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新規ウイルス検査法の開発

ウイルス治療学では、免疫療法によりウイルス感染症を治療する研究を行ってきました。その過程で開発した新しいウイルス検査系は、再生医療・細胞治療の安全性を確保するため治療用細胞の品質管理に使用可能で、本学医学部付属病院細胞治療センターで処理した治療用細胞の品質保証体系として実用化されています。さらに、医療の質の向上に役立てる事を目指し、開発したウイルス検査系を一般臨床検査へ応用するための研究も併せて行っていますウイルス治療学では、免疫療法によりウイルス感染症を治療する研究を行ってきました。その過程で開発した新しいウイルス検査系は、再生医療・細胞治療の安全性を確保するため治療用細胞の品質管理に使用可能で、本学医学部付属病院細胞治療センターで処理した治療用細胞の品質保証体系として実用化されています。さらに、医療の質の向上に役立てる事を目指し、開発したウイルス検査系を一般臨床検査へ応用するための研究も併せて行っています。


網羅的迅速ウイルス検査系の開発

図1 Real time PCR machine LightCycler (日本ロッシュ提供)

図1の説明:
LyghtCyclerTMによる定量PCR:核酸増幅を熱伝導性に優れたガラスキャピラリー中で行うため、迅速な検査が可能となる。

細胞治療センターでは、細胞治療・再生医療の原材料となる生体組織はすべて血液を含むことから、血液中に検出されるウイルス群(HIV-1、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスなど)を網羅的に検査する検査系の開発を行い、それらのウイルスを含む16種類のウイルスの測定を迅速(核酸抽出を含めて2時間以内)、安価(ランニングコスト5千円以内)、高感度(数十コピーのウイルスゲノムを検出可能)に測定することが可能となり、細胞治療センターで培養するすべての治療用細胞の安全性試験法として実用化しています。開発した測定システムは、キャピラリー型リアルタイムPCR機LightCycler(図1)を使用し、マルチプレックスPCR(図3)、ハイブリプローブによる検出(図2)とメルティング解析による増幅産物の同定(図3)を行うシステムです。

図2 Hybriprobeによる検出原理 (日本ロッシュ提供)

図2の説明
a.プライマーの他に反応液中に2種類のHybriprobeを加えておく(1塩基を空けて隣同士にHybridizeするように設計する)。Hybiprobeが標的遺伝子配列にHybridize していない状態で反応液にレーザーを当てると、片方の3‘末端に標識した蛍光色素から蛍光(図の例では緑色の蛍光)が発せられる。

b.標的遺伝子配列に2種類のHybriprobeがHybridizeすると2種類の蛍光色素が隣り合った状態となり、レーザーにより片方のプローブから発せられた蛍光に反応して他方のHybriprobeの5‘末端にラベルされた蛍光色素から別の色の蛍光が発せられる(図の例では赤色の蛍光)

c.d.PCR反応を進めることにより標的遺伝子配列が増幅する。それに伴って、PCRサイクルごとに測定することにより赤色蛍光の強度が増すことが観察される(a.b.)。

図3 マルチプレックスPCRとメルティング解析によるウイルスの同時測定と同定

図3の説明
8種類のウイルスの検出例:8種類のプライマーを使用したマルチプレックスPCR、2種類の蛍光色素で標識した合計8種類のHybriprobe による検出とメルティング解析により、1本のキャピラリーで8種類のウイルスの検出、同定が可能となる。

臨床検査への応用を目指した研究

感染症の診断・治療は、先端的な医療を行っている病院では非常に重要な課題となっています。つまり、手術などの浸襲性の高い医療を行っている患者さんや抗がん剤治療をおこなっている患者さんは免疫力が著しく低下することが多く、また移植医療(骨髄移植、臓器移植)を行っている患者さんには拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与するため、通常の免疫力を持っているヒトには問題とならない感染症により、全身状態の悪化、入院期間の延長、最悪の場合には生命予後に影響を与える事態となることもあります(健常人にも多くの細菌やウイルスが持続感染しているため、免疫力が低下すると通常は病原性を発揮できなかったそれらの微生物が暴れだすことがあります。そのため、患者さんをクリーンルームに入れるだけでは感染症の発症を防ぐことができません)。したがって、問題の症状が感染症か否か、そして感染症の場合にはその病原因子を速やかに診断・同定することは、先端的医療をおこなう上で重要な課題となっています。細胞治療センターでは、治療用細胞の安全性試験法として開発した網羅的迅速ウイルス検査システムを、さまざまな細菌、真菌、ウイルスに対する臨床検査法に応用する研究を行っています。これが実用化されれば、患者さんに適切な治療をおこなうために重要な情報を提供することに繋がり、医療費の削減や患者さんのQOLの改善に大きく貢献できると考えています。