肝臓の手術

 当院では年間100例以上の肝切除を行っており、都内でも有数の手術経験をもつ施設であると自負しております。他の病院で手術できない難しい症例も、積極的に手術していますので、是非ご相談ください。

 さらに、肝表面の肝細胞がんに対しては小さな創でカメラを用いて行う鏡視下肝切除も積極的に行っております。 以下に代表的な手術の方法を紹介しますが、実際の術式は様々です。また、肝障害のため肝機能が低下している場合は肝切除量が制限されます。そのため、患者さんひとりひとりに適した手術方法を選択する必要があります。腫瘍の数、大きさ、部位によって、また肝機能を考慮して根治的になおかつ安全に切除できる範囲を考慮しなければなりません。肝切除には以下のような大小さまざまな種類があります。

(図は全て、日本消化器外科学会ホームページ(2015年3月)から引用)

肝部分切除

 腫瘍の大きさに応じて部分的に肝切除を行う方法です。比較的小さな切除になることもありますし、複数個の腫瘍の場合には何カ所も切除することがあります。

肝部分切除

肝区域切除

 肝臓の中の血管の走向に基づいて、肝臓全体の1/4〜1/3程度を切除する術式です。

肝区域切除

肝葉切除

 肝臓の右葉(肝の右側)または左葉(肝の左側)を切除する術式です。右葉切除では全肝の右側約2/3、左葉切除では全肝の左側約1/3を切除します。

肝葉切除

腹腔鏡下肝切除術

 当院では、可能であれば積極的に腹腔鏡下肝切除を行っています。腹腔鏡手術のメリットとして創が小さく、術後の痛みが少なく術後の回復が早いことです。一方でデメリットとしては、手術可能な腫瘍の場所に制限があり、開腹に比べると手術時間がかかることもあります。直視下ではないので、観察が十分でない場合もあります。以上の条件を考えて安全に行えると判断した場合、患者さんのご希望もあわせて手術の適応を検討します。

腹腔鏡下肝切除術

肝外胆管切除

 肝細胞がんでは通常は行いませんが、胆管細胞がんは胆管に沿うように癌が広がることがありますので、肝臓から出ている胆管も同時に切除しなければならないことがあります。胆管は胆汁を消化管に流すための管なので、肝切除+肝外胆管切除を行った場合は胆管と消化管を吻合する再建手術も同時に行います。

肝外胆管切除

肝移植

 重症の肝臓病に対して、肝移植が行われることがあります。肝硬変を合併した「肝がん」も、肝移植の適応となることがあります。多くは生体肝移植となりますので、近親者の方にドナー(臓器提供者)になっていただき、右側あるいは左側の肝臓をいただいて、肝臓を入れ替える手術を行います。当科では、肝臓のご病気で来院されたり入院された患者さんが、肝移植が必要と考えられる場合は、適切な検査や評価をさせていただきます。

いずれにせよ、腫瘍を残すことなく、安全かつ根治的(必要かつ十分)に切除できる範囲の術式を選択します。

chevron-small-up