概要

新専門医制度は2018年から開始となり、3年間の研修期間を通じて、日本内科学会が定める内科全般の症例経験や病歴要約を指導医から承認を受けて、各種講習会の受講や学会発表なども経験し、その他の修了要件を満たした後、内科専門医試験に合格すれば内科専門医資格を得ることができます。内科専門医資格を得た後は、希望するサブスペシャリティ領域の専門研修を積むことにより、サブスペシャリティ専門医資格を得ることができます。消化器分野の主なサブスペシャリティは、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医です。学会の指定する所定の研修を積めば、いずれのサブスペシャリティ専門医資格を取得することが可能です。東京科学大学消化器内科でも、サブスペシャリティ専門医資格の取得が可能です。
消化器内科の内科専門研修
専攻医は内科学会が示す研修コース(図1)に沿って研修を積んでいきます。東京科学大学内科専門研修プログラムは、内科標準タイプとサブスペシャリティ重点研修タイプを準備しており、消化器内科はサブスペシャリティ重点研修タイプを運営しています。つまり、消化器を重点とした研修を早期から開始し、内科全般研修も並行しながら、症例経験を積み上げる研修コースを提供しています。ただし、消化器を重点とした研修となるため、内科全般の症例経験が不足しやすいことが予想されます。しかし、一定の基準を満たした初期研修での経験も専門研修の症例経験として利用することが出来るので、東京科学大学の内科専門研修を志す人は、初期研修を専門研修の準備期間と認識していただき、幅広い内科全般の症例経験を積むことをお勧めいたします。
内科専門研修を修了するためには
東京科学大学内科専門研修プログラムは、3年間(以上)の研修期間で、大学病院1年以上かつ関連病院1年以上で研修し、日本内科学会が定める修了要件(図2)を満たすことを目指します。特に症例経験や病歴要約は図3に示すように内科全般の研修が求められており、計画的な症例経験も求められます。ただし、一定の基準(図4)を満たせば初期研修の症例も専門研修の症例経験として提出することが可能なため、初期研修時から効率的な症例経験を積めるように意識していただきたいと思います。
学会発表や論文発表も必要
専門研修の3年間のうちに、2回以上学会発表または論文発表が必須となっています。ただし、初期研修時の発表は適用することができないため注意が必要です。東京科学大学では、日本内科学会や内科学会の定めるサブスペシャリティ学会が主催する総会・大会・地方会での発表機会が得られるように配慮しているので安心して下さい。
内科学会が示す研修コース
修了要件
- 56疾患群以上かつ160症例以上の症例経験と指導医からの承認
- 病歴要約29症例の2次評価完了
- 技術・技能評価:達成度の自己評価
- JMECC受講
- プログラムで定める講習会(医療安全、感染制御、医療倫理)3年間で6回以上※医療倫理は1回以上含むこと
- 地域医療の経験:達成度の自己評価
- 教育活動:達成度の自己評価
- 内科系学術集会への参加:3年間で6回以上
- 学会発表(筆頭演者)または論文発表(筆頭著者):3年間で2件以上
- 研修歴:基幹施設(1年以上)および連携施設→合わせて2年6ヶ月以上
J-OSLERを用いて専攻医が登録し、統括責任者が承認する
条件を満たせば初期研修での経験症例が活用できる
内科領域 症例の遡及登録について
(2017年10月5日更新)
内科領域の整備基準公表後、その内容は全国に周知されているが、3年間の内科専攻研修期間中に目標とする200症例、そして修了要件である160症例を安定的に研修させることについて問い合わせが届いている。このような声は都市型の大規模病院よりも、地方において基幹施設を目指す中規模病院から寄せられることが多い。
また、内科の教育施設の中には、すでに研修プログラム参加以前の初期研修中(特に選択研修の2年目)に、主たる担当医として専攻研修と同様な症例経験を持たせることもある。このような指摘や実情(特に地方からの声)を踏まえると、初期研修中、または初期研修修了後の内科臨床経験等で質が担保されている症例の取り込みは、全国における安定的なプログラム作成への配慮から、必要と考えられ、以下の条件をみたすのみに限り、その取扱いを認める。
- 日本内科学会指導医が直接指導をした症例であること。
- 主たる担当医師としての症例であること。
- 直接指導を行った日本内科学会指導医が内科領域専門医としての経験症例とすることの承認が得られること。
- 内科領域の専攻研修プログラムの統括責任者の承認が得られること。
- 内科領域の専攻研修で必要とされる修了要件160症例のうち1/2に相当する80症例を上限とすること。病歴要約への適用も1/2に相当する14症例を上限とすること。