「ChatGPTが示す自己診断の信頼性の問題点とその改善法」【藤田浩二 教授】
― ChatGPTに同じ症状の質問をしても、日によって違う診断を提示される? ―
ポイント
- 生成AIが必ずしも正解を回答しないことが問題となっている昨今、整形外科疾患の自己診断におけるChatGPTの信頼性を検証し、その診断の正答率および再現性の低さという問題点を提示しました。
- 質問の仕方次第で自己診断の信頼性が変化することを発見し、高い信頼性を得るための重要なポイントを明らかにしました。
- 自己診断ツールとして生成AIが用いられるにあたっての安全性を向上させ、医療補助用にデザインされた新たな生成AIシステムの開発への大きな後押しとなることが期待できます。
研究の背景
研究成果の概要
研究成果の意義
今後、より多くの病態を対象に多岐にわたる質問形式を用いた研究を行うことで、病態ごとにより適切な質問方法を探していく予定です。また、ChatGPT以外の生成AIや新しいバージョンのChatGPTを用いた研究を進めることで、得られる信頼性がどう変化するのかも評価していく予定です。
用語解説
※1生成AI: Generative AIの訳語。従来のAIと異なり、非構造化学習データを元に、新しい情報・コンテンツを生み出すことができるAIのこと。
※2ChatGPT: OpeAI社が2022年11月に公開したAIチャットボット。高度な自然言語処理技術により、人間のような自然な回答をすることで耳目を集めた。代表的な生成AIの1つ。
※3自然言語処理(NLP): Natural Language Processingの訳語。人間が日常的に使っている言語(自然言語)をコンピュータに処理・分析させる技術。AIと言語学の一分野。
※4ハルシネーション(幻覚): 生成AIの問題の1つ。問いかけに対して事実に基づかない情報を生成してしまう現象。AIがまるで「幻覚」を見ているかのように虚偽情報を出力することから名付けられた。誤学習や、データに無い内容に関して無理に回答を提示しようとすることで生じるとされる。
論文情報
論文タイトル:The Potential of ChatGPT as a Self-Diagnostic Tool in Common Orthopedic Diseases: Exploratory Study
DOI:https://doi.org/10.2196/47621
研究者プロフィール
東京医科歯科大学 統合イノベーション機構
オープンイノベーションセンター 医療デザイン部門 教授
・研究領域
手外科、動作解析、疾患予測
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
整形外科学分野 研究員
Mayo Clinic
Division of Orthopedic Surgery Research, Research Fellow
・研究領域
手外科、動作解析、超音波検査
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
オープンイノベーションセンター 医療デザイン部門 藤田 浩二(フジタ コウジ)
E-mail:fujiorth[@]tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
※E-mailは上記アドレス[@]の部分を@に変えてください。