プレスリリース

研究成果の実用化を目指すベンチャー企業が設立されました

公開日:2021.11.30

 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の有望シーズ展開事業及び文部科学省「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」*1において実施中の研究プロジェクトの成果の社会実装を目的に、ベンチャー企業2社(B-MED株式会社*2、株式会社TrichoSeeds*3)が設立されました。B-MED株式会社はKISTEC、東京医科歯科大学および東海国立大学機構名古屋大学、株式会社TrichoSeedsはKISTECと横浜国立大学との共同研究の成果の実用化を目指します。今後は、ベンチャー企業において知的財産権の集約を進め事業化に必要な体制を整えていく予定です。一日も早い事業化に向けて、各機関は引き続き支援を行っていきます。

<地域イノベーション・エコシステム形成プログラム 馬来事業プロデューサーのコメント>
 今回設立したB-MED社、TrichoSeeds社の技術は、それぞれ糖尿病患者や脱毛症患者のアンメットメディカルニーズに応えることのできる画期的な技術であり、中長期的には数千億円/年規模の売り上げが期待されています。これまでKISTECと各大学で共同研究開発を進め技術優位性を確保してきました。今回のベンチャー設立によって、できるだけ早期に国内医療機器企業・製薬企業主導の実用化開発に移行する等、厳しいグローバル実用化競争に勝ち抜けるよう今後も頑張っていく所存です。

  ※1 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム
    神奈川発「ヘルスケア・ニューフロンティア」先導プロジェクト

神奈川県とKISTECで共同申請し平成30年度に採択されました。超高齢社会に先駆的に挑戦する「ヘルスケア・ニューフロンティア」の実現に向け、大学等とKISTECを中心とした事業化支援体制の下で実施し、リーディングベンチャーの創出・成長を中心に、神奈川らしいイノベーションエコシステムの実現を目指しています。


  ※2 B-MED株式会社
  代表取締役社長 : 松元 亮 (KISTECプロジェクトリーダー/東京医科歯科大学 准教授)
  設立日     : 2021年11月11日
  事業内容     : 医療機器(糖尿病治療機器等)の研究、開発、知的財産権の管理 等

  ※3 株式会社TrichoSeeds
  代表取締役社長 : 福田 淳二 (KISTECプロジェクトリーダー/横浜国立大学 教授)
  設立日     : 2021年11月1日
  事業内容     : 毛髪及び皮膚の再生医療に関わる研究及び開発、知的財産権の管理 等
 

問い合わせ先

<報道に関すること>
地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC) 研究開発部             
E-mail:rep-kenkyu[@]kistec.jp TEL:044-819-2031 FAX:044-819-2026

国立大学法人横浜国立大学 総務企画部学長室広報・渉外係
E-mail:press[@]ynu.ac.jp TEL:045-339-3027 FAX:045-339-3179

国立大学法人東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp TEL:03-5803-5833 FAX:03-5803-0272

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学管理部総務課広報室
E-mail:nu_research[@]adm.nagoya-u.ac.jp TEL:052-789-3058 Fax:052-789-2019
 

【別紙資料】 文部科学省 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム概要

<事業全体像>
文部科学省の地域イノベーション・エコシステム形成プログラムとは、「社会的インパクトが大きく地域の成長とともに国富の増大に資する事業化プロジェクトを推進することで、日本型イノベーション・エコシステムの形成と地方創生の実現を目指す」プログラムです。このプログラムは、イノベーション・エコシステムの形成に不可欠な成功モデルとなる可能性を有する事業化に向けた研究開発プロジェクトを事業化プロジェクト、イノベーション・エコシステムを形成し、持続的に機能させるために必要となる基盤づくり基盤構築プロジェクトから構成されます。
神奈川発「ヘルスケア・ニューフロンティア」先導プロジェクトでは、今回ベンチャー企業を設立するに至った2つのプロジェクトを事業化プロジェクトに位置付け、事業化に向けた取り組みを進めてきました。

図 神奈川発「ヘルスケア・ニューフロンティア」先導プロジェクト 全体像(令和3年度時点)

<事業化プロジェト紹介>
1. 事業化プロジェクト1 「貼るだけで自律型の次世代人工膵臓の開発」
KISTECプロジェクト名  : 有望シーズ展開事業 「貼るだけ人工膵臓」プロジェクト
プロジェクトリーダー    : 松元 亮(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 准教授)
サブリーダー                   :   菅波 孝祥(東海国立大学機構名古屋大学 環境医学研究所 教授)

「機械不要、1週間連続使用可能」で血糖値に応じてインスリンを自動投与可能な、低侵襲性のマイクロニードル型インスリンパッチ=「貼るだけ人工膵臓」の事業化を目指します。
フェニルボロン酸(PBA)含有ゲルは、高いグルコース濃度では膨潤し、低いグルコース濃度では収縮して表面に「スキン層」と呼ばれる脱水収縮層の壁を形成します。この現象を利用したインスリンを内包するPBA含有ゲルでは、高血糖時は膨潤したゲルの網目構造からインスリンを放出しますが、正常血糖時はスキン層の形成によりインスリン分子の放出が妨げられます(図2)。

図1 プロトタイプ

図2 動作原理

2. 事業化プロジェクト2「再生毛髪の大量調製革新技術の開発」
KISTECプロジェクト名       : 「再生毛髪の大量調製革新技術の開発」プロジェクト
プロジェクトリーダー   : 福田 淳二(横浜国立大学 大学院工学研究院 教授)

毛包由来の上皮系及び間葉系細胞を独自に開発した培養容器に入れ混ぜることにより、細胞の自己組織化現象によって移植に必要な移植組織(毛包原基)を大量に調製できる独自の培養技術を基盤として、毛髪再生医療に必要な3つの技術である「細胞の増殖・移植組織の作製・精密移植」の確立と、ヒト細胞を用いた概念実証の達成で、安全性・コスト面に優れ、現治療の植毛等に変わる脱毛症の根本的な治療を可能とする毛髪再生医療(図2)の事業化を目指しています。
 

図1 マウスへの移植後に再生した毛髪

図2 毛髪再生医療の概略と必要技術

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