ご家族の方へ

家族のためのハンドブック

飲食時のアドバイス

ジョンズ・ホプキンス・チルドレンズ・センター
マウリーン A. レフトングレイフ 理学博士・言語療法士(2007年改定)

Maureen A. Lefton-Greif, PhD,CCC/SLP - Johns Hopkins Children's Center

食事の前に気をつけること

食べる回数を多くしてください。 1日に3回きっちり食べるのではなく、疲れが出ないよう少しずつ、4〜6回に分けて食べてください。カロリーだけが高いものではなく、栄養のバランスの良いものを摂りましょう。ジュースやソーダよりも、ミルクセーキやバランス栄養食の方が良いのです。おやつも食事のひとつです。食べ物を効率的に摂るようにしましょう。

正しい姿勢で食事をしましょう。 安全に飲み込むためには、きちんと腰掛けて食事を取ることが大切です。食後数分間体を起こした姿勢で座っているのも良いでしょう。

頭の位置にも気を付けましょう。 頭、首、体が一直線になるような姿勢で座りましょう。顎を引きます。頭が後ろに反らないよう気を付けましょう。

食べ方、飲み方

少しずつ食べる。 大きなものは小さく切ります。一口の量を少なくしてください。またきちんと飲み込んだことを確認してから、次の分を与えてください。口の中に食べ物を詰め込むと喉に落ちて窒息の原因になります。

ストローを使うときは注意が必要です。 ストローを使うときは、一口ずつ飲むようにしましょう。ストローでごくごく飲むと誤嚥しやすくなります。ストローの途中をつまんで、飲む速度を遅くしても良いですね。

食べ物と飲み物は交互に摂りましょう。 食べ物と飲み物を交互に摂ると、口の中や喉に食べ物が残らず、誤嚥の危険性が低くなります。

食べ物について

柔らかい食べ物や裏ごししたものが良いでしょう。 口の中でバラバラ崩れない食べ物が飲み込みやすいです。柔らかい食べ物や裏ごししたものが食べやすいようなら、お子さんが好きな食べ物をどのように加工したらよいか、下のリストを参考に考えてみてください。

プリン、カスタードクリーム、ヨーグルト、クリーム状シリアル (オートミールなど)
ソースをかけた柔らかいパスタ (チーズマカロニなど)
缶詰の果物や、煮たり焼いたりした果物
ケチャップやグレービーソースで湿らせたひき肉や煮込み肉

乾いたフレーク状の食べ物や口の中で崩れる食べ物は避けましょう。 こうしたタイプの食べ物は飲み込みが難しいものです。クラッカー、クッキー、ポテトチップスなどがこれにあたります。口の中でばらばらになる食べ物 (固いご飯やケーキ) も注意が必要です。乾いたフレーク状の食べ物は、バター、ジャム、マーガリン、ソース、シチューなどで湿らせてから与えてください。

噛み切れないものは避けましょう。 固い食べ物は噛みにくく、また飲み込みにくいものです。食べるのに時間がかかるので、十分な食事を摂ることが難しくなります。噛み切るのが難しい食べ物とは、肉 (ステーキなど) 、生野菜や果物 (レタス、りんご、生のニンジンなど) です。

べたべたしてくっつきやすい食べ物は避けましょう。 こうした食べ物は飲み込みにくく、口の中や喉にくっつきやすいのです。マッシュポテト、食パン、ピーナッツバター、ピザなどがこれにあたります。

食べ物について

さらさらした飲み物は避けましょう。 水、ジュース、ソーダなどは最小限にしてください。これらの飲み物はカロリーが低いのです。また、一見安全に思われますが、実は嚥下障害のあるA-Tの子供達にとって、さらさらした飲み物の嚥下が一番難しいのです。

どろっとした飲み物を与えてください。 ミルクセーキ、麦芽系飲料、フルーツネクター、ポタージュなどがお薦めです。普通の牛乳と脱脂乳の濃さの違い程度でも誤嚥の危険性が変わってきますし、カロリーも違います。

さらにとろみをつけます。 必要ならば、でんぷん、フルーツピューレ、市販のとろみ用製品を使って、とろみをつけてください。

サプリメントもお薦めです。 医師や栄養士に相談しながら、液体状サプリメント、食べるタイプのサプリメント、ミルクセーキなどで栄養補給をしてください。

よだれを防ぐには

意識してつばを飲み込みましょう。 時々つばを飲み込むよう、お子さんに教えてください。スエットバンドをいつも手首に巻いて、口を拭うようにしている子供もいます。

薬について相談しましょう。 唾液の分泌を抑える薬もあります。よだれで困ってしまうようなら医師に相談してください。薬の副作用についても理解する必要があります。

緊急時の対応

緊急時の対応マニュアルを作っておきましょう。 窒息あるいは呼吸困難を生じた際の緊急対応策をあらかじめ決めておく必要があります。お子さん、介護者、医師、救急隊員で対応マニュアルを作成してください。マニュアルはプリントアウトして、見やすい場所に貼っておきましょう。あなたのお子さんに窒息が起こった場合の緊急対応マニュアルは以下のようなものです。

落ち着きましょう。 落ち着いて、お子さんに強く咳をさせ、喉に詰まったものを吐き出させてください。

ハイムリッヒ法を行ってください。 咳をしても異物が出ない場合には、ハイムリッヒ法 (腹部を強く押し上げる) を試してください。

救急車を呼んでください。 それでも異物が出ない場合には救急車を呼んでください。

サインを決めておきます。 介護者と患者さんの間でサインを決めておいてください。手を叩いたら、“もう大丈夫”、喉に手を当てたら“助けて!”などのサインです。

マニュアルを復習し、内容を確認しましょう。 定期的に読み直し、改良点があれば書き直しましょう。継続的に心肺蘇生法の訓練を受けておくようにしてください。

参考文献) Yorkson KM, Miller RM, Strand EA, (1995). Management of Speech and Swallowing in Degenerative Diseases. Communication Skill Builders, a Division of The Psychologic Corportation. Tucson: p.249.

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