研究内容
具体的な研究内容です
摂食・嚥下に関する研究
AIを用いた嚥下障害の新たな評価方法の開発
胃ろうモデルラットを用いた栄養学的な検討
高齢者や摂食嚥下障害患者では、誤嚥性肺炎や低栄養を予防するために胃ろうなどの経腸栄養を選択することがあります。胃ろうは利点の多い栄養摂取法ですが、一方で慢性的な消化管障害などを生じることがあります。そこで、胃ろうモデルラットを作製し、さまざまな種類の栄養剤で飼育し、栄養価、腸内細菌叢などに変化が生じるか探索しています。
頚椎疾患患者の嚥下機能の画像解析
頚椎疾患患者においては、比較的多くの術後嚥下障害に関する研究報告がされています。しかしながら、嚥下障害の原因を運動学的に解析した研究は少ないです。そこで、本学医学部整形外科学分野との共同研究として、頚椎疾患患者の手術前後の舌骨運動等を嚥下造影検査の画像をもとに解析し、術後嚥下障害の原因を検索しています。
脳卒中患者に対する医科歯科連携における総合的研究
脳卒中患者において、医科歯科連携によるその介入効果や口腔機能管理における手法の確立がいまだなされていませんでした。そこで本大学医学部附属病院に入院をした脳卒中患者に対し入院後早期に口腔機能管理の介入を行い、急性期肺炎合併率を減少させました。また、脳卒中急性期患者に対するケアマニュアルや医科歯科連携ガイドブックも完成させ、現在は共同研究において多施設における介入効果を検証し、オールジャパンで医科歯科連携における口腔機能管理方法の確立を目指しています。
二段階内視鏡など嚥下障害、口腔機能低下症、オーラルフレイルの評価を目的とした機器の開発
嚥下機能評価に用いる内視鏡は30年近くその形を変えていません。当分野では、従来1段階しか屈曲しないシャフト部を改良し、2段階屈曲可能な内視鏡を開発し、その効果検証をしております。それにより気管後壁の観察が可能となり、誤嚥の検出の精度向上などの有用性が期待されます。
その他にも摂食嚥下機能を評価する機器の開発し、臨床応用を進めています。過去に嚥下機能や口腔機能低下症の簡便な評価を目的とした開口力計を開発し、特許を取得しました。現在は、咀嚼時の下顎運動や、噛む力、舌の力といった摂食嚥下に関わる筋肉の力など、これまで評価することが困難であった部分を計測する機器の開発を進めています。これらの機器は嚥下障害のみならず、近年重要視されるようになったオーラルフレイルや口腔機能低下症の評価についても応用可能です。
オンライン診療や口腔内スキャナーなど摂食嚥下リハビリテーションのデジタル化の研究
歯科における、デジタル化は着実に進んでいます。摂食嚥下リハビリテーションや歯科訪問診療の現場でもその有用性は高いと考えられますが、現在、広く活用されていません。摂食嚥下リハビリテーションや訪問診療におけるオンライン診療やデジタル機器(特に、口腔内スキャナー)の有用性の検証、臨床に適した新たな機器開発などに取り組んでいます。
口腔腫瘍術後患者に対するサルコペニアや栄養学的な検討
これまで口腔腫瘍患者に対し、その入院を契機にサルコペニアを発症するリスクは少ないことを明らかにしました。しかし、追加治療やその他の要因がサルコペニアを誘発する可能性があり、長期的な影響について検討を行っています。また、栄養状態が及ぼす口腔機能の影響についても検討し、周術期の介入の効果についてエビデンスの構築を目指しています。
蛍光物質を利用した非侵襲の嚥下機能評価機器
嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査は様々な臨床場面で実施されますが、いずれも侵襲性があり、術者の熟練度が検査の正確性や診断に影響します。そのため、簡便で侵襲なく、繰り返し実施可能な新たな検査手法の実用化が求められています。現在、本学と他大学との共同研究として、食品中の蛍光物質の蛍光計測を応用した非侵襲の誤嚥リスク検出システムの開発を進めています。
喉頭全摘患者に対する革新的な口腔内装置型代用発声法の開発
喉頭全摘患者は話す機能が大きく障害されることで生活の質を著しく損ないます。これまで電気式人工喉頭や食道発声法などによる代用発声法が用いられてきましたが、手術の必要性や高いコストなど問題点もありました。我々は口腔内に取り外し可能な、従来法とは全く異なる代用発声法の開発、効果検証をしています。
金ナノメッシュを用いた迅速な歯周病検査法の開発
歯周病の検査においては、歯肉溝(歯と歯茎の間にある溝)の深さや歯肉からの出血、歯の動揺といった指標が臨床的に用いられています。 本研究では、歯肉溝からの浸出液を解析することにより、歯周病の検査を定量的に行うことを目指します。 またこの技術により、唾液を用いて全身の健康状態のスクリーニングにも応用可能です。
遷延性意識障害患者における書字支援デバイスの開発
遷延性意識障害をお持ちの方の中には、聴覚や視覚により音声や言語等を理解していても、それらの応答について十分に表出できない方がいらっしゃいます。 臨床において、書字のトレーニングをすることで少しずつ筆談によるコミュニケーションが可能になることがあります。 本研究では、書字動作を補助する機器の開発に取り組んでいます。