医局員便り(~2022年)
手記を通して,当分野での学生生活の雰囲気をお届けできればと思います.
47都道府県旅行(李彬,2022.11月)
私は大学生時代より旅行で47都道府県制覇をするという目標を持っていました。この2年は新型コロナウイルスの関係で制覇へ向けた足取りが重くなっていましたが、現時点では残り10都道府県に訪れれば全国を練り歩いたことになります。
大学時代の旅行で撮り溜めた47都道府県旅行写真を最近編集して地道に個人的にアルバムにしていっているので、記憶に残った旅先を3つほどここで写真と共にシェアできたらと思います。
まず1つ目は千葉県館山にある沖ノ島です!
海上自衛隊の近くにある、引き潮の際に上陸できるとてもコンパクトな島です。一見なんの変哲もない島ですが、引き潮にしか上陸できない、森を抜けて島反対側へ抜けるとザリガニや小魚がたくさん岩の窪みに生息している、海岸がある、晴れてる日は海挟んで富士山が綺麗に見えるといった冒険心をくすぐるポイント満載の島でした。街の喧騒に疲れてしまった際は心をリセットするにも最適なポイントです。
長くなりましたが、みなさんはどんな旅先が印象に残っていますか?自分は今後研究と治療を両立させながらまた旅を少しずつできたらと思っています。今年も残りわずかですが、最後まで頑張りましょう♪
夏の思い出(内海澪奈,2022.9月)
大学院2年の内海澪奈です.7月の補綴学会やお盆休みも終わり少し涼しくなってきました.
昨年の補綴学会はオンライン開催だったため,初めて現地に行き学会の空気感を堪能してきました.先輩方のポスター発表を見たり,シンポジウムを聞いたりして,オンラインでは味わえないライブ感にワクワクしました.
まだコロナが落ち着いていないため,医局での打ち上げはできませんでしたが,大阪名物たこ焼きやお好み焼き,串カツを食べて少し遠出気分も味わってきました.
広島県第二の都市で新幹線のぞみも停まるんですよ.
備後国,水野勝成が建てた福山城は新幹線のホームから最も近いお城で,今年で築城400年になります.東京に戻る新幹線のホームから写真を撮ったのですが,小学校のころイベントのたびに,お城や周りにある美術館や博物館に行っていたのを懐かしく思い出しました.
意外にも医局内に縁のある先生が多く,たまに地元の話題で盛り上がっています.
石神井公園(若林則幸. 2022.6月)
私は子供の頃から練馬区に住んでいます.石神井(しゃくじい)公園には土曜日と日曜日の早朝,とくに最近は犬と一緒に散歩するのが習慣になりました.
石神井公園にはボート乗り場のある石神井池(しゃくじいいけ)と,石神井城跡のある三宝寺池(さんぽうじいけ)の2つの池があります.私の散歩は,三宝寺池の西の端から南側の城跡を池沿いに歩いて半周し,つぎに石神井池を西端から反時計回りに池沿いの草花を眺めながら一周し,最後に三宝寺池の北側を歩いて最初の場所に戻る,だいたい45分くらいのルートです.休日のたびに行って飽きないのは,城址周囲の森林や野鳥の生息地である沼沢を持つ三宝寺池と,お花見のできる公園と住宅地からなる石神井池という特徴ある2つの池の景観によると思います.加えて,私にとっては子供の頃からの断片的な記憶,楽しかったことや大変だった出来事,昔の友人や知り合いの姿を,散歩しながら思い出して楽しめるからかも知れません.生まれ育った土地にずっと暮らせていることは,幸運なことだと思います.
小学生の夏の日,友だちと自転車で来た記憶があります.当時住んでいた地域からは少し距離があるので,何を目的に来たのかは思い出せませんが,たぶん自転車の走り具合を確かめたくて,どこでも良いので遠出したかったのでしょう.当時は道路がほとんど舗装されていなかったので,ガタガタ道を子供の自転車を懸命に走らせてたどり着いたのだと思います.そのとき,三宝寺池のそばの店でファンタオレンジを飲んだことをはっきり覚えているのですが,実はその店は今でもあります.そのお茶屋は現在,休日の夕方はオープンエアの座敷席でおでんとお酒を楽しむ人で賑わっています.当時からすでに50年以上経過しており,開店前の早朝に見ると老朽化は明らかで,このお店が今の形でいつまで続くのかなと思ったりします.
最近,江戸時代の地図を現在の地図に重ね合わせるアプリを使うようになりました.石神井公園の辺りを見てみると,200年前はもちろん池の周りは農地ばかりですが,興味深いことに,三宝寺池は現在よりも広く,現在ある池の周りの木道は,かつては池の一部だったことが分かります.
今よりも大きな三宝寺池は,500年ほど前まで豊島氏の居城であった石神井城を取り囲んでいました.右の写真の沼沢地の向こうに見える森の中に,かつて城があったのです.この場所は私が子供の頃は釣り堀として賑わっていましたが,現在は珍しい野鳥を求めてカメラを持った人が集まる場所になっています.石神井城が太田道灌によって落城することとなったとき,豊島氏の3人の姫が池に入水したという悲しい伝説も残っており,これが池の名前の由来とも言われています.
一方,石神井池は江戸時代までは池ではなく,三宝寺池から流れる細い川だったこともアプリから分かります.つまり石神井池は人工池であり,近代化と共に宅地が整備される中で公園とするために川を拡大したものなのです.石神井池の北側は石神井公園駅から近いこともあって人気の住宅地ですが,つい100年くらい前までは雑草の生い茂る河川敷だったと想像できます.左の写真はリゾート地の湖畔のホテルのように見えますが,実際は石神井池に面した民家です.
私の散歩のクライマックスは三宝寺池に戻り,北側の森林を歩く時間です.木道と池の間には,武蔵野三大湧水の一つの名残と思われる湧き水も見られます.
ここにはメタセコイヤとかラクウショウと呼ばれるヒノキが密集しています.立ち止まって上を見ながら深呼吸をすれば,森に満たされた神聖な空気が身体中に取り込まれ,生まれ変わったような気分になります.
2つの池を一周すると,私の短い旅は終了し,池に映る空の色と厳島神社弁天の佇まいを確認し,日の光があるときは2,3分の間,全身に日を浴びて深呼吸をします.そして自転車に乗り,犬を走らせながら家に戻るのです.
新年度ですね!!(小林義夫,2022.4月)
こんにちは.大学院3年の小林義夫です.自分は普段,生体補綴歯科学分野で診療しつつ研究をしております.
いきなりですが,皆様はJR鶴見線という路線をご存じでしょうか?神奈川県にある,鶴見駅と扇町駅との間を結ぶ路線です.この路線には大川支線,海芝浦支線という2つの支線が分岐しております.先日時間があり,またたまたま鶴見線に乗る機会があったので海芝浦支線の終点,海芝浦駅に行ってみました.実はこの駅,非常に有名らしいのです.皆さんはご存じですか?有名な理由は駅に降り立てば一目でわかります.実はこの駅,駅舎から一歩たりとも外に出ることができません.(厳密には駅周囲がすべて東芝の工場の敷地であり,そこに勤めている人のみが改札を抜けて外に出ることができます.) 知らずにこの駅に来てしまったらそのまま折り返して帰るしかありません.知る人ぞ知るかなり変わった駅であり,コアなファンが立ち寄るスポットのようです.
自分はたまたまこの駅のことを知って立ち寄りましたが,興味のある方はぜひ行かれてはいかがでしょうか?東京医科歯科大学のJRの最寄り駅である御茶ノ水駅からは中央線,京浜東北線,鶴見線と乗り換えれば1時間ほどたどり着くようです.新しい世界が開けるかもしれません.
さて,自分が東京医科歯科大学で研究,診療をしていても,日々今まで出会ったことのないことの連続です.様々な専門分野の先生,様々な事情を抱えた患者など,さまざまです.日々悩んだり上の先生にご指導を仰ぎながら少しずつ前に進めております.しかし実は自分が気づいていないだけでもっともっと新しい学びや気づきが身近に転がっているのかもしれません.この分野で学ぶとそうしたヒントもいたるところに転がっていて楽しいです.もし入局するか迷っていらっしゃる方がいれば,ぜひ私たちと一緒に学びましょう.
骨と力の研究(松野瞳,2021年10月11日)
こんにちは、大学院3年の松野瞳です。
先日、日本骨形態計測学会に参加してきました。コロナ下でオンライン開催の学会が多い中、久々に現地開催の学会でした。(もちろん感染対策は十分に行われていました!)オンライン開催にも様々なメリットがありますが、会場での発表や質疑応答はやはり臨場感があって良かったです。来年は発表したいと思います。
私は現在、大学院生として「マウス天然歯を介する応力および歪みの大きさ・方向が歯槽骨の骨リモデリングに及ぼす影響」をテーマに研究をしています。簡単に言うと、「歯にどのような力が加わった時に周囲の歯槽骨が増えたり減ったりするのか」ということを、動物の骨を用いた実験結果とコンピュータ上でシミュレーションした応力の分布結果とを組み合わせて調査しています。
力と骨との関係は不思議で、一般的には骨に全く力がかからない場合に骨は減り、適度な力がかかると骨は増え、さらに大き過ぎる力がかかると骨は減る、と言われています。しかしどの程度の力が適度で、どこからが過大なのかは十分に解明されていません。口腔内では歯や義歯を介して咬合力が歯槽骨に伝えられますが、歯槽骨全体に一様に伝えられるのではなく、骨の形や硬さなどの要因によって応力や歪みとして不均一に伝えられます。歯槽骨が増加または減少するような応力や歪みの条件(大きさや方向)が分かれば、口腔内で義歯やクラウンなどの補綴物を機能させた時の歯槽骨の増減の予測に役立つと考えています。そして将来的に、治療前に補綴物装着後の歯槽骨の増減をシミュレーションできるような診断システムをつくれると良いなと思いつつ、研究に励んでいます。
歯科医師になる前は、口腔内の健康を保つにはむし歯や歯周病を引き起こす細菌から歯や歯周組織を守ることが重要だと思っていました。しかし、部分床義歯補綴学分野に入局後、口腔内での力のバランスが崩れ、歯や骨が次々に失われていくような欠損補綴症例を義歯外来で経験し、細菌だけでなく力のコントロールも歯や歯槽骨を守る上で非常に大切だと日々感じております。
研究も臨床もまだまだ学ぶことがたくさんありますが、一つ一つ習得し前進していきたいと思います。