ピアサポート通信第16号 - 歯科医師国家試験対策について (歯学科)

ピアサポート通信第16号 - 歯科医師国家試験対策について (歯学科)

こんにちは、学生支援室ピアサポーターです。  

今回は、2022年度の歯科医師国家試験に合格された元ピアサポーターの先輩から、歯科医師国家試験対策についてまとめていただく企画となります。学生のみなさんはぜひ参考にしてみてください!

みなさんこんにちは、ピアサポーターを務めておりました、歯学科
6年の者です。私は、2023年の1月に開催された第116回歯科医師国家試験を受験しました。国家試験前の準備、当日、合格発表までの流れに関して簡単に共有しますね。
こちらの内容に関しては私個人として考えたこと、おすすめすることですので、100%正しいものではないことにご留意いただき、皆さんそれぞれの勉強の参考にしていただければ幸いです。

〇目次
1.国家試験についての概要
2.自分が行った国試対策
3.国試勉強で使用した教材について
4.国試対策でよかったと思った点
5.国試対策で悪かった点
6.試験当日への準備について
7.当日の試験会場について
8.受験後から合格発表まで
9.メッセージ

  

1.国家試験についての概要

1-1.試験・合格発表・出願の日程

合格発表日は、
3月中旬です。例年、316日前後ですが、正確な日にちは厚労省のホームページでご確認ください。
出願の締め切りは、
11月末ですが、学内でまとめて提出するため、10月末までには必要書類を大学に提出します。手続きは、近い時期に大学から資料が配られるので特に困ることはありませんが、必要な証明写真のサイズが縦6センチ、横4センチという特殊なサイズだったので事前に準備する方は注意してください。
116
回の参考資料はこちらです↓
116回 歯科医師国家試験の施行について
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shikaishi/


 

  1. 1-2.試験当日の概要

    問題は
    A, B, C, D問題(1日目にA, B問題、2日目にC, D問題)に分かれ、それぞれ2時間15分で90問出題されます。
    教室への集合時刻:8:50
    試験の説明会開始:9:00-9:45 (45分間)(トイレでの退出はできないとのアナウンスがありました、45分間説明の時間があるのでトイレは済ませておきましょう。会場によってはかなり混雑しているトイレもあるようです。)
    午前の試験:9:45-12:00 (2時間15)
    お昼休憩:12:00-13:10
    試験の説明:
    13:10-13:45 (35分間)(午前と同様にトイレ退出できません。午前よりも説明は短縮され、何もしない待ち時間が多かったです。)
    午後の試験:13:45-16:00 (2時間15)
    このセットが2日間続きます。
    問題の持ち帰りが許可されているので、自己採点は書き込みをした問題冊子をもとに行います。

当日の持ち物ですが、
116回歯科医師国家試験受験者留意事項【受験地:東京都】
https://www.mhlw.go.jp/content/001034611.pdf

に記載の通りです。

特筆すべきこととしては、シャーペンは机の上に出すことができなかったこと(記入はすべて鉛筆ということです)、腕時計は机において使用できず、腕に着けて使用することのみ許可されました。また、上着をひざ掛けとして使用することは許可されていませんでした。教室は特に寒いというわけではありませんでしたが、当時の会場の気温に調整できるような服装で行くとよいかと思います。
受検者留意事項に記載のないポケットティッシュ等は、当日試験官に聞いて許可が下りれば使用できます。


  1. 1-3.近年の国家試験の合格率、領域など

  2. 近年の国家試験は、合格者を
    2000人弱として設定していると想定されています。(116回歯科医師国家試験の合格率は、全体:63.5%、新卒者:77.3%でした。)
    また、116回の医科歯科大学の新卒者の合格率は79%でした。
    116回国家試験から出題基準が変更になり、さらに領域も再構成されています。領域は、「必修」、「領域A(総論)」、「領域B(各論)」に分かれており、それぞれの領域で合格点に達する必要があります。

    必修は、80%以上の得点が求められられる絶対評価の領域です。例年80問(11点)が出題されるため、64問以上の正解が必要となる領域です。ただし、正答率がよくない問題に関しては削除される可能性があります。削除された問題に関しては、自身が正解していれば正解した問題として母数に含まれ、自身が不正解の場合は母数から削除されます。削除問題の基準に関しては、正答率○○%以下が削除されるなどではなく、厚生労働省により決められるため、どの問題が削除されるかは受験時にはわかりません。
    領域
    A(総論)、領域B(各論)は合格ラインの明確な基準はなく、受検者全体の相対評価によって合格ラインが決められる領域です。毎年、60-70%で合格ラインが設定されているような状況です。(116回は、領域Aが、約66%、領域Bが約69%の得点が合格基準でした。)
    例年の医科歯科の新卒者の不合格の状況としては、必修の得点が足りず、不合格になる人が大半を占めていると思われます。


    問題の見分け方に関してですが、「必修」は、例年問題A, B, C, Dの最初の20問が必修問題なので試験中にどれが必修問題なのか区別ができるのですが、領域A、領域Bの問題に関しては当日で完璧に見分けることは難しいと思います。領域A,Bには、11点の問題の「基本問題」、と13点の「臨床問題」に分かれるのですが(臨床問題は、「〇〇歳男性。~で、~である。」などといった問題文の条件が具体的なものであるため、臨床問題と基本問題の区別は模試を解いて演習していく中でわかるかと思います。)、この「基本問題」に関して、それが領域Aなのか領域Bなのかを判別することは難しいです。基礎医学、衛生等の問題はすべて領域Aに含まれるのですが、臨床科目の1点問題に関しては、その問題が領域Aであるのか、領域Bであるかをすべて正確に判断することが難しいと思います。

 

  1. 2.自分が行った国試対策

    私が行った国家試験対策ですが、実践2023iPadをメインにして勉強しました。例年、実践の団体購入の時期がありますので、そこから夏までに過去問集を1週終えることを目標にしました。口述しますが、iPad版の実践は紙版の実践2023と比較していくつかデメリットがあるのですが、大学に行きながら国家試験に必要な教材を持参する手間等を考え、一週目はすべてiPadで行いました。

しかしながら、夏までに1週目を終わらせる予定でしたが結局、10月末の臨床実習終了までも1週目が70%達成した状況となり、周りと比べても勉強はそこまで進んではおりませんでした。
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月から国家試験のある1月末までの3か月間は実習がなくなり、大学が6年生のために提供してくれている勉強部屋があったので、友人数人とそこで1日中勉強して、帰宅して自宅でも勉強するという1日を繰り返していました。1人で勉強するか、友人と集まって勉強するかに関してはそれぞれだと思いますが、私は1人で勉強して間違った方向に進んでしまうこと、複数人で勉強することによってそれぞれが考えた疑問を共有できることがメリットだと考え、集まって勉強していました。
集まって勉強していた内容に関しては、前述の実践
20232週目以降は紙版で行いました。)を3周すること、受けた2社の模擬試験の復習をすること基本として、後ろで紹介する教材を利用して勉強していました。

 

3.国試勉強で使用した教材について

国家試験で主に使用した教材、模試は以下の通りです。


  1. ① 歯科医師国家試験過去問題集 実践 2023(麻布デンタルアカデミー)
    新しい実践を全巻買えば、iPadで過去問演習ができるライセンスが1年間ついてきます。(しかしながら、問題によっては紙の問題集にしか載っていない問題もあり、実践の過去問集に載っているすべての問題集を演習するには紙で演習することが必要です。また、iPad版の解説は短縮されています。)また、iPadのアプリでの問題演習は、正答率、間違えた問題、問題検索、自分で問題セットを作成することなどが可能であり、紙での演習よりも効率的に行える部分があります。
    過去問集には他にも、DeSが作成しているAnswerシリーズがあります。2023年はAnswerは紙ベースで電子版の問題集がありませんが、実践シリーズとの違いは、問題それぞれに正答率が載っていること、解説がより論理的に書かれていることが特徴です。
    私が実践を選んだ理由はみんなが買っていたからという消極的な理由ですが、上記の特徴を踏まえ実際にみてみて購入を検討するのがよいかと思います。

  • ② 歯科CBT対策 CBT PASS ガイド編 第4
    5年生のCBTの受験の際に使用していたCBT PASS ガイド編を特に基礎系の科目を勉強するのに使用していました。私立大学などはNEW TEXTと呼ばれる麻布の実践問題集(過去問題集)と対応しているものを使っている方が多いと来たのですが、NEW TEXTに記載されているような細かな内容をすべて暗記していくのは期間的に難しかったこと、基礎の勉強を大切にしたかったことから、よくまとまっているこちらの問題集を使用していました。少し重いですが、1冊だけなので数冊に分かれているNEW TEXTよりも使いやすかったです。

    ③ 歯科国試パーフェクトマスター シリーズ 各種
    特に臨床科目が重宝しました。臨床科目に関して臨床実習である程度のことは把握していますが、自分が経験しなかった手法も国家試験に出題されます。技工操作や臨床手順、実際に何をやっているかなどが写真付きで分かりやすくまとまっているのが、このパーフェクトマスター シリーズであるため、理解に重宝するかと思います。

    ④ 公衆衛生が見える
    公衆衛生の問題は、出題数も多く、暗記科目であるため、前述の「必修問題」または「領域A」の得点源となる分野です。基本過去問をベースにして周辺知識を広げていくことで対応が可能ですが、食事摂取基準に関する内容、晩期死体現象に関する内容などに関してはこの公衆衛生が見えるが写真付きでよくまとまっており理解に役立つと思います。

    ⑤ 予備校が作る模擬試験
    2社の予備校(麻布デンタルアカデミー、DeS)が作る模擬試験を受けて、復習をしていました。
    私が受けた模試は、2社からの全国模試(それぞれ3回ずつ)と、衛生模試(麻布デンタルアカデミー)、必修模試(2回分、DeS)、直前のWeb模試(麻布デンタルアカデミー)です。全国模試はほとんどの歯学科の学生が受けるものであり、得点率および自分の成績が出るため、受験をお勧めします。特にそれぞれの問題の得点率とその問題を自身が正解したかどうかが分かるため、みんなができていて自分ができていない問題が分かり今後の対策につながります。また、2社の模擬試験をそれぞれ1回でも受けていれば、国家試験受験直後の採点サービスに登録できるため(特にDeSの採点サービスが正確で速いといわれています。)お勧めします。

    必修模試に関しては、本番に近い難易度の必修問題が
    1回につき2セット(1セット80問)解けるため、よい演習と復習ができると思います。直前Web模試に関しては、直前に新しい問題が解けて良かったという印象です。麻布の模試をセット購入するときについてきたものでした。衛生模試に関しては、予想問題が多く、難しい問題がとても多かったので、本番で役に立ったという印象は特にありませんでした。
     
  1. ⑥予備校が提供する講習
    麻布デンタルアカデミーが提供する「必須ファイナルゼミ」を受講しました。今までの問題を分析して、まだ出ていないところや大切と考えた部分を焦点に当てたオリジナル問題を解き、解説の講義を受けることができます。毎年、ここから数問出題されるということがささやかれているため、受講しました。必修の知識で抜けていた分を補え、当日も勉強した関連分野の問題が出題されたイメージです。

以上、私が国家試験対策で使用した教材になります。



  1. 4.国試対策でよかったと思った点

    国家試験対策でよかったと思った点は、選択問題の解き方を考えた点、みんなで集まって勉強できた点であると思います。
    選択問題の解き方に関しては、「消去法」を重視しました。どんなに難しい問題であっても、選択肢に必ず答えがあることを意識しました。本来なら別の回答がベストであるがこの選択肢のリストの中ではこれが一番ベターだから、この選択肢しか選べないなど、「正答を探す解き方」では解けない問題も数多くあると演習していて感じました。この点YouTubeで、「dentalkokushiチャンネル」が問題の解き方・考え方に関して説明してくれていたので、どうかのほとんどを視聴しました。

    みんなで集まって勉強できた点に関しては、「2.自分が行った国家試験対策」にも記載の通り、自分が抜けていた部分が友達の質問によって判明したり、ここはみんなできないからできなくても問題ないといった判断をしたりすることができました。特に、私が使用しなかったNEW TEXTには初めて聞いたような単語や細かい知識が記載されており、11月から始めた私にとってはそのすべてを暗記して、本番で使えるような状態にしておくことが難しかったため、みんなが知っている「基礎・基本」を押さえるのに役に立ちました。また、直前に友人が質問したり、供給してくれたりしたことがそのまま国家試験の問題で出るなどもいくつかあり、助けられました。

     

5.国試対策で悪かった点

過去問集に関して、実践シリーズかもしくは、
ANSWERシリーズどちらをえらべばよいかを深く考えずに、団体購入や毎年先輩が購入しているからという理由で実践を買ってしまったので、買う前によく吟味すべきだったと感じています。特に、問題によって解説が全然違ったり、あるいは正答としてる選択肢が違ったりしていたので、自身勉強スタイルに合ったものを選択すべきだったと感じました。


6.試験当日への準備について

例年、受験票が自身の手元に届くのは、年明けの受験
2週間前とかになるかと思います。当日の持ち物をその段階で確認するのではなく、3回目の模擬試験までにはそろえておいて、当日への準備で不足するようなことがないようにすると余裕をもって準備できるかと思います。
また、私は当時の朝電車が遅れて受験会場に着けないリスクを減らすことと、直前の移動時間を減らすことを目的として会場近くに友人と数人で宿泊しました。(部屋は別々です。)具体的な受験地が決まるのは、受験票が送付されたときのため、それを待っていると2週間前の直前に宿泊場所を探し始めることになりますが、例年東京会場は(みなさん東京会場で受けるようにと大学から指示があるかと思います。)2つなので(会場が変わる場合もあります。)、あらかじめその2つのどこかになると予想して12か月ほど前からそれぞれの受験地に近い宿を合計2つ予約しておきました。直前に泊まりたい宿が満室になること、直前の値段が上がる時期に予約することを避けれたのでよかったです。受験地がわかり宿泊しないと分かった宿に関しては、2週間前でもキャンセル料無料でキャンセルすることができるプランが多くあるかと思いますので、問題ないかと思います。


7.当日の試験会場について


当日は、
9時開始のため、余裕をもって8時ぐらいには到着しているように会場に向かいました。トイレが少なかったり、会場が思ったより寒かったりする可能性もあるため、早めにトイレを済ませておく、会場室内で軽く羽織れるような上着を持っていくなどの対策が必要かと思います。
また、休憩時間には終わった試験問題に関して友人と話して答え合わせを始めようとする人が必ずいるため、それをしたくない人、聞きたくない人はそうした人たちとの接触を避けることも大切だと思います。


8.受験後から合格発表まで


受検は
1月後半ですが、2月中旬ぐらいまでには予備校からの採点サービスが帰ってきて自分の得点がどれくらいなのかを把握できます。厚生労働省からの正式な発表は毎年、316日前後となっています。
合格したら歯科医籍登録の手続きが住民票のある保健所で必要となります。私は地方出身で、住民票が実家の住所にあり、研修医は医科歯科のプログラムであることが分かっていたため、合格発表までの期間に東京の住所に住民票を移しました。
登録に必要な書類等は居住地域(区、市など)のホームページに記載されていますので参考にするのがよいかと思います。手続きは、合格発表直後からできます。
手続きは必ずしも当日にする必要はありませんが、歯科医師免許は登録から2か月後、登録済証明書(歯科医師免許が発行されるまでに歯科医療行為を行う上で必要なもの)は、約1か月発行にかかると当日保健所から説明されましたので、当時の手続きをお勧めします。
私は、合格発表日当日(316日)の16時頃手続きを行い、331日(金)に登録済み証明書が届きましたので、入職初日(43日(月))に職場に提出することができました


.メッセージ

近年は、合格率は60%前後ととても低く、本学でも不合格になってしまう人は少ないとは言えません。自分の人生に大きく影響を与える試験のため、プレッシャーも大きいかと思いますが、早めに戦略を考えて、取り組み始めることが重要だと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
皆様の合格を願っています。

以上、ピアサポーターの先輩からのメッセージでした。国家試験対策は大変ですが、皆で頑張って合格しましょう!