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SCA1病態を制御するDNA修復分子RpA1 (2013)

ポリグルタミン病の共通病態としてDNA損傷修復異常が分かったが、VCPによる改善は完全ではない。一方、私たちはハンチントン病に特異的なDNA修復異常の分子機構をすでに明らかにしている(Enokido et al., JCB 2010)。そこで、ポリグルタミン病の他の疾患にも着目しSCA1におけるDNA損傷修復異常について検討した。

私たちは寿命短縮と羽化率の低下という表現型を示すショウジョウバエモデルを作成し、これを回復できるDNA損傷修復関連遺伝子をin vivoスクリーニングした。スクリーニングの結果、8つの寿命回復遺伝子と12の短縮遺伝子を見出した。これらの遺伝子をIPAソフトウェアを用いてネットワーク解析したところ、寿命延長遺伝子ネットワークにおいてはRpA1が短縮遺伝子ネットワークにおいてはchk1がそれぞれ中心的な役割を果たしていることが推定された。これらの遺伝子について複眼変性モデルを用いて病態制御作用を確認した。予想通りRpA1は過剰発現で病態を改善し、ノックダウンで悪化させた。Chk1も予想通り過剰発現で病態を悪化させ、ノックダウンで改善した。さらに、RpA1の過剰発現は寿命のみならず、DNA二重鎖切断をも回復させた。私たちは免沈実験で、RpA1がAtaxin 1と結合することを示した。Ataxin 1の変異はRpA1との結合をより強くした。また、マイクロレーザー照射法を用いた解析により変異型Ataxin 1がRpA1のDNA損傷部位への集積を阻害することを明らかにした。

これらの結果は、変異型Ataxin 1がRpA1をトラップすることでその機能を阻害し、DNA二重鎖切断がうまく修復されずに蓄積してしまうことを示している。このDNA二重鎖切断の蓄積が神経機能を阻害することが主要病態であると想定される。RpA1はhomologous recombination(HR)による二重鎖切断修復に特に重要な機能を持っている。HRは非分裂細胞である神経では働かないと従来考えられていたが、近年では変性が神経細胞の細胞周期を再開させることが明らかとなってきている。RpA1はこのような細胞でHRを行っているのではないだろうか?実際、SCA1モデルマウスでは成体のプルキンエ細胞においてBrdUを取り込むものがあることを確認している。さらに、chk1についても阻害剤によるSCA1モデルショウジョウバエの寿命延長を確認しており、今回の結果はモデルマウスでの解析を経て将来、治療につながるものと考える。

神経病理学分野