当科について

教授挨拶

膠原病・リウマチ性疾患の多くは皮疹・発熱・関節痛・筋肉痛をはじめとして場合によっては腎臓・肺などの内臓障害や神経症状をきたすこともある、全身性の自己免疫疾患です。自己免疫疾患は本来病原体から体を守るためにあるはずの免疫システムが変調をきたし、自分の体の中で炎症を引き起こしてしまう病気であり、難病に指定されている疾患が多く含まれます。

以前は有効な治療が見つからず治らない病気であった膠原病・リウマチですが、近年特に関節リウマチに関しては治療が長足の進歩を遂げ、早期に発見・治療を開始すれば多くの患者さんで関節変形を防ぐことができる様になりました。また、この領域で関節リウマチについで多い全身性エリテマトーデス (SLE) についても免疫抑制薬・免疫調整薬・生物学的製剤など多くの新規薬剤が日本でも使用出来るようになり、世界標準の治療が可能になると共にステロイドの使用を最小限にできる場合が多くなっています。これらに次いで多い皮膚筋炎・多発性筋炎や強皮症、血管炎に関しても、徐々に治療の選択肢が広がってきており、より良い医療が提供できる環境が整いつつあります。

小児期や若年で発症する患者さんも多く、病気が悪い状態を乗り越えた後は、学業・結婚・出産・子育てなどのライフイベントを迎えられる様、我々がサポートさせて頂きたいと思っています。 一方、関節リウマチや一部の血管炎など、発症年齢の高齢化が指摘されている病気もあります。様々な合併症がある患者さんであっても、体への負担が少ない適切な治療を提案させて頂きます。

我々の診療している免疫難病は予後自体が改善してきている一方、完治することが稀で、再燃することもあります。また、一旦病気が落ち着いても何となくだるい、寒いときは調子が悪いといった不快な症状が続くこともあります。したがって、どうしても長期に渡ってうまく病気と付き合っていくことが必要になります。我々は、急性期の手厚い治療はもちろんですが、外来で落ち着いた状態になってもできるだけ再発を防ぎながら患者さんが心地よく過ごせるよう、また時には病気を忘れる時間も取れるよう、お話を聞かせて頂きながらその場その場で最適な治療が続けられるようにお手伝いいたします。

膠原病・リウマチ内科学 保田 晋助