第2回サマープログラム開催報告

第2回サマープログラム開催報告

サマープログラムを開催しました。
 東京医科歯科大学、広島大学、九州歯科大学では文部科学省の推進する「課題解決型高度医療人材養成プログラム」の選定を受け、チーム医療を実践できる技術力を習得させることを目的とし、連携大学の特色を活かした教育プログラムを展開しています。

 今回のサマープログラムは、歯科衛生士、歯科技工士が人生最後のステージである「終末期」に関わる機会の増加を見据え、特に「食べること」に主眼をおいて「人生最後のステージにおける口腔保健専門職の関わり」「安全に食べるために必要な多職種連携のあり方」に学ぶことを目標にしました。

特別講義として、特別養護老人ホーム芦花ホームの医師 石飛幸三先生より「平穏死~口から食べられなくなった時どうしますか~」、特別養護老人ホーム芦花ホームの歯科衛生士 渡邊三恵子先生より「人生最後のステージで私たち口腔保健の専門職にできること」と題してご講演いただき、さらに調理実習を通して

・QOLだけでなく、QOD(Quality of Deth)の観点から
 エンドオブライフケアとして、口腔保健専門職がどのように関わっていくべきか
・経口摂取の重要性、食支援のために歯科衛生士・歯科技工士が果たすべき役割とは
・生活支援としての「食」の果たす役割と、ニーズに応じた対応とは

などについて、3大学の学生が相互に意見交換、情報共有を行うことを目指しました。

開催情報

【日時】 平成29年9月15日(金) 14:00~17:45
     平成29年9月16日(土)  8:45~15:00

【会場】 東京医科歯科大学 1号館9階 特別講堂
              1号館7階 基礎科学実習室

サマープログラム開会挨拶

本事業 運営委員 委員長
東京医医科歯科大学 歯学部口腔保健学科

荒川 真一 学科長

施設見学

広島大学グループと九州歯科大学グループにわかれて
学内を巡り

・歯学部附属病院各外来

・歯学部附属病院歯科技工部

・口腔保健学科基礎実習室

・口腔保健学科相互実習室

・口腔保健学科基礎科学実習室
 
など本学の施設をご見学いただきました。

口腔保健学科の設備については
本学口腔保健衛生学科の参加学生が、普段ここでどのような実習を行っているか、どういった使い方をするか、などを説明し、学生間の交流を深めていました。

特別講義 歯学部長挨拶

東京医科歯科大学 歯学部長

興地 隆史 教授

特別講義Ⅰ

特別養護老人ホーム 芦花ホーム 医師

石飛 幸三 先生
「平穏死 ~口から食べられなくなった時どうしますか~」

特別講義Ⅱ

特別養護老人ホーム 芦花ホーム 歯科衛生士

渡邊 三恵子 先生

「人生最後のステージで
      私たち口腔保健の専門職にできること」

特別講義 閉会の辞

九州歯科大学

引地 尚子 教授

懇親会

東京医科歯科大学 医学部附属病院 16階
オークラカフェ&レストラン メディコ

調理実習

講義「在宅における食支援
   -口から食べることを支援するためにー」

在宅訪問管理栄養士
安田 淑子 先生

調理実習Ⅰ
「摂食嚥下障害を有する高齢者への食形態の工夫」


【目的】
 野菜の繊維とタンパク質食品を柔らかくする方法を知ろう

【メニュー】
 ごぼうの煮物と豚しゃぶ

調理実習Ⅱ
「在宅で家族と同じ食卓を囲むために」

【目的】
市販品を使った食形態の変更方法を知ろう

【メニュー】
豆腐をつなぎにしたペースト食の調理
・からあげくんーフレッシュトマトとパセリを添えてー
・さんまのかば焼きと里芋の煮物
・お好み焼き
・筑前煮
・薩摩芋の煮物
・チョコレートムース

調理実習Ⅲ
「義歯装着患者を想定した食形態の調整と介助実習」

【目的】
介護食の実際を知ろう
義歯装着患者の口腔内を体験しよう

【メニュー】
・ペースト食の食べ比べ
 各社市販ペースト食

・とろみ実験
 各社トロミ剤、ムース剤

*事前に作成した口蓋プレートを装着した状態で実食

手前:さんまのかば焼き(豆腐のみ、ムース剤使用)
二列目左:里芋の煮物 二列目右:筑前煮
三列目左:薩摩芋煮物 三列目右:お好み焼き
四列目:からあげくん
五列目左:ごぼうの煮物 五列目右:豚しゃぶ

本学歯学部附属病院歯科技工部にご協力いただき、事前に参加学生全員分の口蓋プレートを作製。
当日、口腔内に装着し、義歯使用患者の口腔内の状態を疑似的に体験するとともに、ペースト食やトロミ付き飲料の実食を行い、口腔内に着脱式の装着物がある状態での食事を体感した。

修了証授与・閉会挨拶

修了証授与・閉会挨拶

本事業 運営委員 委員長
東京医医科歯科大学 歯学部口腔保健学科

荒川 真一 学科長
参加者記念写真

参加者の声

■特別講義に参加した学生の感想
・「死」について真剣に考えるきっかけとなりました。両親や身近な人が、心臓だけ動かしているような状態になった時
 自分だったらどうするかと考え始めるとキリがありません。貴重なお話を聴く事ができてよかったです。
・高齢社会である今、歯科衛生士の担う社会での役割を再認識することができた。医療でただ生きている時間を延ばすことに
 意味はあるのかという問いかけは、平均寿命と健康寿命の差に悩む日本においてとても重要なものだと感じた。
・対応は様々だとは思いますが、穏やかな死、無理して生きようとせず、ありのままを目指す考えにとても感動しました。 
・医師の先生のお話を聴講する機会は大変貴重で、医師からの目線、視点で終末期の人びとの支援(介入)方法を学ぶことが
 できた。
・医療従事者は、ただ治療をするだけでなく、その治療が本当に患者さんに対して適切であるのかを常に考える必要があると
 感じた。

■調理実習に参加した学生の感想
・調理実習を行って、実際に介護食を作る経験ができて、とても役立った。
・高齢者でうまく食事ができない人の感覚を身をもって経験できた。
・どの実習も初めてのことばかりで、貴重な体験だと思った。
・口蓋床は使用したことが無かったので、義歯をつけている人がどのような不快感を感じているか
 少しだけ理解できました。
・口蓋床をつけてみて、しゃべりにくく、食べにくく、口が一回り小さく感じた。
 技工士として作ったものをどういう気持ちではめているかが分かり、良かった。

■全体を通して良かった点
・調理実習で各大学の学生がバラバラになって班を組むというのが良かったと思う。
・1日目の講義の内容がとても心に残った。
・実際に介護食を作ったり、食べることができるのは、この時間ならではの取り組みで、勉強になった。
・一つのグループに3つの大学が集まって活動できたので、仲が深まってよかったです。

■参加した各大学教員の感想
・良く考えられたプログラムでした。自分の大学のプログラムにも是非取り入れたい。
・内容の濃い、そして学生にとって意義のある内容だったと思います。
・医師の講演や管理栄養士の講義・実習を通して、多職種連携、チーム医療への理解が深まったものと思います。
 2日間良く練られたプログラムで興味深いものでした。
・初日の講義では、従来の看護・介護のあり方から新しい考え方が出てきて、変わりつつあることが示された。
 これからの時代に即した人材を育てるプログラムとして提案された形になり、参加者のこれからに寄与するものだと
 思われる。
・学生が、「看取り」について考えを深める良い時間でした。