ごあいさつ

肝胆膵外科とは

田邉教授

肝胆膵外科は肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓などの疾患に関する手術や薬物療法をふくめた集学的治療を行う診療科です。その頭文字をとって「肝胆膵外科」と呼ばれています。悪性腫瘍(がん)の治療は、手術だけで全て解決できるわけではありません。手術と手術以外の化学療法や放射線治療との組み合わせが大切です。患者さんの病状に合わせて手術よりも抗がん剤による化学療法、放射線治療が優先される場合もありますし、肝臓がんに対してはラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓療法、肝動脈動注化学療法、肝動脈化学塞栓療法という手術以外の治療法も行っております。
また、肝臓の手術には鏡視下手術(腹腔鏡下肝切除術)を積極的に導入し、より患者さんに優しい手術を目指しています。

医療技術は日々進歩しており、私たちは大学病院の特長を活かして先進的な治療を提供いたします。そのためにスタッフ一同、日々研鑽をつみかさねております。一方で大学病院というと、とかく医療技術が先行し、「病気」をみて「患者さん」が置き去りにされている印象があるかもしれません。私たちは、まず「患者さん」を治療するあたたかみのある医療を心がけております。

※ 鏡視下手術というのは、内視鏡をお腹の中にいれ、テレビ画面を見ながら手術を行うものです。内視鏡を入れるための穴1個と、手術器械を入れるための穴を3〜4個あけるとともに、場合によっては臓器を取り出したり細かい操作をしたりするための切開創を加えるだけで小さな傷口で行えます。

モットー

東京医科歯科大学

医療はすばやい速度で進歩しており、わたしたちの専門領域である肝胆膵疾患も例外ではありません。その進歩を的確に日常臨床に応用することが医療者には求められます。さらには大学病院としてその進歩に貢献することも大切な使命です。

最新の臨床医学、基礎医学の進歩に基づいた患者さん中心の良質な医療を実践することをモットーとしております。

良質な医療とは

医療・医学知識

肝胆膵領域の診療には高い専門性が要求されます。深い知識に基づいた診断があって始めて適切な治療が可能となります。日進月歩の治療を患者さんに適切に提供するためスタッフ一人ひとりが最新の知識の修得に邁進しております。

診療技術

われわれが専門とする臓器(肝臓、胆管、胆のう、膵臓、脾臓、門脈)は解剖学的に複雑で、手術治療には高度な技術が要求されます。当科にはそのエキスパートがそろっております。 現代の医療において高度な治療の実践には設備が必要です。当院には最新の手術機器はもちろん、MRI、CTなどの診断機器や、ラジオ波、放射線照射装置など最新の治療機器も完備されています。 一般病院では手に負えないような高度進行がん、難治性がんに対しても積極的な治療に取り組んでいます。末期肝疾患患者様には肝移植も行います。

どんなに設備や技術が高度であっても、診療に「心」がなくして医療は成立しません。 がんをはじめとする難治性の疾患を罹患されている患者さんはたいへんな不安の中にいらっしゃいます。
まずは安心してもらえるように、そして納得して治療をうけていただけるように努力しております。そのためにはわれわれが患者さんに十分な説明行うこと、患者さんと医療者との良好な信頼・協力関係を築くことが大切と考えています。
治療選択においても、画一的な治療ではなく一人ひとり状態にあわせて治療方法を選択するように心がけております。病気の状態によっては低侵襲な治療を積極的におこない、痛みが少なく早期退院が可能な鏡視下手術も積極的に行っています。
また、われわれが専門とする疾患には難治性のものが多いのですが、つねに安全性、根治性、そして、全身ケアを大切にして診療を行っています。

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