2020(令和2年)年度
医歯学総合研究科4年(派遣時) H・Mさん
派遣先・派遣期間
派遣期間 2019年5月28日 ~ 2020年7月31日
派遣で得たもの
令和1年度本学大学院学生研究奨励賞に基づく海外派遣学生として、大学院在学中の令和1年5月から令和2年7月までの1年2ヶ月の間、アメリカ合衆国フロリダ州ゲインズビルにあるフロリダ大学(University of Florida Collage of Dental Medicine)のDr. Patriciaの教室に留学する機会を頂きましたので、御報告致します。
ゲインズビルはフロリダ州の北部に位置し、世界的にも有名なテーマパークであるウォルト・ディズニーワールドがあるオーランドから北へ約100kmの場所にあります。人口は約14万人、そのうちの約3万人はフロリダ大学で働いています。フロリダ大学はスポーツの強豪校であり、陸上日本代表のサニブラウン・ハキーム選手も昨年度まで所属していました。特にアメリカンフットボールのシーズンになると、辺り一面フロリダ大学のシンボルカラーである青とオレンジの色に染まり、街全体で応援しています。マスコットキャラクターのワニも人々から愛されており、グッズもたくさん販売されていました。街の年間平均気温が日中およそ33℃と暑い気候ですので、大半の方が自家用車またはバスでの移動をしており、日中に街で歩いている人はあまり見かけません。そのため、英語での運転免許試験(学科、実技)を受け運転免許を取得し、人生初のマイカーを中古で購入してゲインズビルでの生活をスタートさせました。
私が留学させていただいた教室はDepartment of Restorative Dentistry Division of Operative DentistryでDr. Patriciaは教室所属でありながら、Associate dean of academic affairsでもあります。Dr. Patriciaは医科歯科大学う蝕制御学講座に約10年間在籍されておりましたので、日本語も堪能で私としては大変助かりました。同門からは Dr. Patricia の他にDr. Upoma Guha もClinical Assistant Professorとして所属しております。教室での研究はDepartment of Restorative Dentistry DivisionのBiomaterial group 主導のもと行われており、私が今回取り組んでいた研究は [異なる発光ダイオード硬化ユニットを使用したスペクトル放射照度に対する距離の影響]という研究テーマで、Biomaterial groupの長であるDr. Rouletにご指導いただきました。その他にDr. Patricia のご厚意により、専門医課程であるMaster of Cariology and Operative dentistry の講義や実習に通年で参加させていただきました。専門医課程は3 年間で、毎年7月より始まります。全ての課程を修了するとCertificate of Completion inOperative Dentistry and a Master of Science in Dental Sciencewith a concentration in Operative and Esthetic Dentistry が取得できます。私が在籍していた頃に、同分野にて専門医課程を受講していたドクターは7 名で、主に1年目の先生3名(出身国:ブラジル、ニカラグア、サウジアラビア)と一緒に受講していました。1 年目のドクターは7-9 月までの3 ヶ月間、クリニックでの診療はなく、歯科保存学に関する基本的な講義と実習を受講します。その後、クリニックでの診療を開始しますが、診療日は主に火曜から木曜日で月、金曜日は講義、実習または研究日に当てられます。ブラジル出身の外部講師による特別講義や実習が、1 週間単位で入る場合もありました。保存修復学の米国専門医課程は補綴、歯周病学に比べ実施大学が少なく、フロリダ大学でも3年前に新設されたばかりの新しい課程です。そのため、教員も含めた1つのチームとして現在までに報告されている文献から、いかに診療に落とし込んでいくかを学び、見識深めていったという印象です。このような素晴らしいチームの一員として学べたことは研究、診療だけでなく私の今後の人生の財産となると感じております。残念ながら新型コロナウイルスの影響で約3 ヶ月間の大学閉鎖により自宅待機となりましたが、その間もオンラインでの講義や研究ミーティングにも参加させていただきました。
留学期間中の大学以外での生活は、ゲインズビルから車で片道約10時間かかるアメリカ最南端のキーウェストという島や、州をまたいでジョージア州サバンナへと、アメリカならではの長距離ドライブでの小旅行をしました。また、フロリダは広大な自然に恵まれた土地なので、海やスプリングス、トレイルといった自然保護区のレジャースポットも多々存在します。アルマジロやリスは日常的に見られ、野生のワニやマナティー、イルカも身近で見ることができました。留学させていただいた1 年2ヶ月、大学生活だけでなく生活面も留学生にしかわからない大変貴重な体験をさせていただけたと感じております。


医歯学総合研究科3年(派遣時) O・Tさん
派遣先・派遣期間
派遣期間 2019年4月1日 ~ 2019年7月31日
派遣で得たもの
この度は、大学院学生研究奨励賞に採用して頂き、誠にありがとうございます。
奨励賞を受賞したことにより、研究に対する意識も高まり、特に経済的な面からも安心して研究に従事することができました。
Duke大学の麻酔科のCAPERというリサーチにユニットにおいて、Premierという医療ビッグデータを使用して、外科術後の鎮痛薬に注目してデータのクリニーングから統計解析、論文作成まで行うことができました。まだしばらくはDuke大学のCAPERユニットで研究を継続する予定で、今後は退院後の鎮痛薬の用法について研究を行っていきたいと考えています。帰国した際には、これから留学を希望している学生にこの経験を伝えて、海外留学の助けになる活動に、携わっていきたいと思います。
また、日本という範囲に留まることなく、世界に目を向け、広い視野で物事を捉えることを大切にしていきます。今後につきましても、ご支援いただいた皆様への感謝を忘れず、より一層勉学に励み、社会に貢献できる人間を目指してまいります。最後になりますが、大学院学生研究奨励賞に携わる皆様に重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

医歯学総合研究科2年(派遣時) M・Yさん
派遣先・派遣期間
派遣期間 2019年4月1日 ~ 2021年3月31日
派遣で得たもの
私はパドヴァ大学心臓胸部血管科心臓病インターベンション部門へリサーチフェローとして2020年4月から2021年3月で留学しました。
所属部署ではGiuseppe Tarantini教授を筆頭に経カテーテル的大動脈弁置換術(以下、TAVR)などの構造的心疾患に対する経カテーテル的治療を数多く行っています。そこで、カテーテル手技に参加したり、
臨床研究に参加したりしました。直近の研究成果としてはTAVRと外科的大動脈弁置換術施行後の脳卒中の発生率と周術期リスクとの関連についてのメタアナリシスがCatheter Cardiovascular Interventions(Matsuda Y, Nai Fovino L, Giacoppo D, et al. Association between surgical riskand 30-day stroke after transcatheter versus surgical aortic valve replacement: a systematic review and meta-analysis. Catheter Cardiovasc Interv. 2021 Mar;97(4):E536-E543.)にアクセプトされていますので、ご興味があれば是非ご一読いただければ幸甚です。
この度、本賞よりいただいたご支援は研究を遂行・継続する上で非常に力強いものでした。今回の留学にあたり、本賞受賞は金銭的な支援になっただけでなく、留学する前の不安な気持ちに自信を持たせてくれる
非常に心強い存在でありました。この場をお借りして御礼申し上げます。今回の留学で得たものを、日々の診療や今後の研究に活かすよう、今後も精進してまいります。

