診療のご案内肝炎・肝がんの主な対象疾患について

B型肝炎について

HBVの感染によって起こる肝炎です。
感染経路は主に血液、体液で、HBVに感染している母親から生まれた際におこる母子感染(垂直感染)と、性交渉などにより起こる成人感染(水平感染)があり、それぞれ経過が異なります。

成人感染では多くの場合、急性肝炎を発症しますが、一過性感染としてその後ウイルスが排除されることが多い一方、ウイルスの種類によっては慢性化しやすいものもあり、近年成人感染でも慢性肝炎となる例が見られています。

母子感染ではキャリア(ウイルスが感染している状態)となり、その後慢性肝炎となる場合と、ウイルスは感染しているが肝機能は正常の非活動性キャリアになる場合があります。
非活動性キャリアでも肝がんを発症する場合があり、注意が必要です。

B型肝炎の治療

主に慢性肝炎の患者さんが対象となりますが、HBV再活性化(下記参照*1)を予防するためにHBVキャリア、既往感染の方が対象となることもあります。
抗ウイルス療法には、主にインターフェロン製剤(注射薬)と核酸アナログ製剤(内服薬)が使用されます。どの薬剤を使用するかは、肝炎の状況や合併症、薬剤による副作用などから総合的に判断されます。 HBVを完全に排除できる薬剤は現在のところないため、多くの場合には長期に渡り治療を継続する必要があります(インターフェロン製剤は治療期間が限定されます)。
現在、様々な新規薬剤の開発が進められており、近い将来には薬剤の選択肢が増える可能性があります。

*1. HBV再活性化について
HBV感染者において、免疫抑制療法や化学療法などを行った場合に、HBVが再増殖することをHBV再活性化と言います。HBV再活性化による肝炎は重症化しやすく致死的となる場合も多いことから、肝炎の発症を予防するための治療や経過観察が必要となることがあります。
また、HBV再活性化は、以前にHBVに感染したが今は治癒している”既往感染”の方にも起こりうることがわかっています。
HBV感染者、あるいは過去に感染したことのある方が、抗がん剤治療や自己免疫性疾患・膠原病などに対する免疫抑制療法など行う場合には、必ずHBVに感染している、あるいは以前に感染したことがあることを主治医にお話しし、治療について相談してください。

肝炎肝がん外来におけるB型肝炎診療の特色

HBV感染症は、感染時期、ウイルスの型(ゲノタイプ)などによって病気の進展の仕方が異なり、非常に病態が複雑です。そのため、病気の詳細な評価を行い、病気の進行を適切に予測してフォローアップしていくことが非常に重要です。

当院の肝炎肝がん外来ではこのような点を重視し、ウイルスの遺伝子変異の測定や肝臓の線維化マーカーの測定、肝硬度測定などの詳しい検査を行うことにより、肝炎の劇症化や慢性化、肝癌発生のリスクを評価し個々の症例に応じて適切な治療介入を行っています。
また、新薬の治験にも参加しております。

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