「 膵臓がん内に含まれる真菌マラセチア・グロボーサの量が膵臓がんの予後と関係があることを世界で初めて発見 」【絹笠祐介教授 徳永正則准教授 奥野圭祐助教】
― 今後の膵臓がんの発癌機序の解明や新規治療薬の開発に期待 ―
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ポイント
- 近年の研究から、皮膚や腸内の常在真菌であるマラセチア・グロボーサは腸内から膵臓に移行し、膵臓がんの発癌を促進する可能性が示唆されています。
- 本研究では、膵臓がんの手術組織検体を用いて、腫瘍内のマラセチア・グロボーサ量が、膵臓がん患者さんの生命予後や術後再発リスクと関係していることを世界で初めて明らかにしました。
- 本研究成果により、マラセチア・グロボーサによる膵臓がん発癌メカニズムの解明や、マラセチア・グロボーサをターゲットにした新規治療薬の開発が期待されます。
研究の背景
本研究では、実際に手術を受けられた膵臓がん患者の手術組織検体を用いて、腫瘍内のマラセチア・グロボーサ量を測定し、腫瘍内のマラセチア・グロボーサ量が膵臓がん患者さんの生命予後や術後再発と関係していることを明らかにしました。本研究成果により、マラセチア・グロボーサによる膵臓がん発癌メカニズムの更なる解明や、マラセチア・グロボーサをターゲットにした、膵臓がんに対する新規治療薬の開発が期待されます。
研究成果の概要
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研究成果の意義
用語解説
※1マラセチア・グロボーサ
14種類あるマラセチア(癜風菌)という真菌(カビ)の1種。常在真菌で、通常は脂漏性皮膚炎や癜風、マラセチア毛包炎などの原因となる。近年の研究で、膵臓がんの発癌を促進する可能性が示唆されている。
※2分子バイオマーカー
組織や体液内に含まれる特定の分子や細胞の有無、もしくは存在量を指標とするもので、疾患の診断、状態の評価や予測、医薬品開発などに利用される。
※3リボソームDNA
細胞内でたんぱく質の合成を行っている小器官であるリボソームをコードしているDNA。全ての細菌が有しているDNAであり、真菌を含む微生物の同定に利用されることが多い。
論文情報
論文タイトル:Intratumoral Malassezia globosa Levels Predict Survival and Therapeutic Response to Adjuvant Chemotherapy in Patients With Pancreatic Ductal Adenocarcinoma
DOI:https://doi.org/10.1053/j.gastro.2023.04.017
研究者プロフィール
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東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
消化管外科学分野 助教
・研究領域
消化管外科学
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絹笠 祐介 (キヌガサ ユウスケ) Kinugasa Yusuke
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
消化管外科学分野 教授
・研究領域
消化管外科学
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東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
消化管外科学分野 准教授
・研究領域
消化管外科学
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
消化管外科学分野 氏名 奥野 圭祐(オクノ ケイスケ)
絹笠 祐介(キヌガサ ユウスケ)
徳永 正則(トクナガ マサノリ)
E-mail:okuno.srg1[@]tmd.ac.jp
kinugasa.srg1[@]tmd.ac.jp
tokunaga.srg1[@]tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
※E-mailは上記アドレス[@]の部分を@に変えてください。