色変わりガムについて

色変わりガムについて

概要

色変わりガム咀嚼力判定用(ロッテ)

 当分野とロッテにより開発された,咀嚼の進行と共に色が変わるガム.一定回数咀嚼した後の色変わりの程度により,咀嚼能力を判定することができる.

 簡便,迅速,検査者や対象者を問わずに使用可能である,などの利点があり,幅広い分野での応用が期待できる.

咀嚼の進行による色変化

特徴

1)誰にでも使える1)
 無歯顎者から健常有歯顎者まで使えるように,化学反応を利用して色変わり範囲が広くなるよう調整


2)誰でも使える2)
 専用のカラースケールを用いることで視覚的な評価,すなわち,目で見て色を比較するだけ咀嚼能力評価が可能となる.
これは歯科専門家でなくても行うことができる.

3)簡単,迅速
 咀嚼後の色を評価するだけなので,数分で実施可能.

4)均質
 工場生産品,個包装であるため評価試料の均質性が保たれる.

使い方

※以下の方法を基本として推奨するが,使用目的に応じて適宜対応すべきである

○咀嚼前
 飲食,歯磨きの30分後は避ける
 測定直前に15秒間の洗口

○咀嚼時
 1秒に1回の咀嚼
 片側での咀嚼
 咀嚼回数60回
  (無歯顎者など著しく咀嚼能力の低下している者は100回)

○咀嚼後
 薄くつぶして,色を評価
 可及的に速やかに(時間が経過すると化学反応の進行により,僅かながら色が変わっていく3)) 

<色評価方法1>色彩色差計
 より正確な色評価が可能であるが,専用の測定機器が必要

<色評価方法2>カラースケール2)
 測定精度には劣るが,視覚的な検討のみで評価可能

色彩色差計の例

カラースケール(ディスプレイ表示では色が不正確なため,注意)

効果的な利用法

<研究>
○咀嚼能力評価 
 色変わりが長期に継続し,評価対象を問わないと言う特徴を生かし,幅広い対象が被験者となるような研究に特に有用である.また,簡単に測定が可能であるために,歯科領域以外の研究者も使いやすく,大規模調査にも有用である

<臨床>
○咀嚼能力評価
 補綴前後やメインテナンス中の咀嚼能力管理に用いることができる.

○コミュニケーションツール
 色変化により咀嚼能力を評価するため,患者にも解釈しやすい.
色変化を確認してもらうことで,咀嚼能力の変化を実感してもらうことができる.


<教育,啓蒙>
○健康増進イベント
 集団に対して適応することも簡単である.講演の際に参加者に咀嚼してもらい色を見てもらうことで,咀嚼の重要性を訴えるツールとして用いることができる.


<自己健康管理>
○個人的な利用
 自発的に,定期的に色変わりガムを咀嚼することで,自身の咀嚼能力の変化を管理することができる.
当分野にて咀嚼能力自己評価を支援するHPを作成している.
 

関連文献

1) Hama Y, Kanazawa M, Minakuchi S, Uchida T, Sasaki Y. Properties of color-changeable chewing gum used to evaluate masticatory performance. J Prosthodont Res 2014; 58(2): 102-106.
2) Hama Y, Kanazawa M, Minakuchi S, Uchida T, Sasaki Y. Reliability and validity of a quantitative color scale to evaluate masticatory performance using color-changeable chewing gum. J Med Dent Sci 2014; 61(1): 1-6.
3) 山賀栄次郎, 金澤学, 内田達郎, 駒ヶ嶺友梨子, 濱洋平, 掘江毅, 水口俊介.咀嚼後の保管方法が色変わりガムの咀嚼後経時的色変化に与える影響.日本咀嚼学会雑誌 2013; 23(2): 75-80.
4)Komagamine Y, Kanazawa M, Minakuchi S, Uchida T, Sasaki Y. Association between masticatory performance using a color -changeable chewing gum and jaw movement. J Oral Rehabil 2011; 38(8): 555-563.
5)Horie T, Kanazawa M, Komagamine Y, Hama Y, Minakuchi S. Association between near occlusal contact areas and mixing ability. J Oral Rehabil 2014; in press.

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