研究テーマ
心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病の原因といわれる動脈硬化症の病態解明および治療法の開発を目指し、我々の研究室では血管細胞生物学の立場から研究・開発を続けています。
我々の研究テーマは大きく次の4つに分かれます。
我々の研究テーマは大きく次の4つに分かれます。
血管生物学/動脈硬化症 (Vascular Axis)
血管内皮細胞には種々の細胞接着分子が発現し、炎症における白血球接着現象を惹起する。最近の研究では細胞接着分子だけでなく細胞内シグナル伝達因子(MAPキナーゼ・低分子Gタンパク)の制御によって白血球接着が制御されることが明らかになっている。我々は様々な分子生物学的手法を駆使し、血管内皮細胞における細胞接着現象の機序を解明し、その制御法を開発するための研究を行っている。
血管内皮細胞を用いた寒流型細胞接着実験装置では細胞接着現象を簡便に定量化することが可能であり、創薬開発研究にも大きく貢献している。
血管内皮細胞を用いた寒流型細胞接着実験装置では細胞接着現象を簡便に定量化することが可能であり、創薬開発研究にも大きく貢献している。
代謝異常と慢性炎症 (Metabolic Axis)
LDLコレステロールとともに高中性脂肪血症や低HDLコレステロールも動脈硬化症にみられる脂質代謝異常である。最近、食事中の脂質を契機とする慢性炎症が脂肪組織などのリモデリングを促し、全身の代謝異常やインスリン抵抗性を惹起することが明らかになっている。
我々は中性脂肪を多く含みかつ非常に炎症惹起作用・動脈硬化促進作用が強いレムナント様リポ蛋白(RLP)に注目し、その分子機構を明らかにした。現在、さらにRLPに含まれる炎症惹起物質としてApoCIIIに注目し、その炎症惹起作用および脂質代謝・糖代謝に与える影響を解析している。
さらに、腸管からの脂質吸収が炎症反応を惹起する分子機構をリアルタイムに検討する実験システムを構築している。これらの一連の研究成果は今後の動脈硬化症の上流の制御を考える上できわめて重要である。
我々は中性脂肪を多く含みかつ非常に炎症惹起作用・動脈硬化促進作用が強いレムナント様リポ蛋白(RLP)に注目し、その分子機構を明らかにした。現在、さらにRLPに含まれる炎症惹起物質としてApoCIIIに注目し、その炎症惹起作用および脂質代謝・糖代謝に与える影響を解析している。
さらに、腸管からの脂質吸収が炎症反応を惹起する分子機構をリアルタイムに検討する実験システムを構築している。これらの一連の研究成果は今後の動脈硬化症の上流の制御を考える上できわめて重要である。
炎症反応の分子イメージング (Imaging Axis)
動脈硬化症や傷害血管での白血球接着はこれまで組織学的にのみ観察されてきたが、生体でどのようなインタラクションが起こっているのかをリアルタイムで見ることは困難であった。また、生体顕微鏡による白血球接着現象の観察もこれまで微小血管など動脈硬化症の起きにくい血管に限られていた。我々はマウス大腿動脈を用いた新たね生体内血管観察システムの構築し、本システムを用いてリアルタイムの動脈硬化現象の観察を行っている。
創薬・臨床研究 (Translational Axis)
我々の研究室では炎症反応の可視化を行うためのin vitroおよびin vivoの実験装置があるため、既知および未知の物質の抗炎症活性を包括的に検討することができる。これまでにも既知薬剤としてHMGCoA還元酵素阻害剤・ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル阻害剤・アンジオテンシン受容体I阻害剤などの抗接着作用について報告をしている。また、いくつかの未知の新規薬剤の抗炎症活性についても検討している。