プレスリリース

淺原弘嗣教授及び横田隆徳教授が 令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞 研究部門)を受賞

公開日:2023.4.7

 令和5年4月19日(水)に令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 表彰式が開催されます。東京医科歯科大学からは、科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞(研究部門)に大学院医歯学総合研究科システム発生・再生医学分野の淺原弘嗣教授及び大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野の横田隆徳教授が受賞されました。

賞の概要

 この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的としている。そのうち、科学技術賞は、我が国の社会・経済、国民生活の発展向上等における最近の科学技術上の成果を顕彰するとともに、可能性の高い独創的な研究又は発明を行った者、その成果に対する功績が顕著な者を表彰する。

淺原弘嗣教授 科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞(研究部門)

【業績名】
腱を起点とした運動機能維持と再生機構の解明および応用研究

【研究成果】
 「腱」は、ヒト・動物の「運動機能」において重要な役割を果たす。その傷害や疾病による損傷は、未だ治療が困難であり、変形性関節症などの2 次的な病気の原因となりうるが、「腱」を司る遺伝子が不明であったため、「腱」の医療研究開発が遅れていた。
 本研究では、腱の発生・恒常性・再生の要となる遺伝子としてMkx を同定、人工腱の創出などの医療応用への研究基盤を創出した他、適度な運動は、腱細胞のPIEZO1 を介して、Mkx を活性化し、腱の遺伝子発現を促進することを見出した。また、活性型PIEZO1 遺伝子を、腱のみで導入した遺伝子編集マウスを作製したところ、腱の物性変化とともに、最大跳躍力が飛躍的に上昇することを発見した。ヒトの遺伝子多型解析においても、運動能力と活性型PIEZO1 の関連を見出した。
 本研究により、「腱」を起点とする「運動器」疾患・傷害の新しい治療戦略が示された他、「腱」には「運動機能」を大きく促進させる機能があることが明らかになった。本成果は、健康長寿社会の実現と人類の多様性の正しい理解に寄与することが期待される。
【研究者プロフィール】
淺原弘嗣 教授
1992年4月 – 1992年8月 岡山大学医学部 附属病院整形外科 医師
1992年9月 – 1993年3月 岡山済生会病院 整形外科 医師
1993年4月 - 1997年3月 岡山大学 大学院医学研究科 大学院生
1997年4月 - 1997年10月 岡山大学医学部 附属病院整形外科 文部教官助手
1997年11月 - 1999年7月 米国ハーバード大学 医学部分子細胞生物学教室  博士研究員
1999年4月 - 2001年1月 日本学術振興会 海外特別研究員
1999年8月 - 2002年1月 米国ソーク研究所 スタッフサイエンティスト
2001年10月 - 2005年3月 科学技術振興事業若手個人研究推進事業 さきがけ研究員
2002年5月 – 現在 米国スクリプス研究所 Principal Investigator
2004年2月 - 2010年3月 国立成育医療センター研究所移植・外科研究部 部長
2010年4月 - 2011年5月 (独)国立成育医療研究センター研究所 システム発生・再生医学研究部 部長
2011年6月 – 現在 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 システム発生・再生医学分野 教授

横田隆徳教授 科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞(研究部門)

【業績名】
核酸医薬品の基盤技術であるヘテロ核酸の創製と医薬品の研究

【研究成果】
 核酸医薬創薬は大きな進展をみせているが、現在の課題として、静脈投与等の全身投与では標的臓器は肝臓のみで対象疾患が限られている。さらに核酸医薬は毒性が高く実用化の壁になっている。
 本研究では、これらの課題を解決できる基盤技術としてヘテロ核酸を開発した。ヘテロ核酸は従来の技術とは異なる分子構造、メカニズムを有しており、極めて高い薬効を実現した。さらに、肝臓以外の骨格筋、心筋、血球などの多数の臓器において有用性を示し、特に神経系へは血液脳関門を越えて神経細胞、グリア細胞の制御が可能になった。加えて、髄腔内投与においても毒性を30分の1に下げることに成功した。
 本研究により、肝臓以外の多臓器の制御が可能になり、特に神経系においては全身投与でも髄腔内投与においても、神経系の任意の遺伝子の制御がより有効にかつ安全に達成できるようになった。その結果、東京医科歯科大学発バイオベンチャー企業のレナセラピューティクスが設立され、大手製薬企業と共に大型の産官学連携の創薬研究が進行している。
 本成果は、アルツハイマー病などの神経難病をはじめとする、多くの難病の根本的な治療開発を達成することが期待される。
【研究者プロフィール】
横田隆徳 教授
1990年4月 - 1990年9月 都立神経病院神経内科 医員
1990年10月 - 1998年3月 東京医科歯科大学神経内科 助手
1998年4月 - 1999年6月 米国バーナム研究所 リサーチフェロー
1999年7月 - 2000年3月 米国バック神経変性疾患研究所 リサーチフェロー
2000年4月 - 2004年9月 東京医科歯科大学 神経内科 講師
2004年10月 - 2007年3月 東京医科歯科大学 脳神経病態学 助教授
2007年4月 - 2009年5月 東京医科歯科大学 脳神経病態学 准教授
2009年6月 - 2014年7月 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野 教授
2014年8月 – 現在 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野・主任教授

お問い合わせ先

<研究に関すること>
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科     
システム発生・再生医学分野 淺原 弘嗣
E-mail:asahara.syst[@]tmd.ac.jp

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科     
脳神経病態学分野 横田 隆徳
E-mail:tak-yokota.nuro[@]tmd.ac.jp             

<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係 
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
 

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