渡邉 守 理事・副学長が科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞の受賞者に決定しました

渡邉 守 理事・副学長が科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞の受賞者に決定しました

消化器病態学分野の渡邉(わたなべ)守(まもる)理事・副学長が、平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞の受賞者に決定しました。


平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について(文部科学省ホームページ)

業績

渡邉 守 理事・副学長

培養大腸上皮幹細胞を用いたヒト腸管再生医療に関する研究

 本研究が対象とする炎症性腸疾患は未だ根本的な原因や治療法が見つかっていない難病である。従来の同疾患の治療研究で行われていた大腸上皮細胞培養においては、癌由来細胞株を2次元で培養していたため、正常な大腸の状態を反映していなかった。
 本研究は、幹細胞を含めた全ての正常細胞の3次元培養技術を確立し、生体内の腸内環境を反映した培養系を構築し、更に培養細胞による大腸潰瘍に対する再生医療の有効性を世界で初めて提唱したものである。
 本研究では、正常大腸上皮細胞を単離し、 in vitroにおいて継続的な大腸上皮幹細胞の3次元培養法を初めて確立したことに止まらず、潰瘍モデルにおいて幹細胞移植による組織修復に世界で初めて成功した。現在、AMED(日本医療研究開発機構)の再生医療実現拠点ネットワークプログラムの支援を受けて、ヒトへの臨床応用を目指している。大腸内視鏡生検検体からの大腸上皮幹細胞の培養に成功し、培養条件を全てGMP化して増殖させる技術を世界で初めて開発し、臨床応用に着実に向かっている。
 本成果は、難病である炎症性腸疾患に対して再生医療という新たな治療法を提示するものである。若年層の罹患者が多い同疾患における新規治療法開発は社会的にも大きな意義があり、再生医療による難病克服を通じて我が国の再生医療の更なる発展に寄与することが期待される。