
- 東アジアのCARD9欠損症患者では、CARD9 c.820dupバリアントが高頻度に同定されることを明らかにしました。
- CARD9 c.820dupバリアントは2000-4000年前に存在した共通の祖先に由来する可能性が高いことをつきとめました。
研究の背景
研究成果の概要
研究成果の意義
用語解説
※1バリアント
DNAの塩基配列の置換、欠失、重複、挿入、逆転などの種類があり、病的意義のあるものを病的バリアントと呼ぶ。
※2常染色体潜性遺伝
常染色体上にある遺伝子にバリアントを一つもつ保因者の両親から、そのバリアントをもつ遺伝子をそれぞれ引き継ぐことで発症する遺伝形式のこと。
※3先天性免疫異常症 (inborn errors of immunity. IEI)
従来原発性免疫不全症と呼ばれていたが、易感染性のみならず、自己免疫疾患や悪性腫瘍の合併も多くみられることから、疾患概念の変化とともに用語も変更されるようになり、500近くの原因遺伝子が知られている。
※4創始者効果
ある特定の集団で、集団の創始者の遺伝学的な特徴が高頻度にみられる現象のこと。
※51塩基多型 (single nucleotide polymorphism. SNP)
DNAの一つの塩基が別の塩基に置き換わったもので、個人の遺伝情報の違いを反映する。
※6ハプロタイプ
単一の染色体上の遺伝子多型の組み合わせのこと。
論文情報
掲載誌: Journal of Clinical Immunology
論文タイトル: Inherited CARD9 deficiency due to a founder effect in East Asia
研究者プロフィール
金兼 弘和 (カネガネ ヒロカズ) Kanegane Hirokazu
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
小児地域成育医療学講座 寄附講座教授
・研究領域
先天性免疫異常症、小児感染症、血液・腫瘍学
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
発生発達病態学分野 大学院生
・研究領域
先天性免疫異常症、血液・腫瘍学
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
小児地域成育医療学講座 金兼 弘和 (カネガネ ヒロカズ)
E-mail:hkanegane.ped@ tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm@tmd.ac.jp
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