東京医科歯科大学・東京工業大学マッチングファンド

東京医科歯科大学・東京工業大学マッチングファンド

概要

東京医科歯科大学・東京工業大学マッチングファンドは、統合を視野に、両大学のボトムアップ型共同研究を推進することを目的とし、異分野を横断した研究課題に対して研究費の支援を行うものです。

両大学の研究者が持つ研究アイディア・スキル・知見を組み合わせる異分野融合研究のうち、将来の発展が期待できる優れた着想を持ち、テーマが具体的に決まっている研究を支援の対象としています。
本ファンドの詳細については、こちらからご覧ください(※学内サイト)

2024年1月5日  両大学による審査の結果、6チームの研究課題を採択しました。

対象となる研究

両大学の研究者が持つ研究アイディア・スキル・知見を組み合わせる異分野融合研究のうち、将来の発展が期待できる優れた着想を持ち、テーマが具体的に決まっている研究

公募期間

2023年9月11日(月)~10月13日(金)
※募集は終了しました

採択結果

両大学による審査の結果、6チームの研究課題を採択しました。

採択チームの研究概要

採択された研究課題のうち、3チームの研究概要についてご紹介します。

効果的な働き方改革実現に向けた医療従事者の働き方の可視化・定量化

研究代表者:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 講師 赤星 径一

共同研究代表者:東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 准教授 沖 拓弥

医療分野における働き方改革の推進は喫緊の課題となっています。効果的な働き方改革実現に向けて、医療従事者の労働状況や業務内容の詳細な解析が求められています。本研究では位置検出ビーコンを用いた医療従事者の業務の可視化やアンケート調査・実地調査による業務内容精査を行います。そして、得られた多様なビッグデータから、AIをベースとしたデータマイニング手法を活用して統合的に実態分析を行い、さらに労働環境改善策の抽出とタスクシフト等の効果予測を行います。これにより労働環境改善策の評価と実現可能性の検証が可能となり、働き方改革の進展への寄与、労働環境の改善と医療の質の向上への貢献が期待されます。

歯の延命に貢献する大気圧低温プラズマを用いた安全な歯根の新規洗浄・殺菌法の開発

研究代表者:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 助教 大石 敦之

共同研究代表者:東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授 沖野 晃俊

歯の根管治療は、むし歯やケガ等で歯の神経や血管を収める根管まで炎症や感染が及んだ場合の治療法で、その歯を使い続けるための最後の手段です。根管治療では殺菌や有害物質の洗浄に次亜塩素酸ナトリウム等が使用されますが、皮膚や粘膜への傷害性が強いため、より安全性の高い殺菌・洗浄法が求められています。
プラズマ中では高い反応性を持つ様々な活性種が生成されるため、プラズマは高い殺菌力を持ちます。東工大沖野研究室で開発したファイバプラズマジェットは直径が1ミリ以下と細く、室温程度の低温なプラズマを生成できるため、ヒトの口腔内にも適用できます。
本研究では、歯の根管内という微細な空間で患者への安全を確保できるプラズマを生成し、プラズマによる嫌気性細菌の殺菌機序を明らかにするともに、根管内の効果的な殺菌と、バイオフィルム等の有害物質の除去が可能な、プラズマ根管洗浄技術の開発に挑みます。

超音波CTを用いた頭蓋内撮像法の開発

研究代表者:東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授 田原 麻梨江 

共同研究代表者:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 寄附講座准教授 藤岡 友之

現在、XCTMRI、超音波などの断層像撮像は全身の疾患診断に必須ですが、小児の頭蓋内撮像には有効な手段が限られています。小児頭蓋内撮像が可能になると、子供に多い転倒時の脳損傷評価、新生児仮死に伴う脳障害の評価他、多様な臨床用途が考えられます。申請者等は頭蓋内超音波撮像の実現方法として、超音波CTに着目しました。超音波CT1970年代にメイヨクリニックのGreenleafによって提唱された約2000個の素子からなるリングアレイを用いて撮像する断層像撮像法ですが、複雑な伝搬路を解くことが当時の計算機の性能では困難であり、実用化に至っていません。本研究では小児頭蓋内撮像を実現する超音波CT技術の開発を目的とします。試作超音波CTシステムと頭蓋骨模擬ファントムや頭蓋骨標本等を用いた撮像アルゴリズムの開発、小児頭蓋内撮像に関する対象疾患の抽出や診断画像に求める性能指標の検討を行います。