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「免疫細胞の源 安全な量産化に成功」【河野洋平 助教】

― 迅速、簡便かつ安全に大量の免疫細胞をつくる ―


河野 洋平(カワノ ヨウヘイ)助教 大学院医歯学総合研究科 免疫アレルギー学分野

ポイント

研究グループは、従来の遺伝子操作ではなく、独自で開発した培養液を使うことで、マウス体内に存在する希少な血液前駆細胞を迅速、簡便かつ安全な方法で大量生産する方法を開発しました。
これらの培養血液前駆細胞(cCLP と命名)はリンパ球やマクロファージなどあらゆる免疫細胞へと成長することができます。
免疫細胞を量産化することで、感染防御やがんの抑制メカニズムの解明に貢献できるだけでなく、新たな免疫治療法の開発につながることが期待されます。

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野の烏山一教授および河野洋平助教と、難治疾患研究所ゲノム解析室谷本幸助助教の研究グループは、ドイツマックスプランク研究所(MPIIB)、ドイツリウマチ研究センター(DRFZ)との共同研究で、あらゆる免疫細胞をつくりだす希少な血液前駆細胞を迅速、簡便かつ安全な方法で大量生産する方法を開発しました。この研究は文部科学省科学研究費補助金基盤研究、ドイツ研究振興協会(DFG)、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、血液学で権威のある国際科学誌Bloodに、2018年5月3日正午ごろ(米国東部時間)にオンライン版で発表されました。

研究の背景

 私たちの体内にはリンパ球(B細胞、T細胞など)、樹状細胞、マクロファージ、顆粒球などさまざまな免疫細胞がいて、ウイルスや細菌などの病原体を撃退することで感染から守る(感染防御)だけでなく、体内で発生するがん細胞を見つけて撃退する役割もあります(腫瘍免疫)。
 これらの免疫細胞は骨髄中にいるわずかな血液前駆細胞からつくられています。これらを体外へ取り出し、安定して大量に増やすことができれば、あらゆる有用な免疫細胞を自在につくることができ、新たな免疫細胞療法の資源として感染防御やがん治療に有用であると考えられます。
これまでの研究では、血液前駆細胞を体外に取り出して培養を続けることは不可能でした。マウス骨髄細胞に対して人為的に遺伝 子操作を行うことで、血液前駆細胞を試験管内で増やすことはできましたが、人為的な遺伝子操作によって染色体異常や発がんのリスクが増えるだけでなく、今後これらの細胞を使った治療法開発などヒトにおいて臨床応用を考えた場合にも倫理的に受け入れることは容易ではありません。
 これらのことを考慮し、研究グループは遺伝子操作を行わない、より安全な方法で血液前駆細胞を量産化する方法の開発を試みました。

研究成果の概要

 研究グループは独自で開発した無血清培地(KIDMEMと命名)を用いて、通常のマウス骨髄から取り出した希少な血液前駆細胞の一種(CLP)を培養したところ、細胞は活発に増殖(3日で10倍)を続け、少なくとも4ヶ月以上は試験管内で増え続けることがわかりました。そして長期間培養を続けた細胞(cCLPと命名)の特徴を調べたところ、生体内にいるCLPとよく似ていることがわかりました。cCLPは試験管内であらゆる免疫細胞に成長することができました(図参照)。また免疫細胞がいなくなったマウスにcCLPを移植すると、あらゆる免疫細胞が再び体内でつくられることがわかりました。

研究成果の意義

 今回研究グループは遺伝子操作を行わず、独自に開発した無血清培地(KIDMEM)を用いることで、安全かつ簡便に、あらゆる免疫細胞を生み出すことのできる血液前駆細胞(cCLP)を試験管内で長期間培養することに成功しました。この方法によって迅速に大量のcCLPが得られる、つまりマウス骨髄内にいる数少ないCLP(約1万個)を1ヶ月培養すると、約1兆個ものcCLPができると見積もられます。得られた膨大な数のcCLPは、免疫細胞による感染防御や腫瘍免疫のメカニズム解明など基礎研究を促進するだけでなく、感染症やがんに対する新たな免疫細胞療法開発の基盤として非常に有用であると考えられます。

論文情報

掲載誌:Blood
論文タイトル:Stable lines and clones of long-term proliferating normal, genetically unmodified murine common lymphoid progenitors

問い合わせ先

研究に関すること

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
免疫アレルギー学分野 氏名 河野 洋平(カワノ ヨウヘイ)
TEL:03-5803-0275 FAX:03-5803-0275
E-mail:youhei.mbch@tmd.ac.jp

報道に関すること

東京医科歯科大学総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
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プレス資料(PDF)