アルドステロン産生腺腫は、副腎皮質ホルモンの一種であるアルドステロンを自律分泌する内分泌腫瘍であり、原発性アルドステロン症の病型の一つとして重症高血圧や糖尿病の原因となることが知られています。これまでアルドステロン産生腺腫の組織にはホルモン合成能に差のある細胞が混在していることが予想されていました。今回、腫瘍組織の遺伝子発現パターンを単一核レベルで詳細に解析することにより、アルドステロン産生腺腫がホルモン合成能の分化度の観点で多様な細胞が含まれた不均一な集団であることを証明し、それらの細胞が腫瘍内での分化過程の各段階を示している可能性を明らかにしました。この知見は、アルドステロン産生腺腫の発症メカニズム解明に新たな視点をもたらすもので、本研究の発展によって、二次性高血圧・糖尿病の原因の一つである原発性アルドステロン症の病態解明および予防・治療法の開発などにつながる可能性があります。
本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)ムーンショット型研究開発事業(目標2「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」)、日本学術振興会科学研究費助成事業(基盤研究C)、公益財団法人日本応用酵素協会(成人病の病因・病態の解明に関する研究助成)の支援を受けて実施されました。 本研究成果は米国科学誌「Hypertension」の2月号に掲載されました。
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