グローバル教育第1回 グローバルな舞台で活躍する医療人を目指して

グローバル教育第1回 グローバルな舞台で活躍する医療人を目指して

 国際交流センターグローバルキャリア支援室では、本学グローバル人材育成推進事業の一環として、2014年 5,6 月に全学科第1学年学生の希望者を対象に、国際医療問題に関する英語模擬交渉ワークショップ(Global Communication Workshop:以下GCW)を開催しました。
 
 GCWでは国際医療問題に関する英語模擬交渉を通じて、「グローバル人材に必要な能力とは何か」を学びます。

グローバルな舞台で活躍する人材に必要な資質とは・・・

 生命科学研究や国際保健、医療産業などの分野で、グローバルな舞台で活躍する人材に必要とされるのは、医学知識や一般英語力だけではありません。様々なステークホルダーの利害が絡む複雑な問題を正しく理解し、その原因を様々な視点から徹底的に分析し、もたらされる効果および実現可能性という観点から最良と思われるソリューションを見出し、リーダーシップを発揮してそれを実行に移す・・・そのためには、英語の実際的な運用能力や医学知識に加え、関連する社会科学分野における広範な知識が必要であり、そしてそれ以上に、クリティカルシンキングスキル(適切な基準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考・意志判断)、創造的思考力、リーダーシップスキルなどの、いわゆる「ヒューマンスキル」と称される資質が要求されます。

 GCWは、医学・医療分野において、将来グローバルな舞台で活躍する人材に求められる語学力やスキルなどを認識し、自身のゴールセッティングを行うことを目的としており、全体でのブリーフィングの後、”ORE” (Opinion意見, Reason推論, Evidence根拠/Example例示) などの議論における意見表明フレームワークの練習を行った後に、各学生が異なるステークホールダー役を担っての6~7人程度での英語模擬交渉へと入っていきます。

Global Communication Workshop 2014

模擬交渉前の意見表明フレームワーク”ORE”の練習:
はじめは自分の意見を英語で表現するのは難しい

 5月中旬から6月中旬に4つの日程に分けて開催されたGCW2014には、全日程あわせて、希望した新入生のほか上級生若干名も含めた総勢145名が参加しました。そして、10名の本学外国人大学院留学生が「現地コミュニティリーダー」というステークホルダーとして、そして現在本学のHealth Sciences Leadership Program (HSLP:昨年度秋開講した完全英語履修のリーダー養成放課後プログラム)で学んでいる先輩学生20名がチューターとして、英語模擬交渉に参加してくれました。GCWへの参加は、本学が提供する海外留学機会や上述したHSLPへの応募の際の必須要件となっており、海外留学に関心がある学生や、まだ具体的ではないものの将来は国際的な舞台で活躍したいと考える学生など参加者の背景はさまざまでした。中には「障害をもつ患者さんを治療できる施設が現在ではまだ限られているので、将来は障害者歯科の分野で活躍したい。日本語を話せない外国人にも治療の機会を提供できたらと考えています。」という学生もいました。

お互いの状況を理解するにつれて打ち解け、
自然に笑みがこぼれる

 模擬交渉では学生それぞれに異なるステークホルダーの役割が与えられますが、役割に応じて直面している問題や交渉のゴールが異なり、それぞれが相手の発言をよく聞き立場を理解しながら自分の意見を効果的に伝え、交渉を進めなくてはいけません。まだ英語でのディスカッションに慣れていない学生も多く、初めは相手の反応を見ながら少しずつ英語を口にしていた学生たちも、題材をよく理解し自分の果たすべき役割が明確になるにつれて、積極的に議論に参加するようになりました。模擬交渉の終了後に、交渉を振り返ってグループごとにうまくいったところや改善すべき点について話し合い、最後の全体学習セッションで各グループがそれぞれの出した結論を発表しました。
 終了後のインタビュー(日本語)では「自分の思っていることを英語でそのまま表現するのは難しかった。これをきっかけに英語の勉強をがんばりたい。」という学生や「数字になるとつい日本語が…」という学生も。それぞれ英語でのコミュニケーションの難しさを口にしながらも、終わった後にはみな充実した表情を浮かべ、明確に認識された今後の学習目標とともに、それに向けての強い意気込みに満ちていました。

Same-Role Meeting
同じステークホルダー役の学生同士で
問題点や解決策を話し合う

Negotiation
交渉は相手の立場や、目的、ゴールを
よく理解することが重要

留学生からの効果的な発言・演出で議論が深まる

 今回チューターとして協力してくれたHSLPで学ぶ先輩達も、1年前は新入生としてGCWに参加しました。そのときは今回の新入生と同様に苦しんでいた彼らでしたが、先輩チューターとして議論の進行に配慮しながら新入生を支え、素晴らしいロールモデルとして活躍してくれました。今回のGCW参加者のなかからも、来年そのように活躍してくれる学生が出てくることでしょう。このように学年を超えて刺激し、支え合いながら育っていくTMDU発の次世代のリーダーたちがグローバルな舞台で活躍する日が、今からとても楽しみです。