2022年度クリニシャン・サイエンティスト養成支援制度採用決定通知書交付式を行いました。

 2022年9月12日(月)にМ&Dタワー26階特別会議室にて2022年度クリニシャン・サイエンティスト養成支援制度採用決定通知書交付式が行われ、クリニシャン・サイエンティストとして採用された7名の大学院生へ田中雄二郎学長より採用決定通知書が交付されました。本学は2021年度より文部科学省「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」及び、科学技術振興機構(JST)の「次世代研究者挑戦的研究プログラム」に採択され、それぞれ「TMDU卓越大学院生制度(Ⅰ)(Ⅱ)」として優秀な大学院博士後期課程学生を対象にTMDU卓越大学院生として選考し、挑戦的・融合的な研究に専念できる研究環境と多様なキャリアパス形成に向けた支援を提供しています。今年度からはTMDU卓越大学院生のなかから将来クリニシャン・サイエンティスト(CS)を目指す優秀な大学院生を選出し、「職業としての大学院」をコンセプトに年額250万円の研究専念支援金と、授業料相当額を追加して支援する本学独自のクリニシャン・サイエンティスト(CS)養成支援制度を開始しました。本学は今後、「トータル・ヘルスケア」の実現に向け、臨床の視点に立ち、基礎研究を実践するクリニシャン・サイエンティストを養成し、クリニシャン・サイエンティストとして独り立ちできるよう支援していきます。

田中学長及び古川理事及びCS採択学生7名
右から生田花澄さん、高山すみれさん、渡部準也さん、今井千尋さん、田中学長、古川理事(研究・改革担当)、桐野桜さん、小室茉莉子さん、
伊藤潤哉さん

田中学長及び古川理事及びCS採択学生7名及び分野長5名
手前右側から右から生田花澄さん、高山すみれさん、渡部準也さん、今井千尋さん、田中学長、古川理事(研究・改革担当)、桐野桜さん、小室茉莉子さん、伊藤潤哉さん
2列目右から福井小紀子教授(在宅ケア看護学分野)、岩田隆紀教授(歯周病学分野)、岡本隆一教授(消化器病態学分野)、佐藤荘教授(免疫アレルギー学分野)、淺原弘嗣教授(システム発生・再生医学分野)

CS養成支援制度採択式 学長挨拶

この度はクリニシャン・サイエンティスト養成支援制度に採択され、誠におめでとうございます。

本学は 今年度から第四期中期計画が始まっています。その目標の一つに、医学研究を先導し牽引していくクリニシャン・サイエンティストの育成に挑戦することが掲げられています。

クリニシャン・サイエンティストは耳慣れない言葉かもしれませんが、臨床の視点に立って基礎研究を行う研究者のことを指します。クリニシャン・サイエンティストはこれまで、世界の医歯学研究に多大な貢献をし、多くの疾患の原因を解明し、その治療法を開発し、多くのノーベル生理学・医学賞の対象となってきました。

ところが、世界的にその数は激減し、大きな問題となっています。私は、クリニシャン・サイエンティストを育成するためには、大学院教育が重要と考えていますが、医学系・歯学系では研修医制度や専門医制度が始まり、大学院との両立は非常に難しくなっています。本学は本年度から医療系に特化した唯一の指定国立大学として活動を始めており、この問題を率先して解決する責任があると考えています。そこで指定国立大学元年である今年、クリニシャン・サイエンティスト支援制度を新設しました。

この支援制度のコンセプトは「職業としての大学院」です。大学院に入る年齢で就職した時に得られるであろう初任給に匹敵する収入をサポートする、すなわち大学院に入り研究をすること、イコール大学院に就職すること、という考え方です。

これは、欧米の大学では普通に行われていることです。大学院生というのは社会の財産であり、大学院生を支援するのは未来への投資でもあると考えられているからです。我が国では、日本学術振興会の特別研究員制度、DC制度がありますが、その支援額は十分ではありません。

その意味では本学が新設した本制度が、我が国で初めての「職業としての大学院」制度と言えるかもしれません。皆さんはその栄えある1期生ということになります。授業料免除や他の制度をあわせて、年間550万円程度の支援は、他の職業選択肢と比べれば、まだまだ不十分でアルバイト等で収入を補う必要があるかもしれませんが、それも最小限で済むと思います。

是非この環境を活かし、他の選択肢では不可能な本格的な研究に集中していただきたいと思います。研究には失敗はつきもので、大学院在籍中に必ずしも大きな成果をあげられる人ばかりではないかもしれません。それでも失敗も学びととらえて、クリニシャン・サイエンティストとして独り立ちする基盤をしっかり築いていただくことを期待しています。


2022年9月12日   
学長 田中 雄二郎

 
代表者挨拶(桐野桜さんより)

私たち7名は、クリニシャン・サイエンティスト養成制度一期生として採用いただきました。代表してご挨拶させていただきます医歯学総合研究科 消化器病態学 桐野桜と申します。この度は、このような交付式の機会をいただき、誠にありがとうございます。
私たちはこれまで医歯学研究面、臨床面で様々なバックグラウンドで研鑽を重ね今年度東京医科歯科大学博士課程への入学を果たしました。研究の開始および今後太く長く研究を続けていけるよう手厚くご支援いただき、心より感謝申し上げます。また個人といたしましては日々ご指導いただきクリニシャン・サイエンティスト応募に当たりましてご支援いただきました消化器病態学 岡本隆一教授、油井史郎准教授、消化器病態学の諸先生方に感謝申し上げます。

医学は日進月歩とよく言われますが、医学の臨床・研究に関わるようになり非常にその意味を感じます。私自身は6年間医師として臨床を行ってきましたが、日々新薬が開発され、先月まで治療できなかった患者さんに、新たな治療を導入し、大変喜んでいただける機会に何度も恵まれました。また膨大な臨床データの解析から最適な治療を行うためのガイドラインが作成され、より良い治療に向かって新たなエビデンスが構築されていく現場にも参加することができました。2020年に世界に広がったCovid-19に対しましても、人類はこれまで積み上げてきた医学研究の成果をもとに、ワクチンや治療薬の開発、ウイルスの性質理解と対策に取り組み戦っています。また、今この瞬間にもデータを蓄積し収束に向けての新たな研究を積み上げています。これから医歯学研究に参加するにあたり、私達も人類の役に立つ、また未来の研究に繋がっていく研究をこの医科歯科大学から発信していけるよう励みたいと思います。

入学から半年が経ち、いよいよ本格化していくこれからの医歯学研究生活を楽しみにしております。ご支援・ご指導いただく先生方にも、ぜひ私達のこれからの活躍を楽しみにしていただければ幸いです。研究者としてはまだまだ未熟ですが、支援して良かったと思っていただける成長ができるよう頑張りますので、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

令和4年9月12日
東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 消化器病態学分野 桐野桜
 
2022年度クリニシャン・サイエンティスト養成支援制度採用決定通知書交付式
1.日時 2022年9月12日(月) 15:15~15:45
2.場所 М&Dタワー26階 特別会議室
3.出席者 14名
   田中学長、古川理事、指導教員5名、CS採択学生7名
4.次第
 〇15:00 開場
 〇15:15 開会
   ①採用決定通知書授与(CS採択学生7名に授与)
   ②古川研究・改革担当理事挨拶
   ③田中学長挨拶
   ④代表者挨拶(消化器病態学分野 桐野桜)
         ⑤意見交換会
 〇15:45 閉会
 〇15:45~ 記念撮影(集合写真)
 
【関連ホームページ】 

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