プレスリリース

「スパコンを駆使したビッグデータ解析による アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症に共通する病態の解明」【岡澤均 教授】

公開日:2021.08.12
スパコンを駆使したビッグデータ解析による
アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症に共通する病態の解明
― より広い認知症患者を対象とする共通分子標的治療の開発に期待 ―

ポイント

  • スーパーコンピューター(スパコン)を駆使したビッグデータ解析によって、2大認知症であるアルツハイマー病と前頭側頭葉変性症の共通病態を解明しました。
  • 2つの認知症に共通してネクローシス細胞死から誘導される病態が重要であることが示されました。
  • ネクローシス神経細胞から放出されるHMGB1を標的とする抗体医薬品が、2つの認知症の治療に共に有望であることが示されました。
 東京医科歯科大学難治疾患研究所/脳統合機能研究センター神経病理学分野の岡澤均教授の研究グループは、名古屋市立大学、東京都健康長寿医療センターとの共同研究で、脳タンパク質の質量分析から得られたビッグデータを対象に、スパコンを駆使した分子ネットワーク解析を行い、これによって、2つの認知症(アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症※1)の共通病態※2を解明しました。さらに、4種類の前頭側頭葉変性症のモデルマウスにおいて、得られた2つの認知症の共通分子標的に対して発症後に行った抗体治療が、認知症状と脳組織の病理学的所見を改善することを示しました。この研究は文部科学省科学研究費補助金(新学術領域・シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成)、日本学術振興会科学研究費補助金(基盤A)、平成22年度~平成26年度・文部科学省『脳科学研究戦略推進プログラム課題E』、平成26年度~平成30年度・文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』、令和元年度~令和2年度日本医療研究開発機構 「産学連携医療イノベーション創出プログラム」セットアップスキーム(ACT-MS)などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学雑誌Communication Biologyにおいて、2021年8月12日にオンライン版で発表されました。
 

プレス通知資料全文

  • 「スパコンを駆使したビッグデータ解析によるアルツハイマー病と前頭側頭葉変性症に共通する病態の解明」
  • 論文情報

    掲載誌: Communications Biology
    論文タイトル:Prediction and verification of the AD-FTLD common pathomechanism based on dynamic molecular network analysis
    DOIhttps://doi.org/10.1038/s42003-021-02475-6