研究

研究

咬合機能健康学分野は,補綴治療による咬合・咀嚼機能の回復と保全による全身の機能と健康増進を目的とする研究を担います.また,旧摂食機能保存学分野の研究も紹介します.

I 口腔と健康に関する研究

1.口腔機能と認知症との相関研究
 咬合・咀嚼機能の低下と全身疾患との相関について追究し,補綴治療が健康寿命の延伸にどの程度寄与できるかを明らかする研究を行っています.現在,口腔機能と認知症との相関について医科歯科連携研究(ECCOプロジェクト)を進めています.(連携先:日本老年精神医学会,日本補綴歯科学会,日本老年歯科医学会,口腔機能と認知症研究会)

2.補綴治療の臨床研究
補綴治療の予後,治療の有効性,口腔関連QoL,残存組織への影響,補綴装置の耐久性,費用対効果に関する観察/介入研究によるアウトカムリサーチを行います.現在,糖尿病患者における部分床義歯の支台歯の長期経過について前向きコホート研究を行っています.(連携先:生体補綴歯科学分野,歯周病学分野)

3.補綴治療の疫学研究
 フィールドでの疫学調査を通じて,高齢者の咬合機能と欠損に対する補綴治療が食品摂取と栄養状態に関する横断・縦断研究を行っています.(連携先:健康増進歯学分野)

4.咀嚼能力の回復が認知機能に及ぼす効果とメカニズムの検証
 補綴治療や咀嚼訓練などの咀嚼機能の回復の介入が認知機能の向上に有効であるかどうかを明らかにするために,高齢者における咀嚼機能の向上が認知機能に及ぼす効果を検証し,さらにfMRIで脳活動を計測して中枢神経レベルでのメカニズムを明らかにする研究を行っています.(連携先:東工大科学技術創成研究院バイオインターフェイス研究ユニット)

5.咀嚼機能の標準化
 これまでに,咀嚼機能を客観的に評価する様々な方法が開発されています.現在,検査法の標準化と診断閾値を決定するために研究を進めています.(連携先:日本補綴歯科学会,生体補綴歯科学分野,高齢者歯科学分野,昭和大学歯科補綴学講座)

 

II デ-タサイエンス

M&Dデ-タ科学センターと共同して,歯科診療を支援する人工知能(AI)を開発する研究を進めています.

1.部分床義歯設計AIの開発
 歯科分野の様々な領域でデジタル化が進展しているが,部分床義歯製作のデジタル化は遅れている.そこで,現在,部分床義歯の設計AIの実用化を目指して開発を行っています.(連携先:生物統計学分野,生体補綴歯科学分野)

2.歯科疾患診断AIの開発
 レントゲン写真から歯科疾患(う蝕,根尖性歯周炎,歯周病,歯根破折)を自動で診断するAIを開発しています.(連携先:生体補綴歯科学分野,口腔放射線医学分野,研究協力:Google)

III 歯学教育に関する研究

現在,本学ではアクティブラーニングや遠隔授業の導入など大きな変革が進行しています.そこで,部分床義歯学における遠隔・反転授業の学習効果を検証する研究を行っています.(連携先:生体補綴歯科学分野)

IV クラウンブリッジと生体材料に関する研究

1.最適なメタルフリー支台築造の考案
  残存歯を可能な限り保存し,長期的に補綴装置が機能する新たなメタルフリー支台築造の確立を目指しています.(連携先:オープンイノベーション機構)

2.高透光性ジルコニアをはじめとするオールセラミッククラウンの臨床応用
 高透光性ジルコニアの臨床応用拡大を目指して,接着ブリッジなどの補綴装置の設計の検討を行っています.また,オールセラミッククラウンの有効性や長期臨床予後を目指して,二ケイ酸リチウムクラウンの臨床研究を行っています.

3.接着ブリッジの最適デザインの検討
 口腔内環境に応じたジルコニア接着ブリッジのデザインを明らかにすることにより,長期的予後を改善するジルコニア接着ブリッジの臨床術式を提案することを目指しています.

4.確実な接着についての考案
 修復物および補綴装置の寿命を決める大きな要因となるレジンセメントと歯冠修復材料,またはレジンセメントや支台築造用コンポジットレジンと根管壁象牙質との接着を確実なものにすることを目指しています.

5.セラミックスバイオマテリアルの開発
 セラミックスバイオマテリアルの開発とその高機能化を目指した表面改質の検討を行っています(連携先:大阪大学,大連理工大学,豊橋技術科学大学,千葉工業大学).
6.CAD/CAMを用いた歯冠補綴装置の精密加工
 CAD/CAMを用いた歯冠補綴装置の精密加工方法の検討を行っています(連携先:キヤノン電子株式会社,東京工業大学,株式会社トクヤマデンタル).
7.mRNA医薬を用いた難治性歯科疾患の治療
 mRNA医薬を用いた難治性歯科疾患の治療方法の確立を目指しています(連携先:生体材料機能医学分野).