ご家族の方へ

家族のためのハンドブック

住まいの工夫

ケネディー・クリーガー研究所
マリー・ラシュノ 公認作業療法士(2008年改定)

Mary Lashno, OTR/L - Kennedy Krieger Institute

家の環境を整えることは、子供の自立を助けるために必要なことです。以下に家庭内の安全性を高め、子供の自立に役立つ一般的な事項を列挙します。

風呂場とトイレ

ほとんどの子供はお風呂が好きですが、湯船の中でバランスを崩し、事故につながるケースもあります。専用の椅子 (シャワー・チェア) に座らせてシャワーを使ったほうが、安全と子供の自立の面からも、介助者にとっても負担が軽くなります。立ってシャワーを使えなくても、背もたれと肘掛のついたシャワー・チェアがあればとても安心です。

トイレに手すりを付けると座椅子に腰掛けるとき、立ち上がるときの安全性が高まります。

可能であるなら、車椅子のまま使える洗面台に改装することをお薦めします。それが難しいようなら、洗面台の前に車椅子を持っていった時に、座ったままで鏡を見られようにしてください。お子さんが自分で洗面する充足感を得られます。

身づくろいのための用具は仕切りのあるプラスチック・ケースに入れ、手の届く場所に置いてください。ケースはどこかに固定し、落ちないように気をつけてください。

台所

電子レンジはお子さんが座っている状態でも手の届く場所に置いてください。

おやつの準備や簡単な食事の調理はお子さんと一緒にやるようにしましょう。

簡単な仕事は自分でさせてあげましょう。例えばごみをゴミ箱に捨てるとか、テーブルの準備などです。こうしたことを通じ、家族の一員としての責任感を育てることができます。

お子さんが成長するに従い、洗濯やちょっとした調理などができる環境を作り、子供の自立能力を高めてあげてください。

他の部屋

ドアは車椅子が自由に出入りできる幅を確保し、床はタイルや板張りなどにして、車椅子で移動しやすくするのがよいでしょう。

食卓やコンピューター用の机は車椅子に乗ったまま使えるようなものに代えます。お子さんは座った状態で好きなようにでき、手や腕を自由に使えます。

一日中、車椅子で過ごすと、猫背になりがちです。お子さんを車椅子から下ろしてストレッチをする時間を設けてください。毛布を丸めベッドや床の上に置き、お子さんをその上に乗せてみるのも良いストレッチになります (丸めた毛布が背骨に当たるようにします)。お子さんの腕を大きく拡げると、上半身や特に胸のストレッチになります。

上記のアドバイスは確かに理想的かもしれません。家の構造、経済的問題、病気の進行度によって難しいケースもあるでしょう。しかしどのような状況でも、ご家族と療法士が前向きに知恵を絞れば、お子さんの自立を維持し安全性を高めることは可能です。

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