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研究内容

当分野の研究内容についてご紹介します

具体的な研究内容です


補綴関連の研究

全部床義歯補綴の臨床データの蓄積と補綴効果・予後を左右する要因の解析と予測

 全部床義歯はその維持安定を被圧縮性に富む顎堤粘膜に負うため,これらの条件によってその難易度が大きく変化する.さらに,上下顎堤間の大きな空間の中に人工歯の配列位置や研磨面,床縁の位置が設定されるため,義歯の形態は各患者間で,あるいは術者の技量によって非常にバリエーションが大きいものとなり,それらが義歯の予後に大きく関わる.加えて,全身状態の影響や認知症など全部床義歯補綴の難易度や予後を左右する要因は多様で,その要因の変動幅も大きい.これらの多数の要因を整理し,相互関係を明確にし,全部床義歯補綴の効果や予後を正確かつ定量的に予測できる手法を確立する

CAD/CAM技術を応用した新しい義歯製作法の開発

 これまでの全部床義歯の製作には,来院回数の多さや歯科医師の技術格差に由来する治療の質のバラツキといった問題,さらにはアクリルレジンを使用することでの耐汚染性の問題などがあった.これらの問題を解決するため,我々はCAD/CAM技術を応用した義歯製作方法を確立することにより,少ない通院回数,治療の質の均一化,義歯の物性向上を目指している.当科で行っているCAD/CAM義歯製作方法は,口腔内スキャナーを用いた無歯顎顎堤の光学印象に始まり,義歯の設計・製作をコンピュータ上で行うデジタルエンジアリングである.現在,CAD/CAM研究チームにより,無歯顎顎堤に対する口腔内スキャナーの実用化を検証する研究や,独自のCAD/CAM全部床義歯システムに関する臨床研究を進めているところである.

軟質裏装着材の開発

 高度に顎堤が吸収した症例では,義歯床支持面積が減少しさらに床下粘膜の菲薄化を伴っていることが多く,咬合圧負担能力が大きく低下していることがある.このようないわゆる難症例において義歯を製作する際,一方策として軟質裏装材が用いられている.軟質裏装材の使用によって,床下粘膜の失われた弾性を補い咬合時の衝撃を吸収緩和し,疼痛を軽減するとされている.現在市販されている軟質裏装材には理工学的性質,汚れの付着などの面で課題を残しており,長期の使用に十分ではない.義歯の機能を向上させ,材質的にも安定し,長期の使用に耐えられる軟質裏装材を開発することを目的として,材料を試作し,理工学的に検討を行う.

新しい粘着剤の開発

 市販の義歯安定剤のなかで, クリームタイプやパウダータイプの粘着剤は流れが良く義歯と顎堤の位置関係を変えないため, 歯科医師の管理下において使用することが許容されている.しかし, これらの粘着剤は口腔粘膜からの除去が困難であり, 粘膜に残留した粘着剤は口腔衛生上問題となる可能性がある.そこで粘膜からの除去を容易にするためにジェルタイプの粘着剤を開発し, 粘着力や口腔粘膜残留量を評価し, 適切な臨床使用法について検討を加える.

咀嚼能力評価に関する研究

 咀嚼能力は粉砕,剪断,混合など様々な要素により構成される総合能力であり,正しく理解するためには複数の方法を組み合わせた多面的な評価が必要となる.当分野では簡便かつ迅速に行うことができる咀嚼能力評価法として,咀嚼の進行により色が変わるガムを開発した.咀嚼能力評価法としての有用性を確認すると共に,他の咀嚼能力評価法や咀嚼能力背景因子との関連について検討を進めている.

咬合・咀嚼機能回復と身体機能との関連

 高齢者において義歯による咬合回復により,頭位や姿勢に影響を及ぼし,歩行をはじめとした身体機能が向上する現象がみられることがあるが,そのメカニズムは十分解明されていない.高齢社会では,高齢者の転倒やそれに伴う骨折による寝たきりが問題となっており,これらは歩行の安定性や姿勢制御と密接に関連しているといわれている.無歯顎者において義歯による咬合回復が身体機能向上に与える影響を明らかにすることを目的として,咬合状態と歩行安定性や平衡機能などの身体機能との関連について調査を行う.

無口蓋義歯が口腔機能に与える影響

 上顎義歯の維持と安定は,義歯装着者の審美に対する自信と,機能の向上のために重要である.このため,口蓋部を覆い,義歯床後縁を適切に延長し,さらにポストダムにより後縁の封鎖性を向上させる必要性が説かれてきた.しかし,口蓋を覆うことは,義歯装着の本来の目的である失われた機能と形態の回復という観点からは,逆に機能の侵害を引き起こしている可能性がある.失われた形態と機能の回復という義歯本来の目的にとっては,口蓋部を覆わない無口蓋義歯のほうが口腔本来の形態に近く,義歯装着者の口腔機能にとって好ましい結果をもたらすことが予想される.また,義歯床で被覆される粘膜の面積も減少するため,粘膜の感覚受容器によって認知される生理的な刺激は種々の口腔機能に効果的に作用する可能性も考えられる.そこで,口蓋部を覆う従来型の上顎義歯と無口蓋義歯の機能を,総合的に評価することを試みている.

インプラントオーバーデンチャー

 上顎の全部床義歯に比較して下顎の全部床義歯は難易度が高く,特に顎堤の吸収が顕著な症例においては患者の満足が得られないこともある.また,両側遊離端の部分床義歯では義歯床の最後方が沈下し,痛みを生じやすいとされる.それらのような義歯症例において,下顎骨にインプラントを埋入し維持源とするインプラントオーバーデンチャーが新しい治療法として注目されている.現在当科においては,インプラントの本数,埋入術式、インプラントと義歯をつなぐアバットメントの種類によって,患者満足度や咀嚼能力,費用対効果がどのように変化するかを調査する臨床試験を行っている.また,模型実験および有限要素解析法により,インプラントに生じる応力を緩和できる義歯設計,インプラント本数,埋入位置についての考察を行っている.

歯科用ジルコニアに関する研究

 近年歯科において従来の金属修復物の代替材料としてジルコニアが注目されている.しかし,歯科用ジルコニアに関しては臨床応用する上で,解決するべき点がある.

1. 歯科用ジルコニアの低温劣化
 ジルコニアは生体温付近で劣化が進むことが知られており(低温劣化),この反応は水分の存在下で促進される.2000年代初頭には整形外科領域においてジルコニア製人工股関節の破折が報告され,この原因はジルコニアの低温劣化が原因であった.口腔内で用いられる歯科用ジルコニアは,常に血液・唾液などの水分にさらされているため,低温劣化が進行するのかどうか評価する必要がある.また,歯科用ジルコニアは表面処理を施されることが多い.そのため,表面処理がジルコニアの低温劣化への抵抗性・機械的特性に与える影響を調査する必要がある.

2. 陶材・ジルコニアの親和性
 審美修復材料として用いられるオールセラミッククラウン・ブリッジのフレームワークにはジルコニアが用いられ,その上に陶材を築盛することが一般的である.しかし,ジルコニアを用いたオールセラミック修復物では,陶材の破折・剥離が多いことが報告されている.その原因は,未だ解明されていない.本研究では陶材・ジルコニアの界面に焦点を当て,化学的・微視的な検討を行い,より破折・剥離の少ないオールセラミック修復物を作製するための材料の物性・条件を検討する.

3. ジルコニアへの接着
 歯科用ジルコニアは,その化学的安定性から歯科用合着材との接着が問題となっていた.本研究では歯科用ジルコニアに対して安定した接着を得るための手法を確立することを目的とする.

接着性レジンセメントに関する研究

 オールセラミック修復物の合着材として,接着性レジンセメントが広く用いられている.しかし,補綴物合着時におけるセメントの重合挙動,またそれに伴う物性の変化はほとんど知られていない.本研究ではオールセラミック修復物合着時の接着性レジンセメントの重合挙動・重合率を解析・測定し,より安全な接着のプロトコルを確立することを目的とする.

義歯安定剤利用ガイドライン構築に関する基盤研究

 近年,欧米を中心に義歯安定剤に対する科学的な見直しがすすんでおり,粘着タイプの義歯安定剤の使用は効果的であるとする報告が多く見られるようになった.米国においては,米国歯科医師会雑誌および補綴学会誌にガイドライン提示されている一方で,我が国においてはその検討が行われておらず,明確なガイドラインが示されていないのが現状である.本研究は義歯ケア学会主宰のもと,全国各地の大学と共同で研究を行なっているマルチセンター研究であり,全国各地の被験者を対象とすることで,より偏りの少ない妥当性の高い結果をもとめ,これらを考慮した義歯安定剤使用に関するガイドラインを作成することを目的としている.

摂食・嚥下に関する研究

口腔腫瘍術後患者の摂食嚥下リハビリテーション

 口腔腫瘍術後の摂食嚥下障害患者における錠剤内服時の嚥下動態や,手術後に摂取可能となる食形態へ及ぼす因子の検討,歯科補綴的アプローチ(舌接触補助床や軟口蓋挙上装置)の効果,またクリニカルパス作成による早期経口摂取を目指した効果的なリハビリテーションに関する研究を行っている.得られたデータから,摂食嚥下リハビリテーション介入による術後の経口摂取法確立のためのエビデンスを構築することを目的としている.

高齢者の嚥下機能・栄養状態に関する研究

 高齢者は加齢や疾患、栄養状態によって身体機能が低下するが,これは口腔機能や嚥下機能にも関連すると予測される.そこで口腔・嚥下機能と全身の身体機能との関連性の検討,また開口訓練など摂食嚥下リハビリテーションの介入による効果について検討する。
 また、介護保険施設に入所している活動量の低下した要介護高齢者の基礎代謝量を把握し,必要栄養量,栄養状態および口腔機能や全身状態との関係について研究を行っている.

高齢者の繰り返す肺炎に関する研究

 超高齢社会において死因の第3位である肺炎は,「繰り返す」ことが一つの問題として挙げられる.繰り返す肺炎の背景にあるものを調査することを目的として研究を行う.VFやVEを用いて嚥下機能を評価するだけでなく,口腔衛生状態,咳テストを用いた咳反射の状態,食道通過や胃食道逆流の有無,栄養状態を調査し,肺炎を繰り返す背景を調査する.

神経筋疾患の嚥下機能

 高齢化とともに神経難病であるパーキンソン症候群の患者数は増加している.パーキンソン症候群では進行とともに嚥下障害が出現し,肺炎が死因の上位にあるため,病期に応じた適切な介入が必要となる.特に,舌の無動・寡動による口腔期障害が早期から出現するものの,口腔期障害が咽頭期や全身状態に及ぼす影響が明らかでないため,介入の重要性が示されていない.口腔期障害は薬剤内服の可否にも影響し,原疾患のコントロールやADL,QOLを左右する可能性があるため,介入が必要である根拠を示し,簡易な評価項目を示すために,口腔期障害の指標の作成・口腔期障害が咽頭期や全身状態に及ぼす影響を検討する.

地域包括ケアからみた嚥下障害への対応

 地域包括ケアにおいて歯科医師ができること,慢性期の患者に対するリハビリテーション効果を示す,胃瘻患者に対するリハビリテーション効果を示すことを目的として研究を行う.

当分野において開発し,種々の検討を行っている色変わりガムについて紹介します.