吉岡耕太郎特任助教が全米医学アカデミーのCatalyst Awardを受賞しました

 2023年9月27日にweb開催されたHealthy Longevity Global Competition : Announcement of International Catalyst Award Winnersにて、吉岡耕太郎特任助教(大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)が、全米医学アカデミーのCatalyst Awardの受賞者に選ばれました。

賞の概要 National Academy of Medicine: NAM, Catalyst Award

 健康長寿に向けた課題解決(Healthy Longevity Grand Challenge: HLGC)は、世界各国で進行する高齢化社会の課題解決に資するイノベーション創出を促進するため、優れたアイディアを世界各国から募るものであり、2019年より新規に始まった国際的な取り組みです。 
 全米医学アカデミー(NAM)の提唱によるこの取り組みには、米国NAM(supported by Johnson & Johnson Innovation)のほか、英国(UKRI)、EU(EIT Health)、台湾(Academia Sinica)、中国(Chinese Academy of Medical Sciences)、シンガポール(保健省、National Research Foundation)および国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)など9機関が参加しています。
 Catalyst Awardは、健康長寿の実現に資するシーズとなり得る新しい革新的なアイディアとして世界から選考され授与される賞で、本年度は日本から2チームが受賞者となりました。

研究の概要

標的臓器送達能を有するオーバーハング型二本鎖核酸医薬技術の開発
 
 新型コロナウイルスに対して初めて実用化されたワクチンである「mRNA」ワクチンの登場により、RNAが一躍注目を集めました。この核酸物質であるRNAを、人工合成した核酸物質そのもの自身で制御することを目指した次世代の薬である「核酸医薬」の開発について世界中で競争が激化しています。一方で、この核酸医薬は標的とする臓器への送達に課題があり、様々な薬物送達(DDS)分子との併用が試みられましたが、未だ標的臓器は限られています。
 そこで、吉岡特任助教、横田教授らは発想を転換して「核酸分子自体にDDS機能を内包する」全く独自の2本鎖核酸技術を開発し、核酸の分子構造を変化させることで脳への送達を高めたり、毒性への回避に成功しました。今後は、ナノレベルの核酸化学修飾の導入や原子レベルの標的分子への結合を解析するなど分野横断的な新規技術を駆使して、個々の標的臓器に即したDDS内在型核酸医薬を発展的に続々と生み出すことが期待されます。

プロフィール
詳しくは研究者情報データベースをご覧下さい

https://reins.tmd.ac.jp/html/100012308_ja.html

参考情報

Healthy Longevity Global Grand Challenge
https://healthylongevitychallenge.org/

Catalyst Award Winners(吉岡耕太郎特任助教)
https://healthylongevitychallenge.org/winners/development-of-nucleic-acid-therapeutics-with-built-in-dds/