骨髄不全と免疫不全に関わるRAD50の異常を発見【金兼弘和 寄附講座教授】
― 新奇先天性免疫不全症としてRAD50欠損症を提唱 ―
ポイント
- 長らく謎であった骨髄不全と免疫不全を伴う疾患の原因が、RAD50の異常によることをつきとめました。
- 新奇先天性免疫不全症としてRAD50欠損症を提唱しました。
- ヒト骨髄および免疫細胞におけるRAD50の重要性が再認識されました。
研究の背景
研究成果の概要
研究成果の意義
用語解説
※1 MRE11-RAD50-NBN(MRN)複合体
MRN複合体は、MRE11、RAD50、NBNから構成されるタンパク質複合体である。真核生物では、MRN複合体は相同組換えや非相同末端結合による修復過程に先立って行われる、DNA二本鎖切断修復の開始段階に重要な役割を果たす。
※2 Nijmegen染色体不安定症候群(NBS)
染色体不安定性を基盤とした特徴的な身体所見と放射線感受性を呈する先天性免疫異常症であり、悪性腫瘍合併率が多い。
※3毛細血管拡張性運動失調症様疾患(ATLD)
毛細血管拡張性運動失調症様疾患(ATLD)はATM遺伝子異常による毛細血管拡張性運動失調症の類縁疾患であり、MRE11遺伝子異常を伴い、常染色体潜性遺伝形式をとる。
※4全エクソーム解析
ゲノムのエクソンと呼ばれるタンパク質翻訳領域だけを対象にシーケンスを行う技術である。エクソンは、ヒトゲノム全体の約1-2%を占めているに過ぎませんが、遺伝子疾患の原因となる変異の多くがこの領域に存在することが知られています。そのため、コストや解析時間を削減しつつ、遺伝子疾患の原因解明に重要な情報を提供できます。
※5毛細血管拡張性運動失調症(AT)
DNA修復機構の異常により生じる神経系、免疫系などの多系統の障害を呈する常染色体潜性遺伝の疾患である。
論文情報
掲載誌:Journal of Clinical Immunology
論文タイトル: Bone marrow failure and immunodeficiency associated with human RAD50 variants
DOI:https://doi.org/10.1007/s10875-023-01591-8
研究者プロフィール
髙木 正稔 (タカギ マサトシ) Masatoshi Takagi
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
茨城県小児・周産期地域医療学講座 寄附講座教授
・研究領域
血液・悪性腫瘍、ゲノム解析
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
小児地域成育医療学講座 寄附講座講師
・研究領域
先天性免疫異常症
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
小児地域成育医療学講座 寄附講座教授
・研究領域
先天性免疫異常症
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
発生発達病態学分野 教授
・研究領域
先天性免疫異常症、再生医療
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
小児地域成育医療学講座 金兼 弘和(カネガネ ヒロカズ)
E-mail:hkanegane.ped[at]tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[at]tmd.ac.jp
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