グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 神経病理学分野  > 研究紹介  > RpA1を用いて脊髄小脳失調症モデルマウスの治療に成功 (2016)

RpA1を用いて脊髄小脳失調症モデルマウスの治療に成功 (2016)

脊髄小脳失調症は、失調症状(歩行障害、構語障害)を特徴とする、アルツハイマー病やパーキンソン病に次ぐ患者数の多い疾患だが、有効な治療法は未だ確立されていない。本研究対象の脊髄小脳失調症1型(SCA1)は、原因遺伝子Ataxin-1のエキソン内のCAGリピート配列が異常伸長して起こる疾患である。

 私達はこれまで、網羅的プロテオーム解析より、SCA1病態では核およびミトコンドリアのDNA修復機能障害を報告した(Qi et al., Nat. Med. 2007; Ito et al., EMBO Mol. Med. 2015)。また、ショウジョウバエを用いた遺伝子スクリーニングから、DNA損傷修復分子RpA1が、SCA1モデルショウジョウバエの症状に影響を与える重要な分子である事を示した(Barclay et al., Hum. Mo. Genet. 2012)。そこで、RpA1を発現するAAVベクターを作成し、SCA1モデルマウスに対して治療実験を行った。私達は、AAV-RpA1ベクターを発症時期とほぼ同じタイミングで、SCA1モデルマウス小脳髄腔内へ単回投与すると、50週にわたって運動機能の改善が維持され、それに対応して、小脳神経細胞のDNA損傷を抑制したほか、遺伝子発現パターンの異常も改善された。RpA1は今後、ヒトに用いるべく治療製剤開発につながる可能性を持つ分子として期待される。

発表論文

Sam S Barclay, Takuya Tamura, Hikaru Ito, Kyota Fujita, Kazuhiko Tagawa, Teppei Shimamura, Asuka Katsuta, Hiroki Shiwaku, Masaki Sone, Seiya Imoto, Satoru Miyano, Hitoshi Okazawa.
Systems biology analysis of Drosophila in vivo screen data elucidates core networks for DNA damage repair in SCA1.
Hum. Mol. Genet. 2014.03; 23(5); 1345-1364. doi: 10.1093/hmg/ddt524.

Taniguchi, JB., Kondo, K., Fujita, K., Chen, X., Homma, H., Sudo, T., Mao, Y., Watase, K., Tanaka, T., Tagawa, K., Tamura, T., Muramatsu, SI., Okazawa, H.
RpA1 ameliorates symptoms of mutant Ataxin-1 knock-in mice and enhances DNA damage repair.
Hum. Mol. Genet. 2016. doi: 10.1093/hmg/ddw272.

神経病理学分野