等尺性スクワット中に重りを前後方向にスイングするハンマロビクス運動は、体幹筋や足部の内・外在筋の筋活動を高める【室伏広治 特命教授】
ポイント
- 本研究代表者(室伏広治)が考案したハンマロビクス運動(Hammerobics exercise)※1では、等尺性スクワットに比べて、下肢・体幹筋群の活動が高まることを明らかにしました。
- 特に、腰痛予防に重要な多裂筋の活動や足部のアーチ形に関与する足部内在筋・外在筋の活動がハンマロビクス運動では高まります。
- 本研究結果は、スポーツ選手のケガ予防やパフォーマンス向上を目的としたトレーニングプログラム構築に役立つ可能性があります。
研究の背景
これまで、トレーニングに不安定要素を取り入れるためウォーターバッグやサンドバッグ等を使用した運動方法が、体幹筋を中心とした筋群の活動を高めることが報告されてきました。足部の筋群に関しては、Short foot exerciseやタオルギャザリングのような足趾や足を積極的に動かすトレーニングにより足のアーチを支える筋が活動することが報告されています。一方でハンマロビクス運動中の筋活動に関しては、まだ研究がなされていませんでした。そこで今回は、ハンマロビクス運動中の足部及び体幹筋群の活動を解明することを目的としました。
研究成果の概要
その結果、等尺性スクワット運動に比べてハンマロビクス運動では、下肢筋群において母趾外転筋、前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋、半腱様筋の活動が、体幹筋群において多裂筋の活動が有意に高まることがわかりました (表1、図2)。
研究成果の意義
用語解説
※2各種筋肉の動きと作用: 母趾外転筋(母趾屈曲、外転、足部のアーチ形成)、 前脛骨筋(足関節背屈)、後脛骨筋(足関節底屈、内反)、長腓骨筋(足関節外反、底屈)、大腿直筋(膝関節伸展、股関節屈曲)、大腿二頭筋(膝関節屈曲、股関節伸展)、半腱様筋(膝関節屈曲、股関節伸展)、大殿筋(股関節伸展、外旋、内外転)、多裂筋(体幹伸展、側屈、回旋、体幹の安定性に関与)、内腹斜筋(体幹屈曲、回旋)
論文情報
掲載誌:Scientific Reports
論文タイトル:Differences in trunk and lower extremity muscle activity during squatting exercise with and without hammer swing
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-022-17653-7
<参考>
https://journals.lww.com/nsca-scj/Fulltext/2017/08000/Supplemental_Exercises_for_Core_Stability_Which.8.aspx
(https://doi.org/10.1519/SSC.0000000000000299)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1877705810003863
(https://doi.org/10.1016/j.proeng.2010.04.132)
研究者プロフィール
東京医科歯科大学 スポーツサイエンス機構 特命教授/スポーツ庁 長官
・研究領域
スポーツ・サイエンス領域:トレーニング科学、リハビリテーション科学、
バイオメカニクス、コーチング学
問い合わせ先
東京医科歯科大学 スポーツサイエンス機構
室伏 広治 (ムロフシ コウジ)
E-mail:kojimuro.ssc[@]tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
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