大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器外科学分野 藤井靖久教授就任挨拶

大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器外科学分野 藤井靖久教授就任挨拶

大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器外科学分野 藤井靖久教授就任挨拶
 平成28年8月1日付けで、大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学分野教授を拝命いたしました。何卒よろしくお願い申し上げます。
 私は昭和63年に本学を卒業し、ただちに大島博幸教授の泌尿器科学(現、腎泌尿器外科学)教室に入局しました。筋層非浸潤膀胱癌の新たな進展予測モデルの研究にて医学博士を取得し、その後海外経験として米国のピッツバーグ大学およびルイビル大学の内分泌代謝学教室に留学し、内分泌学を基礎から学ぶ機会をいただきました。帰国後は、本学およびがん研究会有明病院にて、癌の臨床を深く学ぶことができました。
 泌尿器科学は、悪性腫瘍(癌)、前立腺肥大症などの排尿障害、副腎腫瘍などの内分泌学、尿路結石、腎機能異常、泌尿器放射線学、神経泌尿器科、男性科、小児泌尿器科、女性泌尿器科、尿路感染、尿路外傷など広い領域を扱っている学問です。社会の高齢化に伴い、患者さんが急増している科です。日本を筆頭に世界で超高齢社会が急速に進行していますが、これに対応した医療の開発は世界の最重要課題の一つと考えます。私たちの教室では、前任の木原和徳教授時代から、超高齢社会にも対応したHigh quality, Affordable costの医療の開発・実践を主な目標にしてきました。木原教授は、先端型ミニマム創内視鏡下手術であるガスレス・シングルポート・ロボサージャン手術、筋層浸潤膀胱癌に対する低用量化学放射線療法や胱部分切除を組み込んだ膀胱温存療法など多くのオリジナルな治療を開発、実践し、その有用性を示しました。私は、筋層非浸潤膀胱癌の再発・進展予測モデル、小径腎腫瘍の悪性良性の鑑別診断モデル、前立腺癌に対する順次的内分泌療法などを開発すると共に、腎癌手術後の腎機能・心血管障害の関連について新知見を見出してきました。現在、これらの治療を希望され全国から多数の患者さんが来院されており、私を含め教室員一同で一生懸命診療をしています。今後も教室全体で、患者さん・社会に役に立つ新しい医療の開発、実践を進めたいと考えます。
 教室の機能として、診療、研究の他、教育も重要です。私は、「臨床上の重要な課題を見つけ、その解決に向けて基礎的かつ臨床的に幅広いアプローチができる」、「国際的に(英語で)討議、発信できる」、そして最終的には「ガイドラインを書き換えられるような、新規の医療を開発、提供できる」医師を養成することを主目標にし、内外に優秀な人材を輩出したいと考えています。今後もご指導ご支援をよろしくお願い申し上げます。

大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器外科学分野 教授 藤井靖久