「 歯の喪失が孤独感を高める可能性が明らかに 」【松山祐輔 准教授】
― 無歯顎になると孤独感が0.31ポイント増加 ―

ポイント
- 会話や笑顔は口腔の機能のひとつであり、口腔の健康は人と人との社会的交流に重要な役割を果たします。過去の研究では、口腔の健康と孤独感との間に関連がみられましたが、その因果関係は明らかでありませんでした。
- 本研究では、英国の成人を対象とした追跡データを分析し、無歯顎(自分の歯が一本もない状態)が孤独感を増加させる可能性が示されました。追跡期間中に無歯顎になった人は、孤独感スコア(3点から9点の尺度)が0.31点増加しました。
- これらの結果は、歯の喪失を予防することで孤独のリスクを軽減する可能性を示唆しています。

図. 孤独感スコア※1の変化
研究の背景
研究成果の概要

Model 1: 固定効果分析
Model 2: 固定効果分析; 年齢、世帯年収、就労、婚姻状況、主観的健康感、うつ症状、日常生活機能、認知機能、既往歴、喫煙状況を調整
研究成果の意義
用語解説
※1孤独感スコア
他人から孤立していると感じる頻度など、3項目で測定。3点から9点の値をとり、数値が大きいほど孤独感を感じていることを示す。
※2統計学的に有意
データで見られた差が偶然では説明できず、何か理由があるということ。
論文情報
掲載誌: Journal of Dental Research
論文タイトル: Complete loss of natural teeth and loneliness: a fixed-effect analysis
DOI: https://doi.org/10.1177/00220345241263265
研究者プロフィール

松山 祐輔 (マツヤマ ユウスケ) Matsuyama Yusuke
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
健康推進歯学分野 准教授
・研究領域
疫学
歯科公衆衛生学
問い合わせ先
<研究に関すること>
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
健康推進歯学分野 松山 祐輔 (マツヤマ ユウスケ)
E-mail:matsuyama.ohp[@]tmd.ac.jp
<報道に関すること>
東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:kouhou.adm[@]tmd.ac.jp
※E-mailは上記アドレス[@]の部分を@に変えてください。