ピアサポート通信第13号 - 医師国家試験対策について

ピアサポート通信第13号 - 医師国家試験対策について

配信日:2022年4月14日
こんにちは、学生支援室ピアサポーターです。  

今回は、2022年度の医師国家試験に合格された元ピアサポーターの先輩から、医師国家試験対策についてまとめていただいたのでご紹介します。

目次
1.自分が行った国試対策
2.国試対策においてメインで用いた教科書・過去問集・動画講座・模試
3.自分が行った国試対策で良かった点
4.自分が行った国試対策で悪かった点
5.アドバイス

1.自分が行った国試対策
・5年生
自分は、5年生のころは国家試験対策はしていなかった。臨床実習のための勉強は多少したが、国家試験の過去問はほとんど解かなかった。

・6年生の4月~9月
6年生から国家試験対策を始めたが、夏ころまでは『病気がみえる(電子版)』という教科書を単元(消化器、循環器etc…)ごとに通読しワードにまとめて
から、その単元の過去問集(クエスチョン・バンク)の「1周目問題」(国家試験の出題範囲を効率的にカバーできる問題群)を解くという勉強方法をして
いた。しかしその勉強方法は、各疾患を理解するという意味では間違っていないが、時間がかなりかかり、かつ知識のアウトプットへの比重が軽くなり、
国試対策への近道とは言えないものであった。その結果、国家試験の過去問を解くペースは同級生と比較して遅く、9月下旬の時点ではマイナー科(皮膚科、
整形外科、耳鼻咽喉科、精神科、麻酔科、眼科etc)、産婦人科、小児科、公衆衛生には手がつけられていないという危機的な状況となってしまった。
その状態でメディックメディア(国試対策予備校の1つ)の模試を受けたところ、合格ラインすれすれであった。

・10月~2月の国試直前
卒業試験が10月にあったので、マイナー科、産婦人科、小児科、公衆衛生の動画講座(medu4という国試対策予備校のもの)を購入し、卒業試験対策も兼ね
て急ピッチで視聴した。購入した動画のうち、産婦人科、小児科、眼科、耳鼻科、麻酔科の動画は卒試終了までに視聴し終えた。
卒試を何とかクリアし、1週間ほど休んだあと11月の2週目くらいから国家試験への勉強を再開した。
その後は購入したmedu4の動画の残りを単元ごとに視聴し、その単元の過去問集(1周目問題のみ)を解く、という日々を過ごした。1月上旬に公衆衛生も
含め一通り動画の視聴・過去問の1周目問題の演習を終えた。問題演習の際に自分が知らなかった知識は、復習しやすいようにワードファイルに記入する
ことにした(「まとめる」というよりはただその都度羅列していく感じ)。
また、『レビューブック必修・禁忌』という本で禁忌対策を行った。また、1月上旬にメディックメディアの模試を、1月中旬には前年度の国家試験を
模試のような形式で解き、いずれも余裕をもって合格ラインをクリアできた。
その後試験に至るまでは、今まで解いた問題の復習(間違えた問題や、禁忌選択肢を含む問題など)をしたり、知らなかった知識を羅列したワードファイ
ルを振り返ったり、レビューブック内科外科という国試対策テキスト(電子版)を読んだり、『レビューブック必修・禁忌』で禁忌対策を行ったりした。
また、究極マップという国試対策総まとめの動画講座(これもmedu4のもの)を視聴した(2~3周)。国試前最後の1週間は不安との闘いで、本来は一番
勉強に集中しなくてはいけない期間のはずだがあまり集中できなかった印象。国試会場で会った友人もそのように言っていた。
結局、クエスチョン・バンク(過去問集)は半分程度しか解き終わらずに国家試験本番を迎えることになった(最後に掲載した、医科歯科の同級生と自分の
進捗具合の図参照)。

・国家試験前日(2月4日)国試当日(2月5日、6日)
国家試験の会場は、お台場にあるTIME24というビルであった。国家試験前日(2月4日)に、会場近くのホテルにチェックインした。ホテルから
会場までは歩ける距離。国家試験当日は、会場にあまり近すぎない道すがらのコンビニで昼食を購入。試験室に行ってみると、医科歯科生が多く周りにいた
ので、少し雑談したりしてリラックスし、平常心で1日目の試験に臨むことができた。1日目が終わると、禁忌選択肢を選んでしまったのではないか、
マークミスをしてしまったのではないか、という不安感に襲われた。しかし2日目も会場で同級生と雑談することによって不安は和らいだ。2日目の午後
からは疲労感が強く眼の焦点も合わなくなってきたが、禁忌選択肢を踏まないこと、マークミスをしないことだけに集中し、何とか国家試験を受けきることが
できた。

・国試後~合格発表(3月16日)
国試2日目の翌日、国試予備校が提供する自己採点サービス(現状は、国家試験の問題用紙は持ち帰れるため自己採点ができる。数年後には持ち帰れなく
なる見込み)に自分の答えを入力した。その結果、合格ラインは超えていて、かつ予備校側が推定した禁忌選択肢も1つも選んでいないことが分かった。
しかし、国家試験当日にマークミスをして禁忌選択肢を選んでしまっていないか、しきりに不安になった。
3月16日の合格発表にて合格を確認。

2.国試対策においてメインで用いた教科書・過去問集・動画講座・模試
<教科書>
以下すべてメディックメディア社出版のもの。
・『病気がみえる』vol.1~8(電子版)
https://www.byomie.com/
・『レビューブック内科・外科』(電子版)
https://informa.medilink-study.com/book/reviewbook-internalmedicine-and-surgery.html/
・『レビューブック必修・禁忌』(電子版)
https://informa.medilink-study.com/book/reviewbook-compulsory-subjects-and-contraindications.html/

<過去問集>
以下すべてメディックメディア社出版のもの。
・『クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説』vol.1~7(オンライン)
https://informa.medilink-study.com/book/questionbank-1.html/ 

<動画講座>
以下すべてmedu4が販売するもの。
・あたらしい産小老セット(産婦人科・小児科・老年医学)
・あたらしいマイナーセット(整形外科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・ 精神科・皮膚科・放射線科)
・あたらしい救中麻公セット(救急・中毒・麻酔・公衆衛生)
・国試究極MAP(国家試験直前の総まとめ)

<模試>
・メディックメディア5年生模試
https://moshi.medilink-study.com/5th/ 
・メディックメディア第1回・第2回模試
https://moshi.medilink-study.com/kokushi/ 

3.自分が行った国試対策で良かった点
・2年生から4年生まで、手を抜かず勉強していたこと
国家試験対策は同級生と比較すると遅れをとっていたが、2年生から4年生までは定期試験・CBTに備えてある程度勉強していたこともあって、知識面
での遅れは小さかったと思われる。そのため、対策が遅れても合格することができた。

・問題演習の際に知らなかった知識を、復習用にワードにまとめていたこと
復習の際に効率がよく、間違えた問題をもう一度解いたときに間違えにくくなった。ワードよりも便利なメモ・ノートアプリがあるかもしれない。

・友人と勉強会兼雑談会をやっていたこと(オンライン)
勉強になる上に、不安や悩みを共有することにより気が楽になった。
また、国家試験の過去問集で自分が解けなかった問題を他の人に出し合うのは面白かったし有意義だった。

・動画講座を利用した
動画講座を利用し始めるタイミングは遅かったが、それでも利用しなかった場合に比べると相当良かったと思われる。動画講座は過去の国家試験の問題を
分析し、必要十分な知識を分かりやすく提供してくれる。また、過去問の解説もしてくれるため、講師の思考回路を知ることができる。さらに、自分で教科
書を読むよりも、動画で説明してくれる方が自分のエネルギーを必要としないように感じた。やる気が出ないときでも動画をスタートすれば、勝手に勉強が
進んでいくようなイメージである。

・国家試験受験の際、ホテルを確保していたこと
ホテルは慣れない環境であり戸惑いはあったものの、会場まで歩いて行ける距離だったため家から通うよりも朝起きる時間が遅くなり、かつ電車の運転
見合わせ・遅延に戦々恐々とすることなく悠々と会場に到着できた。

4.自分が行った国試対策で悪かった点
・対策の開始が遅く、10月以降が大変だった。そのため過去問集を1周することができなかった。

・割と分厚い教科書を通読し、それをワードにまとめようとしていたため、勉強のペースが遅かった

・動画講座を利用するタイミングが遅かった

・国家試験当日、マークミスがないかの確認が甘かった。結果的にマークミスはなかった模様だが、国家試験が終わって本来ゆっくりできるはずの時期に、無用な心配をすることになってしまった。

5.アドバイス
・国家試験対策の開始時期
5年生の最初(もしくはCBT明けの4年生の春休み)から開始するのが理想。
4年生の最後にあるCBTのために勉強するので、その知識が完全に頭から抜けないうちに国家試験の勉強ができると効率がよく、また臨床実習に活かせると思われる。
一度身につけた知識はどうしても時間が経つと忘れてしまうが、それでも定期的に復習し繰り返していくことで忘れなくなると思う。

・動画講座について
同級生で多数派だったのは、メディックメディアもしくはmedu4の講座だった。どの講座を取るべきかについては詳しくないので言及は避けるが、
メディック
メディアのマイナー科の講座はおおむね評判が悪い(各疾患を系統的に解説するのではなく、問題の解説がメインであることが原因だと推測される)。
なのでマイナー科についてはmedu4をおすすめする。ただ、講座も毎年更新されていくので、あくまで参考程度に。

・国家試験の際のホテル
同級生でもホテルをとる派ととらない派がいたが、僕は会場近くのホテルを予約した方がいいと思う(家から徒歩で行ける人以外)。
なぜなら、国家試験は日本中に散らばる試験会場で同時進行するのが原則なので、1つの公共交通機関が止まったくらいではそう簡単に開始時間の繰り下げは行えないのでは
ないか、と思うからだ(実際の事例を知っているわけではないが)。
また、国家試験は朝から夜までの長丁場であるため、睡眠時間の確保のためにもホテルはおすすめだ。会場の近くのホテルは予約が集中するため、早めに予約すべき。
自分がどの会場になるかが分かる前に、全受験会場が厚労省のHPで発表される。なので、確実にホテルを押さえたい人は、自分が希望した都道府県の全会場のそばのホテルを事前に予約しておいて、
自分の会場が判明したらそれ以外のホテルをキャンセルする、という方法をとっても良いのではないか。

・メンタル面
誰だって不安だと思う。僕の学年でとても優秀な人(試験の成績がよい上に、分かりやすい試験対策プリントをたくさん作ってくれるすごい人)がいたが、
その人も国家試験の前は不安からか3時間しか眠れなかったと語っていた。
だから、不安を感じることに対して不安になる必要はない。あとは、気負いすぎていると良くない。
無事に試験会場に到着し、不正行為をせずに試験を終えられればそれで充分、と考えてもいいかもしれない。
また、国家試験本番の試験会場では大学ごとにある程度まとまった座席順になっているので、アウェイではなくホームの雰囲気。会場に少し早めに到着し、同級生と少し話すとリラックスできる。

・「過去問を何度かやっても不安」という声に対する提案
過去問を何周かできている時点で、勉強量は十分だと思う。ただ、同じ問題を何度も解きすぎると答えを覚えて学習効果が低下してしまったり、
正解することが当たり前になって間違えた時の不安感が増大してしまったりする可能性がある。なので、定期的に模試等を受けて初見の問題を解くようにするのがよいのではないか。
ただ、模試で出題される問題は国家試験本番の問題よりも難しいorひねくれているケースが多いため、模試の結果が例え望ましくなくても、自信を失うことのないように注意してほしい。
あと、上にも書いたが不安なのは当たり前で、むしろ努力してきた証として受け止めるといいと思う。

・国家試験当日
同級生と適度に雑談するとリラックスできる。休憩時間には少し試験室の周りを散歩すると、いい気分転換。問題を解いているとき以外はなるべく遠くを見たり、眼の運動をしたりするといい(眼精疲労で目の焦点が合わなくなるのを防げると思う)。
事前に伝えられる時間割を見ると休み時間が長いように感じるが、各ブロックの試験開始前には説明と本人確認、問題・マークシート配布があるため、休み時間はより短く拘束時間はより長い。
トイレは休み時間のうちにちゃんと済ませておくべし。

以上、ピアサポーターの先輩からのメッセージでした。国家試験対策は大変ですが、皆で頑張って合格しましょう!