第1回『学びの地』

第1回『学びの地』

M&Dタワー2階「鈴木章夫記念講堂(東側)展示スペース」のご案内です。初回のテーマは「学びの地」です。

東都御茶之水風景(昇亭北寿)

 昇亭北寿(葛飾北斎の高弟)による万世橋付近からお茶の水方面を眺望した風景の版画。
 右側がお茶の水地区、中央が神田川、左側が駿河台、右の坂は昌平坂で、坂の途中に湯島聖堂、そして坂上に昌平坂学問所が描かれている。
 1872(明治5)年にこの学問所の跡地に東京師範学校が設立され、1930(昭和5)年に師範学校の移転に伴い、この地が本学に移管された。
 尚、川に架かる屋根付きの橋は、本郷から神田方面に給水する神田上水の筧で、その奥に水道橋が描かれている。

御茶ノ水・湯島地区

 1890(明治23)年に建設中のニコライ堂の足場から撮影された湯島地区全景。
 中央に東京高等師範学校(現筑波大学)、左に東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)の校舎、右に湯島聖堂大成殿の屋根が見られる。
 写真中央左、遠方の森は東京帝国大学(現東京大学)のキャンパスである。

東京医術開業試験附属病院(永楽病院)

 芝区愛宕町に設置された医術開業試験場は1897(明治30)年、麹町区永楽町一丁目2番地に移転し、1899(明治32)年、東京医術開業試験附属病院を附設して永楽病院と称した。
 1915(大正4)年に島峯徹先生は、永楽病院の歯科医長に就任され、その後、東京高等歯科医学校校長及び東京医学歯学専門学校初代校長を歴任された。
 永楽病院の歯科は、永楽病院が東京帝国大学附属病院小石川分院に移管する際、独立して文部省歯科医術開業試験附属病院(文部省歯科病院)となり、1918(大正7)年神田区錦町の地に移転した。

東京高等歯科医学校第一附属医院

 1930(昭和5)年頃の東京高等歯科医学校第一附属医院(湯島地区)。
 東京高等歯科医学校は、1928(昭和3)年、文部省歯科病院を母体として神田区錦町(一ツ橋地区)に創立された。 
 1930(昭和5)年、湯島の東京高等師範学校移転跡地に校舎、病院を建設して学校の機能を一部移転し、東京高等歯科医学校第一附属医院と称した。

東京高等歯科医学校第二附属医院(一ツ橋地区)

 湯島地区の医院を第一附属医院と称したことに伴い、神田区錦町の附属医院は、東京高等歯科医学校第二附属医院と改称された。
 学生は湯島地区と一ツ橋地区を行き来し、勉学、治療に励んだ。

東京医科歯科大学本館(現2号館)

 1935(昭和10)年、聖橋から見た本館(現2号館の旧築部分)。
 1934(昭和9)年に基礎工事が始まり、翌年7月に新営工事が竣工し、8月に新館修祓式が挙行された。

東京医科歯科大学校舎と湯島地区

 1952(昭和27)年頃、戦後復興期に撮影された本学校舎と湯島地区。
 順天堂医院側に歯学部附属病院、中央に医学部附属病院、聖堂側に本館の建物が見える。
 前年の4月1日には、新制東京医科歯科大学として認可され、最初の附置研究所として歯科材料研究所が設置された。

歯学部附属病院 歯科新棟

 1982(昭和57)年、歯学部附属病院の歯科新棟が竣工した。
 以降、歯学部附属病院では、障害者歯科治療部、高齢者歯科治療部など患者のニーズに対応した治療部門が相次いで設置され、2011(平成23)年度現在、4つの診療科に27部門の診療外来を備え、口腔・顎顔面領域に関わるあらゆる疾患に対応できる設備、人材を擁している。

医学部附属病院 医科新棟(A棟)

 1991(平成3)年、医科新棟(A棟)が竣工した。
 1996(平成8)年には、医科新棟(B棟)が竣工している。
 2011(平成23)年度現在、32の診療科、救命救急センター及び28の中央診療施設があり、難治疾患を中心としたさまざまな病気の治療にあたる専門家を揃え、診療科の垣根を越えた連携を行いながら診療にあたっている。

現在の東京医科歯科大学全景

 2009(平成21)年に、東京医科歯科大学医歯学総合研究棟Ⅱ期棟“M&Dタワー”が完成した。
 研究分野の枠組みを越えた基礎・臨床の融合及び医学・歯学の連携やオープンラボ等での活用が期待されている。

金峰山高林寺

 1604(慶長9)年に神田山北側の金峰山神杜跡地(現お茶の水坂に面した元町公園辺り)に徳川秀忠が建立した。
 四代目住職の白州和尚の時、境内に突如清水が噴出したので、それを茶として飲んだところ良質かつ美味しかったために江戸城へ献上。
 「茶の湯にこの水が最高」と評価された。以来、その寺は「お茶の水高林寺」と呼ばれるようになり、この辺りの地名を「お茶の水」とした由来となった。

地下水膜ろ過システム

 湯島キャンパスには1968(昭和43)年に井戸が設置されていた。
 2011(平成23)年にその井戸の補修工事を行い、井戸水を利用した地下水膜ろ過システムを設置した。
 災害時の給水確保も含め、安定した水資源確保を目的としている。
 今後、「御茶ノ水」の地名由来にちなんだ飲料水の開発も予定している。