教授挨拶

教授挨拶

東京医科歯科大学歯科麻酔・口腔顔面痛制御学分野は,1964年に設置された歯科麻酔学講座を引き継ぐ,日本で最も歴史のある歯科麻酔の講座で,各地の大学へ多くの教授を輩出してきました。現在も国内随一の症例数の麻酔管理を行い,歯科ペインクリニックでは専門外来を受け持っています。
東京医科歯科大学附属病院は2021年秋に医学部と歯学部の附属病院が一体化することで誕生しましたが,その流れの中で,病院の一部門を担っているという認識を持ち,集中治療部や医学部麻酔科と連携して日々の診療を行なっています。手術室での麻酔管理は年間約900例で,主に口腔外科手術を対象としており,外科的矯正手術や再建を伴う悪性腫瘍の根治術などの手術に対する麻酔管理を行っています。外来では約1800例の麻酔管理を行っており,歯科治療に対する恐怖心が強い方や,抜歯などの小手術,またインプラント関連の治療などを対象としています。歯科ペインクリニックではさまざまな種類の痛みに対して,投薬,ブロック注射,また東洋医学的治療を組み合わせて対応しています。麻酔管理およびペインクリニックは神経科学を背景とした臨床であり,分野の研究として神経科学の領域で発表することを念頭において,学内および学外で連携を取りながら,基礎的,臨床的研究を行っています。実際に大学院生の多くは,神経科学に関わる基礎的な研究を行っています。臨床的な研究としては,麻酔の質の向上を目指して,小児の円滑な麻酔導入に関する研究,鎮静法の満足度を上げるための研究,また全身麻酔後の疼痛管理についての研究などを進めています。
2025年春には病院一体化の一環として,口腔外科手術が医学部の手術部で行われる予定です。このことは1964年に開講した当教室の歴史の中では非常に大きな変化となりますが,この変化を好機と捉え,さらに質の高い歯科手術の周術期管理に繋げたいと思っています。
このような活動を通じて,歯科麻酔という領域の発展に寄与し,ひいては安全な歯科医療へ貢献したいと思っております。
歯科麻酔・口腔顔面痛制御学分野
教授 前田 茂