医局員便り

医局員便り

このページでは,当分野の若手医局員(大学院生,大学院研究生)を中心に,医局員の手記を定期的に更新していきます.

手記を通して,当分野での学生生活の雰囲気をお届けできればと思います.

夏 和歌山がおすすめです (内田裕爾,2023.7月)

こんにちは、大学院3年生の内田裕爾です。今年も暑い夏がやってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。今回は皆様に暑い夏にぴったりな場所を紹介します。

私は以前研修医として半年間和歌山県に住む機会があり、その際に和歌山県の魅力をたくさん感じたので少しご紹介させていただきます。私は大阪出身のため和歌山県は隣の県なのですが、昔から遠いというイメージもありなかなか訪れる機会がありませんでした。しかし、都内からは意外と近く羽田空港から約1時間で着く南紀白浜空港があるため東京からのアクセスはとても良いです。

1.    白良浜・白浜温泉
名前の通り美しい白い砂浜と海が広がる白良浜は海水浴だけでなく、温泉街でもあり美しい海を眺めながら温泉に入ることができます。“崎の湯”という波しぶきが届くほど海を近くに感じられる温泉や本物の宮殿の中に迷い込んだと感じられるような温泉もあり、それぞれ日帰り温泉でも楽しめるのでおすすめです。

白良浜

ホテル川久

2.    熊野本宮大社・熊野那智大社
世界遺産に登録されている“熊野古道”は“熊野三山”と呼ばれる3つの大社へ続く参詣道のことを指します。“熊野三山”は“熊野本宮大社”“熊野速玉大社”“熊野那智大社”の3つの神社を指します。私はその中でも、本宮大社と那智大社に行きました。
熊野本宮大社は全国の熊野神社の総本宮であり、非常に厳かな雰囲気のある神社でした。周りが山と川のみに囲まれており、緑と川の美しさを存分に感じられる非日常な空間であり、スポーツに興味のない方でも一度は見たことのある日本サッカー協会のシンボルの八咫烏という3本足のカラスが「導きの神鳥」として信仰されています。その他、近くに日本一の大鳥居もありとても美しいです。

熊野本宮大社

高さ日本一の大鳥居

熊野那智大社は山の上にある神社でかなりの石階段を登って向かいます。神社以外にも見所があり、日本一の高さを誇ることで有名な“那智の滝”、囲碁に使われる那智黒と言われる黒の碁石が参詣道の途中でたくさん売っています。

熊野那智大社

那智黒の碁石

3.    フルーツ王国
 最後に和歌山県といえばみかんの生産地として有名ですが、みかん以外にもたくさんの美味しいフルーツがあります。市場には桃やぶどうなどはもちろん、ドラゴンフルーツやマンゴー、ライチなど普段あまり食べないようなフルーツがあり、週末に市場に行くことが毎週の楽しみでした。
 

アドベンチャーワールドのパンダ 左は伝説のパパ永明さん 右は当時1歳半の結浜 by編集者が勝手に追加

関東の人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、このように和歌山県は美しい海、山、川が多く、自然の魅力、食の魅力にあふれています。またアドベンチャーワールドにはパンダもたくさんいます。機会があればぜひ訪れてみてください。
大学院生活では臨床と研究の日々がまだまだ続きますが、たまにはリフレッシュできるような場所に旅行したいと思います。

春の訪れ (小峰広平,2023.3月)

こんにちは.4月より大学院3年生となる小峰広平です.暖かな日差しに春の訪れを感じるこの頃となりましたが,みなさまいかがお過ごしでしょうか.
私は現在大学院生として,研究と診療をしております.研究は主に,熱負荷を与えた時に補綴装置に生じる熱応力に関して行っており,昨年末に日本補綴歯科学会東京支部会で初めての学会発表を経験しました.緊張もしましたが,現地開催として意見をいただける貴重な機会となりました.
さて,日本がWBC優勝しました!
私は1次ラウンドのオーストラリア戦と,準々決勝のイタリア戦を現地東京ドームで観戦してきました.それぞれ大谷選手のホームランと,球速160キロ超えのピッチングを生で見ることができて感無量でした.
準々決勝,決勝と先制されながらもチーム一丸となって戦い,逆転する日本代表の選手たちの姿に胸を打たれました.個人的には,小さい頃から応援している読売ジャイアンツの選手たちの活躍がとても嬉しかったです.私も,目標のために努力する姿を見習いたいと思います.
来年度も先輩方に臨床や研究の指導を頂きながら,私自身いろいろなことを学んでいきたいです.また,多くの新入生が生体補綴歯科学分野に入局して下さるので,先輩としてサポートもできたらと思います.

北の国から(和田淳一郎,2023.1月)

Terve! Mita kuuluu?
ご無沙汰しております,昨年4月より北欧はフィンランドの古都・トゥルク(Turku)に留学中の和田です.

Turku Clinical Biomaterials Centre (TCBC)というTurku大学の研究機関(図1)で,主に3Dプリンティング材料の物性改善に関する基礎研究やグラスファイバー補強材の動揺歯固定効果の検証を行っています.これまでほとんど関わりのなかった材料研究にどっぷり浸かれる1年なので,帰国後は,臨床研究と材料研究双方のスキルを活かした,生体補綴歯科学分野ならではの研究を展開したいと思っています.

図1.A:TCBCがある「Pharmacity」という建物(一番下に「TCBC」のロゴが見える).B:円形が特徴的な歯学部附属病院(この中に細菌培養などの研究室もある).C:古都ならではの趣深い風景(TCBCから徒歩10分の場所にあるトゥルク大聖堂とアウラ川).

さて,ご存じの方も多いと思いますが,フィンランド生活での楽しみの一つに「サウナ」があります.とりわけ,研究所のボスがサウナ好きであるため,学会や休暇でトゥルクを離れる時以外は,ほぼ毎晩(土日も含む),21~22時の1時間,湖のほとりの公衆サウナに赴き,研究所以外のサウナ好きの皆さんと楽しい時間を過ごしています(既に,40回券ももうすぐ5枚目に…)(図2A,B).こちらのサウナは,löyly(ロウリュ)という方式をとっており,自分たちで熱したサウナストーンに水をかけて,サウナの温度を調節します.また,サウナ内は社交場なので,みんな友人たちとの会話を楽しんでいます.静かにじっとテレビを眺めている日本のサウナとはまた違った趣きです(日本では多くのサウナ内にテレビがあることを教えると,ほとんどのフィンランド人は驚きます).仲の良いサウナ友達たち(ボスも含め)は,激熱サウナ(推定100~110度)が好みで,他人にお構いなしでどんどんロウリュをかけてしまうので,時々,他のお客さんと揉めます.それも含めてサウナを楽しんでいるようですが….私も,最初は熱いサウナはダメでしたが,最近はだいぶ慣れてきて,肌の色も変わってきました(図2C).サウナの後には,時々,「マッカラ」という,ソーセージを暖炉などで焼いて食べます.これもまた趣きがあって,私も大好きな食べ物の一つです(図2D).

図2.A:いきつけの公衆サウナ「JÄRVELÄ(ヤルベラ)」.B:氷の張った湖でアイススイミング.C:すっかり変色(?)した筆者の背中(軽い火傷状態なので,症状を緩和するためにもアイススイミングは必須).D:ボス(左:Lippo Lassila先生)とマッカラを楽しむ著者(右).

その他,「ムーミン」,「マリメッコ(衣類)」,「イッタラ(食器)」といった,フィンランド発のものをこよなく愛しているのも,こちらの方々の特徴です.多くを求めず,身の回りにあるものを愛し,楽しもう,という価値観が根付いており,こういった自国文化への無垢な愛情,満足感が,「国民の幸福度」に現れているように思います(フィンランドは国連の世界幸福度報告で常に上位にいます).

7月中旬~8月上旬にかけての3週間は,夏休みを利用してイギリスのKing’s College Londonの歯周病科に短期滞在させてもらいました(図3).久々に臨床データに触れる機会は新鮮でした.フィンランドと比べてCOVID19に対する緊張感を感じつつ,テムズ川の川沿いを散歩しながらの橋巡りは,墨田川や,学会で訪れたパリのセーヌ川,トゥルクのアウラ川とはまた違った趣きでした.

図3.A:お世話になった研究室があるKing‘s College London Guy’s Hospital.有名なタワーブリッジから徒歩10分.B:KCLでご指導いただいたMark Ide先生(左).C:22階の研究室からの風景(どこか懐かしい気持ちになりました).D:COVID19で亡くなった家族・友人へのメッセージが張り付けられたテムズ川沿いの風景.

また,EU圏内の移動はとても簡単です.パスポートは必要ですが,日本の国内線と同じくらいの簡便さで他の国を訪れることが出来ます.エストニアやスウェーデンには,船で訪れることもでき,特にエストニアは船を使っての日帰りも可能です.

図4.A:ヘルシンキとタリン(エストニア)を結ぶ船は複数の会社が掛け持ちして1日に6往復くらい.B:片道2時間強なので日帰りもOK.C:幾つか存在する「魔女の宅急便」の舞台のモデルの1つと言われているタリンの街並み.

この利便性を活かして,フィンランド以外にも様々な国の学会に参加して,5つの学会でポスター発表をすることが出来ました.どの学会も印象的でしたが,一番思い出深いのは,アテネ(ギリシャ)でのADM(Academy of Dental Materials)です.行きのトランジット(@ロードス空港)時に,発表用ポスターを手荷物再検査場に忘れてきてしまい,アテネで印刷業者を探してポスターを印刷してもらいました.学会では,日本からの先生方の堂々たる講演を拝聴できた他,市内観光も楽しめました.しかし,帰りのアテネ→ロードス便が大幅に遅延してしまい,予定していた飛行機に乗り継ぐことが出来ず,ロードス空港内で一夜を過ごし,翌日,ようやくフィンランドに戻ることが出来ました.

図5.A,B:SSPD@オーフス(デンマーク).学会レセプションに組み込まれていた現地の人気ロックバンドの野外コンサート(B).C,D:PER-IADR@マルセイユ(フランス).印象的な港町の真っ青な景色.E,F:EPA@シエナ(イタリア).シエナ大学は観光地のど真ん中.道中,立ち寄ったフィレンツェの町(F).G,H:ADM@アテネ(ギリシャ).現地で再印刷したポスター(G).メインテナンスの重要性を現代に伝えるアクロポリスのパルテノン神殿(H).

私は3月末に帰国し,4月より医局に復帰いたします.
話は尽きませんが,医局の皆さんに頂いた貴重な機会を最後まで大切に活かして,帰国後に還元できればと思っています!

47都道府県旅行(李彬,2022.11月)

こんにちは、大学院2年生の李彬です。一年もあっという間に過ぎ去って12月になりましたね。みなさんはこの一年どのようにお過ごしでしたでしょうか。

私は大学生時代より旅行で47都道府県制覇をするという目標を持っていました。この2年は新型コロナウイルスの関係で制覇へ向けた足取りが重くなっていましたが、現時点では残り10都道府県に訪れれば全国を練り歩いたことになります。

大学時代の旅行で撮り溜めた47都道府県旅行写真を最近編集して地道に個人的にアルバムにしていっているので、記憶に残った旅先を3つほどここで写真と共にシェアできたらと思います。

まず1つ目は千葉県館山にある沖ノ島です!
海上自衛隊の近くにある、引き潮の際に上陸できるとてもコンパクトな島です。一見なんの変哲もない島ですが、引き潮にしか上陸できない、森を抜けて島反対側へ抜けるとザリガニや小魚がたくさん岩の窪みに生息している、海岸がある、晴れてる日は海挟んで富士山が綺麗に見えるといった冒険心をくすぐるポイント満載の島でした。街の喧騒に疲れてしまった際は心をリセットするにも最適なポイントです。

沖ノ島の砂浜

沖ノ島からの富士山

次は鳥取砂丘です!こちらは人生初の現地開催の学会会場に行く途中に訪れたのですが、とても現実離れした素敵な景色が見られました。快晴の真夏日に訪れたので、砂からの熱気の照り返しと直射日光でクラクラしましたが、跡1つない砂丘と青い空、そしてエメラルドブルーの海の3つのみで形成されたシンプルで幻想的な景色が見られるのはここだけ!と感動しましたので、機会あればみなさんも是非訪れてみてください。

快晴真夏日の鳥取砂丘

鳥取砂丘と日本海

1番思い出深かった旅先は富山と長野を結ぶ立山黒部アルペンルートでした!こちらは標高が高いため、冬季から5月のGWまで厚い積雪があり、そのシーズンの雪壁はとても迫力はありました。雪溶け後は高山植物を探しながらトレッキングを楽しんだり、勿論本格的な登山も可能です。いろんな楽しみ方がある中、自分が訪れた際に1番感動したことは冬毛から夏毛に換毛している野生の雷鳥に出会えたことです!雷鳥は寒いところに生息しますので冬羽で覆われた足元は白くモフモフとしていてとても可愛らしいです。写真の雷鳥はさらに上半身が茶色の夏羽に変わり始めており、繁殖期に差し掛かる雄個体であることから眼の上に赤い肉冠も観測できるようになっています。とても興味深い姿をしている換羽期の雷鳥ですが、立山エリアでは保全が進んではいますが令和3年に観測できたのは300羽程度なので、非常にレアな体験ができたと思いました。

長くなりましたが、みなさんはどんな旅先が印象に残っていますか?自分は今後研究と治療を両立させながらまた旅を少しずつできたらと思っています。今年も残りわずかですが、最後まで頑張りましょう♪

立山黒部アルペンルート

冬毛から夏毛に換毛している野生の雷鳥

夏の思い出(内海澪奈,2022.9月)

日本補綴歯科学会と途中下車

こんにちは.
大学院2年の内海澪奈です.7月の補綴学会やお盆休みも終わり少し涼しくなってきました.

昨年の補綴学会はオンライン開催だったため,初めて現地に行き学会の空気感を堪能してきました.先輩方のポスター発表を見たり,シンポジウムを聞いたりして,オンラインでは味わえないライブ感にワクワクしました.
まだコロナが落ち着いていないため,医局での打ち上げはできませんでしたが,大阪名物たこ焼きやお好み焼き,串カツを食べて少し遠出気分も味わってきました.
開催中は京都で祇園祭も行われていたため,学会終了後は京都に途中下車して,お祭り気分も味わってきました.
 
お盆休みは実家に帰省してきました.広島県福山市をみなさんご存知でしょうか?
広島県第二の都市で新幹線のぞみも停まるんですよ.
備後国,水野勝成が建てた福山城は新幹線のホームから最も近いお城で,今年で築城400年になります.東京に戻る新幹線のホームから写真を撮ったのですが,小学校のころイベントのたびに,お城や周りにある美術館や博物館に行っていたのを懐かしく思い出しました.
意外にも医局内に縁のある先生が多く,たまに地元の話題で盛り上がっています.

福山城 福山駅新幹線のホームから

夏が終わり,学生実習なども始まります.ここからは大学院生としての生活に専念したいと思います.

石神井公園(若林則幸. 2022.6月)

石神井公園散歩map

私は子供の頃から練馬区に住んでいます.石神井(しゃくじい)公園には土曜日と日曜日の早朝,とくに最近は犬と一緒に散歩するのが習慣になりました.

石神井公園にはボート乗り場のある石神井池(しゃくじいいけ)と,石神井城跡のある三宝寺池(さんぽうじいけ)の2つの池があります.私の散歩は,三宝寺池の西の端から南側の城跡を池沿いに歩いて半周し,つぎに石神井池を西端から反時計回りに池沿いの草花を眺めながら一周し,最後に三宝寺池の北側を歩いて最初の場所に戻る,だいたい45分くらいのルートです.休日のたびに行って飽きないのは,城址周囲の森林や野鳥の生息地である沼沢を持つ三宝寺池と,お花見のできる公園と住宅地からなる石神井池という特徴ある2つの池の景観によると思います.加えて,私にとっては子供の頃からの断片的な記憶,楽しかったことや大変だった出来事,昔の友人や知り合いの姿を,散歩しながら思い出して楽しめるからかも知れません.生まれ育った土地にずっと暮らせていることは,幸運なことだと思います.

三宝寺池のそばの店

小学生の夏の日,友だちと自転車で来た記憶があります.当時住んでいた地域からは少し距離があるので,何を目的に来たのかは思い出せませんが,たぶん自転車の走り具合を確かめたくて,どこでも良いので遠出したかったのでしょう.当時は道路がほとんど舗装されていなかったので,ガタガタ道を子供の自転車を懸命に走らせてたどり着いたのだと思います.そのとき,三宝寺池のそばの店でファンタオレンジを飲んだことをはっきり覚えているのですが,実はその店は今でもあります.そのお茶屋は現在,休日の夕方はオープンエアの座敷席でおでんとお酒を楽しむ人で賑わっています.当時からすでに50年以上経過しており,開店前の早朝に見ると老朽化は明らかで,このお店が今の形でいつまで続くのかなと思ったりします.

江戸時代と現在の地図

最近,江戸時代の地図を現在の地図に重ね合わせるアプリを使うようになりました.石神井公園の辺りを見てみると,200年前はもちろん池の周りは農地ばかりですが,興味深いことに,三宝寺池は現在よりも広く,現在ある池の周りの木道は,かつては池の一部だったことが分かります.

沼沢地の向こうに見える森

今よりも大きな三宝寺池は,500年ほど前まで豊島氏の居城であった石神井城を取り囲んでいました.右の写真の沼沢地の向こうに見える森の中に,かつて城があったのです.この場所は私が子供の頃は釣り堀として賑わっていましたが,現在は珍しい野鳥を求めてカメラを持った人が集まる場所になっています.石神井城が太田道灌によって落城することとなったとき,豊島氏の3人の姫が池に入水したという悲しい伝説も残っており,これが池の名前の由来とも言われています.

石神井池に面した…

一方,石神井池は江戸時代までは池ではなく,三宝寺池から流れる細い川だったこともアプリから分かります.つまり石神井池は人工池であり,近代化と共に宅地が整備される中で公園とするために川を拡大したものなのです.石神井池の北側は石神井公園駅から近いこともあって人気の住宅地ですが,つい100年くらい前までは雑草の生い茂る河川敷だったと想像できます.左の写真はリゾート地の湖畔のホテルのように見えますが,実際は石神井池に面した民家です.

湧き水

私の散歩のクライマックスは三宝寺池に戻り,北側の森林を歩く時間です.木道と池の間には,武蔵野三大湧水の一つの名残と思われる湧き水も見られます.

メタセコイヤやラクウショウ

ここにはメタセコイヤとかラクウショウと呼ばれるヒノキが密集しています.立ち止まって上を見ながら深呼吸をすれば,森に満たされた神聖な空気が身体中に取り込まれ,生まれ変わったような気分になります.

2つの池を一周すると,私の短い旅は終了し,池に映る空の色と厳島神社弁天の佇まいを確認し,日の光があるときは2,3分の間,全身に日を浴びて深呼吸をします.そして自転車に乗り,犬を走らせながら家に戻るのです.

新年度ですね!!(小林義夫,2022.4月)

こんにちは.大学院3年の小林義夫です.自分は普段,生体補綴歯科学分野で診療しつつ研究をしております.


いきなりですが,皆様はJR鶴見線という路線をご存じでしょうか?神奈川県にある,鶴見駅と扇町駅との間を結ぶ路線です.この路線には大川支線,海芝浦支線という2つの支線が分岐しております.先日時間があり,またたまたま鶴見線に乗る機会があったので海芝浦支線の終点,海芝浦駅に行ってみました.実はこの駅,非常に有名らしいのです.皆さんはご存じですか?有名な理由は駅に降り立てば一目でわかります.実はこの駅,駅舎から一歩たりとも外に出ることができません.(厳密には駅周囲がすべて東芝の工場の敷地であり,そこに勤めている人のみが改札を抜けて外に出ることができます.) 知らずにこの駅に来てしまったらそのまま折り返して帰るしかありません.知る人ぞ知るかなり変わった駅であり,コアなファンが立ち寄るスポットのようです.

駅からは圧倒的存在感の東芝工場と遠くに橋が見えるだけであり,現実世界から切り離されてしまった感を強く感じます.といっても外に出ることはできないのでその雰囲気を味わい,写真を撮ったら他にやれることは特にありません.反対方向の電車が出発するまで周りを見ながらぶらぶらするだけです.しかし,この雰囲気が良いのか,その日もそれなりに人がいて,景色を撮影しておりました.それを見たときに「自分の知らない世界がまだまだあるんだな~」と強く感じました.関東出身の自分にとっては鶴見線というのは決して知らない路線ではなく使ったこともありましたが,この駅のことを全く知りませんでした.でももしかしたら普段興味を持っていないことには意外と知らないことだらけなのかもしれませんね.視野を広げてみると身近なところに新しい発見が待っているかもしれません.

自分はたまたまこの駅のことを知って立ち寄りましたが,興味のある方はぜひ行かれてはいかがでしょうか?東京医科歯科大学のJRの最寄り駅である御茶ノ水駅からは中央線,京浜東北線,鶴見線と乗り換えれば1時間ほどたどり着くようです.新しい世界が開けるかもしれません.


さて,自分が東京医科歯科大学で研究,診療をしていても,日々今まで出会ったことのないことの連続です.様々な専門分野の先生,様々な事情を抱えた患者など,さまざまです.日々悩んだり上の先生にご指導を仰ぎながら少しずつ前に進めております.しかし実は自分が気づいていないだけでもっともっと新しい学びや気づきが身近に転がっているのかもしれません.この分野で学ぶとそうしたヒントもいたるところに転がっていて楽しいです.もし入局するか迷っていらっしゃる方がいれば,ぜひ私たちと一緒に学びましょう.

 

骨と力の研究(松野瞳,2021年10月11日)

こんにちは、大学院3年の松野瞳です。

先日、日本骨形態計測学会に参加してきました。コロナ下でオンライン開催の学会が多い中、久々に現地開催の学会でした。(もちろん感染対策は十分に行われていました!)オンライン開催にも様々なメリットがありますが、会場での発表や質疑応答はやはり臨場感があって良かったです。来年は発表したいと思います。

私は現在、大学院生として「マウス天然歯を介する応力および歪みの大きさ・方向が歯槽骨の骨リモデリングに及ぼす影響」をテーマに研究をしています。簡単に言うと、「歯にどのような力が加わった時に周囲の歯槽骨が増えたり減ったりするのか」ということを、動物の骨を用いた実験結果とコンピュータ上でシミュレーションした応力の分布結果とを組み合わせて調査しています。

力と骨との関係は不思議で、一般的には骨に全く力がかからない場合に骨は減り、適度な力がかかると骨は増え、さらに大き過ぎる力がかかると骨は減る、と言われています。しかしどの程度の力が適度で、どこからが過大なのかは十分に解明されていません。口腔内では歯や義歯を介して咬合力が歯槽骨に伝えられますが、歯槽骨全体に一様に伝えられるのではなく、骨の形や硬さなどの要因によって応力や歪みとして不均一に伝えられます。歯槽骨が増加または減少するような応力や歪みの条件(大きさや方向)が分かれば、口腔内で義歯やクラウンなどの補綴物を機能させた時の歯槽骨の増減の予測に役立つと考えています。そして将来的に、治療前に補綴物装着後の歯槽骨の増減をシミュレーションできるような診断システムをつくれると良いなと思いつつ、研究に励んでいます。

歯科医師になる前は、口腔内の健康を保つにはむし歯や歯周病を引き起こす細菌から歯や歯周組織を守ることが重要だと思っていました。しかし、部分床義歯補綴学分野に入局後、口腔内での力のバランスが崩れ、歯や骨が次々に失われていくような欠損補綴症例を義歯外来で経験し、細菌だけでなく力のコントロールも歯や歯槽骨を守る上で非常に大切だと日々感じております。

 

研究も臨床もまだまだ学ぶことがたくさんありますが、一つ一つ習得し前進していきたいと思います。

これまでの便り