新卒採用者(免許取得見込み者)による医療従事活動について

新卒採用者(免許取得見込み者)による医療従事活動について

平成25年8月15日
東京医科歯科大学


新卒採用者(免許取得見込み者)による医療従事活動について


 本学医学部附属病院において、平成25年4月に採用しました診療放射線技師と薬剤師が、国家試験には合格しておりましたが、診療放射線技師や薬剤師として国に登録される以前に業務に従事させてしまったことが判明しました。
 本学として調査改善検討委員会を設置し、別紙のとおり報告書がまとまりましたので、ご報告します。
 このたび、医学部附属病院を受診された皆様の信頼を損なう事態を招きましたことを深くお詫び申し上げます。
 今回の事態を真摯に受け止め、安全でかつ質の高い医療の提供に一層の徹底を図り、再発の防止に努めていく所存です。

【お問い合わせ先】
東京医科歯科大学
広報部広報課
課長 横山直樹
電話 03-5803-4014

概 要 等( 別 紙 )

1.概要
 本学医学部附属病院の診療放射線技師が、国家試験に合格していましたが、免許登録前の状態で、放射線治療行為を行っていたことが7月18日に判明しました。その後、病院内で調査した結果、当該診療放射線技師の他に、診療放射線技師3名、薬剤師2名が、免許登録前に放射線検査並びに処方箋及び薬袋の薬剤師欄に押印していたことが判明しました。
 なお、放射線治療・検査及び調剤内容について、再検証した結果、放射線治療・検査については免許を有した診療放射線技師の下に行われ、また調剤内容については免許を有した薬剤師の監査がされており、共に医師の指示・処方どおりに行われたことが確認できております。

 ・総放射線治療・検査件数:1,205件(実患者数:544名)
 ・総調剤件数      :  807件(実患者数:606名)
※ 総実患者数1,105名(放射線治療・検査及び調剤の重複数45名を除く)


2.患者さんへの対応について
 今回、免許登録前の者が放射線治療・検査を実施及び処方箋等に押印していた患者さんに対して、平成25年8月12日付文書により謝罪を行いました。


3.関係機関への報告について
  厚生労働省関東信越厚生局には平成25年8月1日に、東京都福祉保健局及び文部科学省高等教育局には平成25年8月5日にそれぞれ、本件の経過説明を行っております。
平成25年8月7日に行われた医療法25条の規定に基づく立入検査の際に、東京都福祉保健局から、患者さんへの説明と医療安全の観点からの再発防止の徹底等について、指導がありました。


4.問題点について
平成25年7月31日及び平成25年8月9日に聞き取り調査を行った結果、大学・病院の内部牽制体制に不備があったことが一番の問題だと結論づけますが、具体的には次の3点が挙げられます。

(1)管理責任者や指導者の法令に対する認識がうすいとともに、免許の登録状況を把握していなかったこと。また、新卒者(免許取得見込み者)が、法令に対する認識や免許登録・免許提出の重要性・必要性についての認識が不十分であったこと。

(2)管理責任者及び人事課の連携及び免許登録確認の体制に問題があり、責任の所在が曖昧であったこと。また、労働条件通知書に免許取得前は研修業務であることについて記載があるものの本人が記載されていることに気が付かなかったこと。

(3)医療情報システムに、新卒者(免許取得見込み者)にも入力権限を与えていたこと。


5.本学における再発防止のための対策について

(1)本人及び管理者への教育の徹底
①免許登録前の業務独占である業務と研修を区別するために医療技術職員毎にガイドラインを作成し、新卒者(免許取得見込み者)を採用した場合は、常に配置部署の管理責任者が、免許登録前の研修と免許登録後の業務の違いについて、認識を徹底します。

②新規採用の医療技術職員に対するオリエンテーション、管理者に対する研修、病院運営会議及び教授会などで、新卒者(免許取得見込み者)が免許登録前に国家資格として業務独占である業務を行えないことを周知・徹底します。

(2)免許登録確認の改善
①人事課は、新卒者(免許取得見込み者)を採用した部と先ず採用時に免許登録申請を行ったかどうか各人に確認を行い、その上で医療情報システムを管理する医療情報部との連携体制を構築します。具体的には、人事課において新卒者のリストを部ごとに作成し、各部および医療情報部に周知します。
このリストを用いて、免許申請日、免許登録日、免許提出日、医療情システム利用開始日の確認を行い、各部門で情報共有を行います。

②就業規則の改正及び労働条件通知書の記載内容の改善により、①業務独占の職種については、免許登録前は業務独占である業務を行えないこと、②速やかに免許登録がなされない場合には、解雇要件となることを明文化するとともに、労働条件通知書の記載内容については採用時に手交し、説明します。

(3)電子カルテ入力システムの改善
医療情報システムに入力できる権限を免許登録者に制限する。入力制限の解除については、医療情報部において人事課及び新卒者を採用した部の管理責任者から入力制限の解除要請を受けてから解除します。

(4)その他
医療技術職員についても、本学の連携病院等との人事交流を積極的に行い、視野を広げ常に外部を意識した業務を行える環境を整えます。


6.関係者の処分について
  今後、本学において懲戒委員会を設け、関係者につきましては、厳正に処分を行います。