ご家族の方へ

家族のためのハンドブック

治療と予防のために

1.

すべてのA-T患者は免疫不全についての検査をなるべく受けてください。

必要と認められる場合、免疫グロブリン補充療法を受けてください。

A-T患者は子供も大人もインフルエンザと肺炎球菌のワクチンをなるべく接種してください。免疫グロブリン治療を受けている方はこれらのワクチンを受けない方がよい場合があります (「免疫不全」の章を参照してください)。

ご家族の方は全員、インフルエンザのワクチンをなるべく毎年接種してください。

2.

A-Tの患者では、ウイルス性疾患が原因で、二次的細菌感染のリスクが高まる場合があります。ほとんどの風邪に抗菌薬は必要ありませんが、ウイルス感染の後に呼吸器の不調が長期に続く人や、慢性的な肺疾患を患っている人は抗菌薬を使うべきでしょう。細菌感染の後、抗菌薬を内服(経口投与)しても快方に向かわない場合、抗菌薬の静脈内投与が必要となります。

3.

A-T患者が慢性的な肺疾患を患っている場合、予防的に抗菌薬を使用すると急性の細菌性肺炎や気管支拡張症のリスクを抑えることができます。また抗菌薬によっては、予防的に使用することで局所での細菌増殖を抑え、気道炎症を防ぐことができます。さらに肺機能の低下を食い止めることも期待できます。この予防策のマイナス面は、抗菌薬へ対する耐性のリスクです。抗菌薬を予防的に使用する場合は、事前に専門家に相談してください。

4.

感染した副鼻腔は再感染の温床になり、その場合は咳や喘息が以前よりも悪化する可能性があります。慢性副鼻腔炎が重症化することはほとんどありませんし、A-T患者でも診断されずに終わっている場合も多いようです。従って慢性副鼻腔炎についても注意を払うことは必要です。

5.

呼吸が浅い、あるいは咳がうまくできないような人には気道クリアランス用の器具 (バイブレータ、胸壁に高振動を与える器具、痰除去を補助する器具)、胸部理学療法、ステロイド薬の吸引、気管支拡張剤が有用です。特に急性期において重要な手技ですが、これらの理学的治療を毎日受けている人もいます。

6.

嚥下が困難なA-Tの患者さんは呼吸合併症を防ぐためにも、誤嚥に気をつけ、栄養摂取を心がけてください。

7.

栄養状態が悪いと、呼吸筋の力が弱まり、呼吸器感染を抑えることが難しくなります。栄養をしっかり取り適正な運動をして、肺機能を安定させ、さらに向上させるよう努めてください。

8.

受動喫煙や空気の汚れはA-T患者だけでなく、誰にとっても呼吸器疾患のリスクを高めます。ご家族やお付き合いのある人が禁煙することは患者だけでなく皆の利益になります (経済的にも!)。

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