東京医科歯科大学・東京工業大学マッチングファンド

東京医科歯科大学・東京工業大学マッチングファンド

概要

東京工業大学・東京医科歯科大学マッチングファンドは、統合を視野に、両大学のボトムアップ型共同研究を推進することを目的とし、異分野を横断した研究課題に対して研究費の支援を行うものです。

両大学の研究者が持つ研究アイディア・スキル・知見を組み合わせる異分野融合研究のうち、将来の発展が期待できる優れた着想を持ち、テーマが具体的に決まっている研究を支援の対象としています。
本ファンドの詳細については、こちらからご覧ください(※学内サイト)

2023年9月11日  マッチングファンド第2弾の公募を開始しました。詳しくはこちら(学内サイト)
2023年8月21日 
両大学による審査の結果、23チームの研究課題を採択しました。

対象となる研究

両大学の研究者が持つ研究アイディア・スキル・知見を組み合わせる異分野融合研究のうち、将来の発展が期待できる優れた着想を持ち、テーマが具体的に決まっている研究

公募期間

2023年5月9日(火)~6月9日(金)

2023年9月11日  マッチングファンド第2弾の公募を開始しました。詳しくはこちら(学内サイト)

採択結果

両大学による審査の結果、23チームの研究課題を採択しました。

採択チームの研究概要

採択された研究課題のうち、3チームの研究概要についてご紹介します。

AI駆動型ACナノポア法による病原微生物センシングの初期評価

研究代表者:東京工業大学 工学院 准教授 山本 貴富喜 

共同研究代表者:医歯学総合研究科 ハイリスク感染症研究マネジメント学分野 教授 武内 寛明

感染症に対する初動の迅速化に当たり、網羅的なスクリーニングから原因微生物を特定する微生物センシング法(AI駆動型ACナノポア法)の開発に取り組みます。本手法は、微細な孔(ナノポア)を微生物が通過する際の電流変化を基にセンシングする手法であり、微生物のフェノタイプ(大きさ、形、表面電位など)で微生物を特定するため、1つのセンサで無数の微生物を網羅的に測定できる特長があります。また、測定データから機械学習を用いて微生物を判別することも特徴の一つであり、測定と共に性能が向上する、いわば成長するセンサの側面も有しています。本研究では、東京医科歯科大が有するBSL2,BSL3施設において、臨床サンプルを含むなるべく多くの病原微生物を計測して概念実証を行うと共に、本格的な実装展開に向けた課題を抽出します。

脳内で持続的なタンパク質発現を実現するナノマシンの開発

研究代表者:東京工業大学 物質理工学院 准教授 安楽 泰孝

共同研究代表者:難治疾患研究所 バイオデータ科学研究部門 先端ナノ医工学分野 教授 内田 智士

アルツハイマー病(AD)等の中枢神経系疾患の治療において、神経細胞の突起進展やシナプス形成を促進する脳由来神経栄養因子(BDNF)を用いた脳機能の再生が注目を集めています。例えばADでは、脳内にBDNFを局所投与することによる認知機能の改善が報告されています。一方で臨床的観点から、現実性の高い全身投与によるBDNFの脳内送達に関しては、血液脳関門(BBB)と呼ばれる生体内バリアの存在により困難です。本研究では、私達のナノマシン設計技術に加えて、mRNA医薬の分野において世界をリードする東京医科歯科大学内田智士教授と共に、「精密設計したBBB通過型ナノマシン技術に基づいて、生体内安定性が低いmRNAを全身投与で脳内に送り届け、神経細胞内で大量のBDNFを持続的に産生させることで、脳機能の再生に基づく革新的AD治療法を確立すること」を目的とします。

CRISPR-Cas 酵素 Cas7-11 を利用した RNA 依存性プログラム細胞死技術の開発

研究代表者:統合研究機構 分子機構免疫学分野 テニュアトラック准教授 加藤 一希

共同研究代表者:東京工業大学 地球生命研究所 特任准教授 寺坂 尚紘

CRISPR-Cas機構は原核生物のもつ獲得免疫機構です。これまでに地球上に存在する数百万種もの原核生物から、多彩な活性を示すCas酵素が次々と発見され、様々な新規技術に応用されてきました。私たちは、新しいCas酵素であるCas7-11Csx29プロテアーゼの複合体がガイドRNAと標的RNAの塩基対形成依存的なタンパク質分解活性を示すことを世界で初めて明らかにしましたKato et al., Science, 2022))。ガイドRNAのガイド配列をデザインすることで特定の標的RNAの存在下でのみCas7-11:Csx29プロテアーゼを活性化できます。本研究提案では大規模スクリーニングを用いて、Csx29によって効率よく切断される人工基質ペプチドの探索をおこない、Cas7-11-Csx29複合体を用いた新規ツール開発を目指します