SDGsに向けた東京医科歯科大学の取組

地球と人の健康を考慮した病院食

関連SDGs目標

実施部署
臨床栄養部
取組責任者
斎藤 恵子
2020年にEATランセット委員会(EAT-Lancet Commission)が発行した「持続可能な食糧システムの視点から見た健康的な食事(Healthy Diets From Sustainable Food Systems)」は、世界の食糧生産と現在の食生活に大きな変革を求めるものである。そして、2021年には国連が中心となってFood Systems Summitが開催され、資源を枯渇させない、持続可能な食糧システムへの移行がますます加速している。
臨床栄養部でも、食品ロスを極力減らすため様々な努力をしている。食材の納品は前日まで調整、さらに配膳時間ギリギリまで調理量を調整している。それでも余った場合は真空パックにし冷凍保存、また重湯を作る際の粥は、嚥下食や、ポタージュのとろみに使用するなど工夫している。また個々の患者さんに対しては、残さず食べることができるよう食事量を半分とし、不足する栄養素は栄養素密度の高い補助食品などで補給、必要量を充足できるように調整している。
当院の食品ロスの金額(食材購入費から実際に提供した食材料費の差額を食品ロスと定義)は、平成26年度は約310万円だったが、令和2年度は約210万円まで削減できている。
昨今、健康や栄養のある食事を損なうことなく、気候変動に対処し、CO2排出量を削減し、食料の損失やエネルギー使用を削減するために、最近では食肉を植物由来のたんぱく質に置き換えることがブームとなりつつある。
病院給食や学校給食は公共の食事(Public Food)の側面があり、国や地域の食文化の鏡である。こうした公共の食事を、人と環境に配慮した持続可能な食事へと移行することは、社会全体の食事に対する意識変革や地域の食育に大きな影響を及ぼす。そのため、地球と人の健康を考慮した病院食を目指すことは今後の社会にとって重要な意味を持つ。
国立がん研究センターの研究では、エネルギー摂取量に対する植物性たんぱく質摂取量の割合が多いほど、死亡リスク、特に循環器疾患死亡リスクが低いことが明らかとなっている(JAMA Intern Med. 2019 Oct 1;179(10):1448.)。動物性タンパク質/植物性タンパク質比率は、国民健康・栄養調査では、平成30年53.5%、令和元年54.3%であり、当院の令和2年度の平均は53.0%だったが、今後この比率を45~50%に下げることを目標としている。
そのため、大豆製品の使用増及び「肉の代わりになるもの」、「肉以外の食材で作り上げた肉」の代替肉を使ったメニューの開発に取り組んでいるので紹介する。
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