ごあいさつ

ごあいさつ

2022年4月より、脳統合機能研究センター長を拝命いたしました高橋英彦です。センターを代表して御挨拶申し上げます。
本センターは前脳神経内科教授の水澤英洋教授が代表をお務めになられた文部科学省21世紀COEを引き継ぐかたちで2007年に水澤英洋教授を初代センター長として脳統合機能研究センターが発足しました。学内の神経科学にかかわる基礎から臨床まで多くの研究室が関与しており、そのアプローチも分子レベルから行動レベルまで実に多様であります。神経科学の扱う領域が多岐にわたることの縮図とも言えます。そうした多様性を活かし、学内の共同研究や人材育成にも重要な役割を担ってきました。2014年からは神経病理学分野の岡澤均教授が、センターの活動をさらに活性化し、大型研究費によるプロジェクト推進するハブとして発展しました。また、本センターと共に発展してきたお茶の水ニューロサイエンス協会(Ochanomizu Neuroscience Association:ONSA)を充実させ、都心の利便性を活かし、近隣にとどまらず学外のニューロサイエンスコミュニティとネットワークの場として強化してきました。長年継続している若手インスパイアシンポジウムも、若手のロールモデルとなるようなユニークな研究をしている講師もお呼びして、文字通り、若手のモチベーションを刺激する場となっています。さらに、若い世代という意味では脳科学の重要性と面白さを啓蒙する世界脳週間のイベントとして高校生を対象とする講義を行うなど、大学院生や若手研究者の育成・奨励にも力を入れてきました。初代が臨床、二代目が基礎、そして三代目の私で、再び臨床の分野がセンター長を務めさせていただきますが、基礎と臨床だけでなく、分野間も横断する研究がより求められる時代になり、縦割りの弊害を最小化して、センターとしての強みを活かしていければと考えております。
また、本学は本年度から指定国立大学法人としてスタートを切りました。Clinician Scientist及びMedical Data Scientistの育成を一つの柱に掲げています。複雑でミステリアスな脳という臓器を理解するための技術革新も日進月歩、計測技術の向上で、網羅的・連続的な大量のデータが入手出来る時代になりつつありますが、反対に一つの研究室の守備範囲に収まらなくなってきています。2020年4月「M&Dデータ科学センター」も設立され、情報科学との連携も不可欠でありますが、多様な脳科学の集団が相互に気軽に知恵を持ち寄って、Clinician Scientist及びMedical Data Scientistの育成にも貢献したいと思います。また、指定国立大学法人となりオープンイノベーション及び産学連携の進展も重要な課題であります。本センターから、イノベーションに資するシーズも生み出していきたいと考えております。
指定国立大学法人としてスタートを切ったのを機に、よい伝統はさらに発展させ、新しいことにもチャレンジしていきたいと考えておりますので、皆様の東京医科歯科大学の脳科学コミュニティへのさらなる御支援、ご協力を心よりお願い申し上げます。

2022年4月 

脳統合機能研究センター
センター長
高橋 英彦