「 お口のメインテナンスが脳心血管病(CVD)と感染症のリスクを下げる可能性 」【三上理沙子 特任助教】
― 人工透析を受けている方における歯科治療の重要性 ―
ポイント
- 人工透析を受けている方は年間粗死亡率※1が高く、脳心血管病と感染症が主要な死因です。
- 10,873名の人工透析患者の診療報酬明細書(レセプト)データ※2を分析したところ、歯科未受診の方と比べてメインテナンスを受けている方は脳心血管病や感染症発生のリスクが低いことが分かりました。
- 特に肺炎については、メインテナンスを受けている人だけでなく、むし歯治療や抜歯などの治療を受けている人も、歯科未受診の人と比べて、発生リスクが低いことが分かりました。
- 今後さらなる研究が必要ですが、人工透析を受けている方では、適切な歯科受診が生命予後の改善に有用である可能性が考えられます。
研究の背景
研究成果の概要
分析の結果、メインテナンス群では脳心血管病の発生(調整ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.77–0.96)と感染症の発生(調整ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.76–0.97)が歯科未受診群と比較して有意に低いことがわかりました。特に、肺炎についてはメインテナンス群(調整ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.61–0.88)だけでなく歯科治療群(調整ハザード比:0.80、95%信頼区間:0.66–0.96)も歯科未受診群と比較して、ハザード比が有意に低いことが分かりました。
研究成果の意義
用語解説
※2 診療報酬明細書(レセプト)データ:保健医療機関が医療行為に対する診療報酬を保険者に請求するための情報。病名や行った診療内容が記録されている。
論文情報
掲載誌: Scientific Reports
論文タイトル: Preventive dental care reduces risk of cardiovascular disease and pneumonia in hemodialysis population: a nationwide claims database analysis
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-024-62735-3
研究者プロフィール
三上 理沙子 (ミカミ リサコ) Mikami Risako
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
歯周病学分野 特任助教
・研究領域
歯周病学
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
歯周病学分野 三上 理沙子(ミカミ リサコ)
E-mail:mikami.peri[@]tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
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関連リンク
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