プレスリリース

「NFkBデコイ核酸医薬による幼若永久歯の再植後の治癒の促進」【石田雄之 助教、小野卓史 教授】

公開日:2021.08.24
「 NFkBデコイ核酸医薬による幼若永久歯の再植後の治癒の促進 」
― NFkBデコイ核酸医薬含有PLGAナノ粒子を用いた新規治療法の開発 ―

ポイント

  • 歯根が未完成の幼若永久歯を用いた再植治療は、歯根形成能の停止や歯槽骨との癒着、歯髄壊死等のリスクがありますが、それらを防ぐ有効な治療法は未だ確立していません。
  • 歯根形成中の歯の再植を再現した成長期ラットの切歯を再植する実験系を用い、初期炎症を抑え歯周組織の創傷治癒促進に作用する乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)ナノ粒子に封入したNFκBデコイを塗布することで、効果的に初期炎症を抑え、周囲歯槽骨吸収および歯髄の石灰化を抑制することを初めて証明しました。
  • 本研究結果は、幼若永久歯の再植後の歯周組織ならびに歯根形成能維持に対して、初期炎症を防ぐことが重要であることを示すとともに、再植後の歯髄生活反応・歯根形成能維持が可能となる新規治療法の開発の嚆矢となることが期待されます。

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科咬合機能矯正学分野の小野卓史教授と石田雄之助教およびLi Kai大学院生らの研究グループは、アンジェス株式会社、ホソカワミクロン株式会社との共同研究で、歯根が未完成の幼若永久歯を用いた再植治療に伴う歯根形成能の停止、歯槽骨との癒着、歯髄壊死等のリスクを防ぎ歯周組織の創傷治癒を促進するために、再植後の初期炎症のコントロールが重要であることに着目し、炎症を抑え歯周組織の創傷治癒促進に作用するPLGAナノ粒子に封入したNFκBデコイを再植歯根表面に塗布することで、効果的に初期炎症を抑え、周囲歯槽骨の吸収および歯髄の石灰化を抑制し、歯周組織の治癒を促進することを明らかにしました。この研究は文部科学省科学研究費補助金ならびにアンジェス株式会社、ホソカワミクロン株式会社、株式会社野村事務所の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Journal of Periodontologyに、2021年7月28日にオンライン版で発表されました。
 

プレス通知資料全文

  • 「NFkBデコイ核酸医薬による幼若永久歯の再植後の治癒の促進」
  • 論文情報

    掲載誌: Journal of Periodontology
    論文タイトル:Nuclear factor-kappa B (NF-κB) decoy oligodeoxynucleotide-loaded poly lactic-co-glycolic acid (PLGA) nanospheres promote periodontal tissue healing after tooth replantation in rats
    DOIhttps://doi.org/10.1002/JPER.21-0134