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「炎症性腸疾患発症感受性が高い新たなモデルマウスを樹立」【木村彰方 教授】

安 健博(アン ジェンボウ)助教 難治疾患研究所 分子病態分野(右)
木村 彰方(キムラ アキノリ))教授 難治疾患研究所 分子病態分野(中)
永石 宇司(ナガイシ タカシ)寄付講座准教授 大学院医歯学総合研究科 消化管先端治療学講座(左)

ポイント

炎症性腸疾患の動物モデルであるDSS誘導性腸炎において、腸管粘膜固有層に浸潤したマクロファージでMKL1遺伝子の発現が亢進していた。
マクロファージ特異的にMKL1遺伝子を高発現するMKL1トランスジェニックマウス(MKL1-Tg)を作製したところ、直腸脱や陰窩炎などを自然発症し、DSS誘導性腸炎の発症感受性が高かった。
MKL1の高発現性は、マクロファージの分化・活性化に異常をもたらし、炎症抑制機能を低下させた。
マクロファージMKL1を標的とした炎症性腸疾患の新たな治療戦略の開発が期待される。

東京医科歯科大学の難治疾患研究所分子病態分野(木村彰方教授(特命副学長)、安健博助教ら)および大学院医歯学総合研究科消化器病態学分野(渡辺守教授(副学長・理事)、永石宇司寄附講座准教授ら)の研究グループは、マクロファージにおけるMKL1遺伝子の発現増強が炎症性腸疾患発症に寄与することを、モデルマウスを新たに樹立して解析することによりつきとめました。この研究は文部科学省科学研究費補助金、日中医学協会助成金、東京医科歯科大学学長裁量優秀若手研究者奨励賞等の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Scientific Reports(サイエンティフィック リポーツ)に、2017年10月20日午前10時(ロンドン時間)にオンライン版で発表されました。

研究の背景

クローン病及び潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患は、腸管組織における慢性的な炎症を特徴とする難治性疾患であり、マクロファージの機能異常に起因する恒常性の破綻が発症に寄与すると考えられているが、その分子機序には不明な点が残されている。炎症性腸疾患の動物モデルとしてDSS誘導性腸炎が用いられているが、最近MKL1遺伝子を欠損したマウスではDSS誘導性腸炎が軽症化することが報告された。そこで、DSS誘導性腸炎モデルの病態形成機構におけるMKL1遺伝子の関与とマクロファージの機能異常機序を解明することとした。

研究成果の概要

DSS誘導性腸炎において、大腸粘膜固有層に浸潤した組織マクロファージを調べたところ、MKL1遺伝子の発現量が有意に亢進していることを見出した。そこで、マクロファージ特異的にMKL1遺伝子を高発現するMKL1トランスジェニックマウス(MKL1-Tg)を作製したところ、大腸短縮、直腸脱、陰窩炎などの腸炎様病態を自然発症した。また、MKL1-Tgにおいて大腸組織マクロファージの炎症抑制機能が低下すること、骨髄由来マクロファージの分化・活性化異常が生じて炎症誘導型(M1)が優位になること、DSS誘導性腸炎が重症化することを示した。さらに、MKL1による炎症制御機構として、PPARγなどの転写因子の関与が示唆された。

研究成果の意義

MKL1遺伝子は様々な炎症性疾患において重要な役割を果たすことが示唆されていたが、MKL1がどのように炎症性疾患に関与するかは不明であった。今回樹立したMKL1-Tgを用いた解析から、MKL1遺伝子の発現が亢進することでマクロファージの分化・活性化に異常が生じ、その結果として炎症性腸疾患の発症に至ることが示された。今後、MKL1遺伝子に着目してヒトの炎症性腸疾患を検討することで、さらなる発症機構の解明が期待されるとともに、MKL1-Tgをモデル動物とした治療実験等を行うことで、新たな治療法開発に繋がると考えられる。

論文情報

掲載誌: Scientific Reports
論文タイトル: MKL1 expressed in macrophages contributes to the development of murine colitis

用語解説

DSS:デキストラン硫酸ナトリウム。飲用させることで、マウス等の実験動物に腸炎を生じさせる試薬。
MKL1:遺伝子発現(転写)を制御する因子。アクチン(単量体)に結合することが知られており、細胞質と核を往来して転写補因子としてはたらく。平滑筋や血球系の細胞に多く発現している。MRTF-A、BSAC、MALは別名。

問い合わせ先

研究に関すること

東京医科歯科大学大学難治疾患研究所
分子病態分野 木村 彰方(キムラ アキノリ)
TEL:03-5803-4905 FAX:03-5803-4907
E-mail: akitis@mri.tmd.ac.jp

報道に関すること

東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
TEL:03-5803-5833 FAX:03-5803-0272
E-mail:kouhou.adm@tmd.ac.jp

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