「非定型的ゴーハム病における原因遺伝子変異の同定」【稲澤譲治 特任教授、江面陽一 非常勤講師】
― Gasdermin D遺伝子カスパーゼ切断部位のミスセンス変異 ―
ポイント
- 謎であったゴーハム病の原因の1つに、ガスダーミンD遺伝子の変異があることをつきとめました。
- ゴーハム病の病型分類および病態解明と新規治療法開発への応用が期待できます。
研究の背景
研究成果の概要
研究成果の意義
単球・マクロファージ系細胞における感染誘発性の細胞死と炎症性サイトカインの大量放出が起らないことと、骨消失病変形成の因果関係は必ずしも連結できるものではありませんでした。ところがごく最近、海外の研究グループが、成熟間近の破骨細胞内においてGasdermin D蛋白質が2か所で切断されることにより生じた分子断片が破骨細胞の最終分化を抑制することを、遺伝子改変マウスを用いて明らかにしました(2022年10月Developmental Cell誌)。この結果は、我々の知見を消失性骨病変形成の原因として裏付けるものであり、Gasdermin D遺伝子変異に基づく新たな病型のゴーハム病が存在することが初めて示されたと言えます。
用語解説
※2 カスパーゼ: 細胞死や炎症を含む多くの細胞プロセスで重要な役割を果たす一群の蛋白質分解酵素。
論文情報
掲載誌:JBMR-Plus
論文タイトル:Identification of a Biallelic Missense Variant in Gasdermin D (c.823G > C, p.Asp275His) in a Patient of Atypical Gorham-Stout Disease in a Consanguineous Family
研究者プロフィール
江面 陽一 (エヅラ ヨウイチ) Ezura Yoichi
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
運動器外科学分野 非常勤講師
帝京平成大学 健康メディカル学部 作業療法学科 教授
・研究領域:基礎整形外科学、骨代謝学、整形外科病理学、骨生理学
Daniela Tiaki Uehara (ダニエラ チアキ ウエハラ)
東京医科歯科大学大学 難治疾患研究所
分子細胞遺伝分野 特任助教(研究当時)
・研究領域:人類遺伝学
東京医科歯科大学 統合研究機構 研究基盤クラスター
リサーチコアセンター センター長・特任教授
難治疾患研究所 分子細胞遺伝分野 教授 (研究当時)
・研究領域:分子細胞遺伝学
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
運動器外科学分野
非常勤講師 江面陽一(エヅラ ヨウイチ)
E-ail:ezura.mph[@]mri.tmd.ac.jp
東京医科歯科大学 統合研究機構
リサーチコアセンター
センター長 稲澤譲治(イナザワ ジョウジ)
E-mail:inacgen[@]mri.tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
※E-mailは上記アドレス[@]の部分を@に変えてください。